「蛍」の収録で悪戦苦闘

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神奈川県の丹沢山系の麓に 市村自然塾関東 というNPO法人があります。今年設立10周年を迎える同塾では、「生きる力を大地から学ぶ」を活動理念に毎年60名弱の子どもたちを受け入れ、毎週末、金曜から日曜までの2泊3日、農作業を通じた青少年育成活動を続けています。
ボクは3〜12月の塾の活動期間中、ほぼ毎週ここに通って子どもたちの活動を撮影し、卒塾の時に記念品として贈呈される「活動記録DVD」を作る仕事を請け負っています。

農作業をメインに収録するので撮影は自ずと早朝から夕方までという事になりますが、ときどき “特別な課外授業” を収録するために時間が前後することがあります。先週末はそんな課外授業の一つ、「蛍観察」がありました。

皆さんは、蛍を見に行ったことはありますか?
市村自然塾がある “寄 (やどりき)” では、例年6月末〜7月初旬にかけて、近くを流れる清流・中津川のほうぼうに蛍スポット(?)が出現します。近隣から三々五々集まった人々は、川から少し離れた場所にクルマを停め、街灯一つない漆黒の闇の中を、あちらこちらで明滅するほのかな黄緑色の光を頼りに散策します。ときどき見学者が足下を照らすために灯す懐中電灯が弱い光を放ちますが、そんな光がまぶしく感じられるほど、あたりは上から下まで濃密な闇です。

川の流れる音。葉擦れの音。砂利を歩く自分や他人の足音。光がないぶん敏感になった聴覚が、普段は聞き逃している様々な音を増幅します。そして音もなく夢幻的な光を明滅させる蛍たち。極めて日本的な風情溢れるこの蛍観察会は、毎年、子どもたちにも大人気!
…なのですが、ボクにとっては、年間を通して一番頭が痛いイベントでもあります。なにしろ、少しの光もないので、まともな映像が撮れないのです(爆)。



手持ちのハンディカム+ナイトビジョン機能をオンにして臨んだ一昨年は、モノクロ映像で人の目や蛍が真っ白に光る不気味な絵しか撮れず、ボツ(泣)。昨年は「これならどうだ!?」と安物の暗視動画カメラを持ち込んだものの、モノクロが緑色になっただけで、またもや「ブレアウィッチ・プロジェクト」の如き恐ろしい映像しか撮れず、ボツ(泣)。さぁ今年はどうしたものかぁぁ…?

ところで今回は “ワンマンユニット” ではなく、飛び入りで助手が一人。韓国人留学生の、권민석(グォン・ミンソク)くん。現在、 立教大学の現代心理学部で「身体映像学」という、なにやら説明を聞いてもよく解らない難しい学問(?)を専攻中。5D MarkII ユーザーであるグォン君が、「一眼ムービー」に関する情報を検索中、なんと当 raitank blog の記事をハングルに訳した紹介サイトでボクのことを知り(マジ!?)、二週間ほど前に問合せフォーム経由で「取材したい」旨、連絡をもらったのでした。

『え、取材?オレに?なにを?』とちょっとアタフタしましたが(笑)、まぁなにはともあれ、それなら丁度収録仕事があるから撮影の訓練を兼ねて山ん中で取材ってのはどーよ?と、市村自然塾まで引っぱって行った次第。

さて話を蛍に戻します。色々考えた末に今年は、正面から正攻法(?)で行くことにしました。つまり 5D MarkII に手持ちレンズの中で一番明るい 50mm F1.4をつけ、露出は気持ち1段絞ってf2に固定。…そして、ボク的にはココが味噌のつもりだったんですが、カメラを「バルブ」モードにして動画撮ってみたらどうなのよ?と。
やってみると ISOは自動で3200固定になり、シャッタースピードは… 液晶内に「5fps」などと表示されたりしていましたが、動きがギクシャクしてないところを見ると、たぶん動画の場合は勝手に 1/30秒程度で固定されるのではないか?と推測。
…とすると、実際はマニュアルモードで ISOを3200に、シャッタースピードを最下限(1/30秒)に設定するのと変わらないかも?知れませんが(爆)、残念ながら30分ほどの散策時間の間にその辺りを検証している余裕はありませんでした。


なにはともあれ苦節3年、ようやく “蛍っぽい絵” を撮る事ができました。ただ、今年の問題点は、蛍観察の旬を “一週間ほど過ぎていた” こと(ガクッ)。結果、蛍の絶対数が少なくて、あっちに1匹、こっちに2匹という感じの絵しか撮れません(泣)。仕方がないので、自然塾様サイトにニュースとして掲載した納品映像では、河原のあちこちで撮影した素材を合成して、ちょっと水増し…(爆)。

…ところが! 当日現地に行った子どもたち、スタッフさんたちの言によれば、「そうそうそうっ!こんな感じで、いっぱい飛んでたっ!」とのこと。皆さんの「記憶」はまさにこの映像通りだったと言うのです。…ちょっと絶句(爆)。

う〜ん、グォン君。これぞ心理学系のネタかもよ?

4 Comments

  1. akira
    Posted 2011/07/05 at 22:30 | Permalink

    素晴らしい映像ですね!
    ステディカムがすごく良かったのと、もちろん蛍も雰囲気が出ていました。
    撮影方法も大変参考になります!

    • Posted 2011/07/05 at 22:38 | Permalink

      akiraさん、どうもありがとうございます!
      最近、フォーラムでの皆さんとのやり取りを通じて本当に色々な事を学ばせて頂いており、日々少しずつ前進しているのが実感できて撮影が楽しいです(笑)。

  2. Gwon Minseok
    Posted 2011/07/05 at 02:23 | Permalink

    ほんまに載せられちゃったんですね。
    現代心理学部です(笑)
    いい経験でした!!実際に蛍を見たのも初めてでした。
    記憶とはやはり加工された事実ですね。www
    しかし、こういう映像による認識と記憶というテマも私の研究テマでございます。
    今度は子供の夢のために、私が森にLED照明を持ち込んで走ります!

    • Posted 2011/07/05 at 02:29 | Permalink

      おぉ、ゴンちゃん。お早いお越しで!(笑)
      土曜日はお疲れさまでした。また機会があれば、一緒に自然塾に行きましょう!
      …で、あ、「現代心理学部」なのか。失礼しました。これから修正しときます。

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