先月巻き起こった Red対 Sonyの続報です。いつものように Cinescopophiliaさんが第一報を報じています。
▶ Cinescopophilia : Sony Hits Back At RED Denying Patent Infringements & RED Talk ARRI Case
Sonyは Sony Electronics Inc.サイトのプロ映像機器ページの片隅に、“小さ〜く” 本件に関するコメントを掲載しました。以下、その全文です。
Sony Comments re Patent Suit Filed By Red Digital Cinema
On February 12, 2013, Red Digital Cinema (“Red”) sued Sony Corporation of America and Sony Electronics Inc. and alleged that the Sony PMW-F5, PMW-F55, and F65 digital cinema cameras infringe two Red patents. The F65 has been commercially available for over a year and the F5 and F55 were announced in October, 2012.
Sony has now had an opportunity to study Red’s complaint and the asserted patents, and categorically denies Red’s allegations. Sony intends to defend itself vigorously in the Red lawsuit. Sony looks forward to prevailing in court, thus vindicating the Sony engineers who developed Sony’s quality digital cinema cameras.
(抄訳)
Sonyは Red Digital Cinema社により起こされた訴訟にコメントします。
2013年2月12日、Red Digital Cinema社(以下、Red社)は、Sony PMW-F5、PMW-F55、そして F65デジタルシネマカメラが Red社が所有する二つの特許を侵害しているとして、Sony Corporation of America並びに Sony Electronics Inc.を不当に訴えました。F65はすでに1年以上に亘って販売されており、F5、F55は 2012年10月に発表されました。
Red社の訴え及び侵害されたと主張する特許に関し検証した上で、Sonyはここに断固として Red社の申し立てを否定いたします。Sonyは全力を挙げて Red社による訴訟から自らを弁護する所存です。そして Sonyが誇る高品質デジタルシネマカメラを開発した同社エンジニアにかけられた不当な嫌疑が法の下に退けられ、潔白が証明されることを期待しています。
なにしろスペースも小さければ文字も最小サイズといった感じで、なんでもっと堂々と正面切って反論しないのだろう?といぶかしい気がするほどですが、まぁとりあえずこれで Red社による宣戦布告を受けて立つことを表明した形です。
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一方、かたや Redの Jannard総帥は?といえば、れいによって Reduser.netにて、先月 Sonyを訴える一週間前に結審した Arri社との一件について、実に気持ち良さそうに!(笑)、こんなコメントを発信していました。
▶ Reduser : Thread: Bravin and Arri…
It is true that RED settled the case with Arri and Michael Bravin. We’ve had a barrage of inquiries and unfortunately we cannot give you all the details because we have a confidential settlement, but … I can say this. We are very happy with the terms of the settlement with Arri and glad to have this behind us. It’s now time for everyone to move on and concentrate on the future.
I also know that the case between Band Pro and Arri is not settled yet. Hopefully they will settle in a way that Band Pro is as happy as we are.
Jim
(抄訳)
諸君も知っての通り、REDと Arri社及び Michael Bravin氏との間で続いていた問題は正式に片がついた。問合せが殺到しているのは知っているが、残念ながら本件は当事者間の示談で結審した事案につき、詳細を明かすことはできない。だが… これだけは言っておこう。我々は今回 Arri社との間で結ばれた条件に非常に満足しており、万事解決したことを嬉しく思っている。ついては諸君もこの件に関しては早く忘れて、今後のことに集中して欲しい。
ところで、Band Pro社(訳注:そもそもの問題を起こした Michael Bravin氏がかつて在籍していたプロ機材ショップ)と Arri社の問題はまだ解決していない。今回の件で被害を蒙った我々と同様、Band Pro社にとって満足できる裁定が下ることを祈っている。
Jim
実際のところ Arri社がどんな条件で Redとの示談に応じたのかは藪の中ですが、Redが Sonyを訴えたと思ったら、Arriはあたかも『Sonyよ!Redからの追求を免れる道はコレじゃ!』とでも言わんばかりに “非圧縮” RAW信号をそのまま記録する Alexa XTを発表したりして(笑)。
ハタから見てるぶんには「あはは、またやってる!(´¬`)ノ」ってなもんですが、はてさて。この先、どんな嵐が待っているのでしょうか?
13 Comments
「TPPに参加するってことは,こういう訴訟がばんばん起きて,全部アメリカの裁判所でアメリカのやり方で裁かれて,結果に何一つ反論出来ないって条約を結ぶ事だよ」と貿易関係の知り合いに言われました。REDの人は軍=政府と繋がり深いんでしょ?タイミング的にそこの偉い人に何らかの言質貰ってるから強気なんじゃないの?SONY大丈夫?って。RED好きですが,SONYやキャノンが対抗馬に居ないと途端に独占企業っぽくふんぞり返りそうだからなー(笑)
REDがふんぞり返るのは、ひとえにトップのお人柄によるものでホワイトハウスとは関係ないに違いない、に1票!(笑)。今回の件でアチラの反応をけっこう詳しく見ているんですが、初めて知ったことに、REDって実はアメリカ国内の映像業界人の間でも割と評判が悪いみたいなんです。というか、なんか怖そうだから(?)“普段、表立って反抗はしないけど” といった層がかなりいるんだなぁ〜って。
ま、「出る杭は打たれる」は、日本に限らないというか、何かがプラスに振れると必ずマイナスの力も発生するというか、その存在自体が悪の力を引き寄せるが故にバットマンはダークナイトなりしというか(笑)。(^_^;)
じぶん、撮影もしますがわりと技術者よりなんで、特許については
あんまりヒトゴトとは思えないかもです。
まじめな技術者が地味にコツコツとPC向かって、あるいは実験室で
地道に研究開発した成果が特許法で守られるなら意味あると思います。
ただ、簡単に思いつくような、この前記事にしてくださった撮影用
LEDライトのおはなしとかで特許になるようでは、あほらしくて
面倒な研究開発やってられません。
データを圧縮するのは、技術者なら当たり前で、こんなので特許出願
して通ること、またそれで他社を訴えるなんて技術者的には全く考え
られないオハナシです。
こんなんで弁護士に途方も無い高給はらって開発者は報われません。。。。
また我々の買うカメラの値段にも跳ね返ります。
つくづく、まじめにやってるひとは報われない世の中だなぁと思っちゃいます。。。
とめとめさん、ども!(^_^)v 仰る通りです。ただ、今回の RED対 SONYの件をつらつら眺めるに、海外でも今のところ、とめとめさんと同意見のかたの方が多いですよ。そもそも本件をしきりに報じている NoFilm Schoolさんが「特許の乱用」に反対の立場を表明していることもあって、コメント欄を見ると「REDのやりかた」を快く思っていない人たちが、ここぞとばかりに怒りの声を書き込んでいたりします。
もともと “いびつな” 訴訟大国アメリカでの話ってことはありますが、必ずしも僕らとは感覚が違う人たち間での戦争… というわけでもなさそうです。(^_^)
やってますねぇ!高みの見物おじさん的感想。
完全無視方針で行くのかと想像したのですが、
これだけ時間が掛かって控えめなスペース。
結構ヤヴァいのかな。
とんでもないギャラで弁護士が暗躍いえ活躍する米国。
負ける喧嘩には出てこない。
過去に法廷戦術を読み間違えて痛い目に合った企業多数。
去年のNABから1年間、多くに動画系のカメラが誕生。
映画(動画)約100年の歴史の中で今ほど機材関連が活況な時代はありません。
個人としては「上手くやってね、不況だけど映像業界にはいい時代なんだから」
実は内心けっこうヤバいからこその控えめスペース、という解釈ですね〜(笑)。今のところボクのリサーチでは、「世界中の TVネットワークがバックについてる SONYが、負けるワケないやん」というご意見が優勢のようですが(笑)、仰る通り法廷戦術次第ではどっちに転ぶか?わかりませんよねぇ〜。特に今回は陪審員裁判ですしねぇ? やっぱまだまだ目が離せないんだわ。。。
陪審員裁判だというのがなんとも・・・
裁判で判断するのはカメラの技術者でもなく、カメラ好きが集まるBBSの面々でもなく、むしろそんな物には興味がない善良で一般的な米国の市民・・・
少し前、技術盗まれるの覚悟でプログラムを公開しブレーキには問題なかった事を証明したはずのトヨタは結局賠償金(和解金)を支払わされました。
捕鯨にしてもネット上では日本に同情的な意見も多いですが、現実としては国際問題として欧州各国の政府から日本が叩かれるような状態です。
内心というか、SONYも裁判になれば負ける公算が高いと思ってるんだと思います。
アメリカの裁判所にまるで一方的に殴られに行くようなトヨタの社長が可哀想でした。
おや。そうだったんでしたっけ? >TOYOTAさん なんか社長さんがアメリカの議会に呼ばれた時は、登場した途端に議事堂内がスタンディングオベーション状態だった記憶が…。議員さんたちに「よく来た」と迎えられたあと、裁判ではちゃっかりお金取られたんでっか? (゚Д゚;) カメラの話みたく追いかけてないもんで、全然知りませんでした。
あの決着は知りませんが
あのスピーチは凄腕のアドバイザーが付いてましたね。
「私は今、一人でこの席に立っていますが孤独感は無い、世界中のTOYOTAの従業員が私と一緒にいます」
みたいな内容だったと記憶しています。日本的発想じゃないですよね。
ミノルタやホンダのバイクなどでも法廷戦術を読み間違えて痛い目にあってます。
さあどうなるのでしょうか?
REDもSONYも日本では何も話してくれません。
双方、ビジネスジェットで法廷に来るようなスター弁護士登場で
第二ラウンド開始。
面白がってるわけではありませんよ。
どちらのメーカーも愛してますから。
結局のところ、金で片付けたわけですよね。
Alexaが10万$/機として1機あたり1%として1,000$くらいは払うんですかね。
全く出鱈目な計算ですけどww
どうなんでしょ? ボクなどには全くの出鱈目さえデッチ上げられません(笑)。だいたい Alexaってワールドワイドで何台くらい使われてるんでしょ? 何千台? 何万台? …そんないかない? まったく見当がつきません。(^_^;)
あくまでも和解金という形ですが、940億円払っとりますトヨタさん。
和解金としては史上最高額らしいです。
過失が無いことが証明されたはずなのに何てそんなん払わなけりゃならないのかと・・・
ふへ〜!、そそそ、そんなに徴収されちゃったんですか? …とも思いましたが、ザッと乗用車 5,000台分くらいの金額ってことですか(一台単価 200万くらいとして)。ま、安くはないですけど、この先も商売を続けさせて頂くための “みかじめ料” ってことで理解するしかないんでしょうね。。。