皆さん、お待たせしました! ありがとう System5さん!な、BMCCのインプレッションレポート第二弾です!
なにを隠そう、今週はずっとコレ一本にかかりきりになりたかった… にも関わらず、うしろで連日、各社から無視できない新型カメラが出てくるもので、気もそぞろに「登場!」記事を書いていた raitankであります。
さて。『ホントに9月なのかこのヤロー!』と天に向かって悪態をつきたくなるほど暑かった9日・日曜日の昼下がり。都内某所のウォーターフロントに集まった怪しの影は、仁太郎さん、謎の業界重鎮 Mr.Tさん、muuさん、丸目四燈さん、そして1-300さん。
急遽参集した皆さんの目的はただ一つ。そう、シネマレンズ、CN-E24mm T1.5 L F!
…いやそうじゃない!そうじゃなくって BMCCだろう!? のはずなんだけど(汗)、うち何人かは、正直、『うひょ〜!シネマレンズあんの!?』な目的で集まっていらした事をボクは知っています。(-_-)
ま、それはさておき。この日行ったテストはズバリ、炎天下の日差しこぼるる青空&川面を背にして、半分日陰の場所に立ってもらった人物を撮るという、『ホントにダイナミックレンジ、13ストップもあんの?』なテスト。
…なのですが、例によってボクはあまりテクニカルな人ではありません。数字にも弱いです(あまり興味がないともいう)。あまつさえ、そういうキチンとしたレビュー記事は海外ソース等にもすでにありそうです。なのでボクは先日の予告篇映像でも触れたような、実際に BMCCで撮ったデータをいじったら何が見えてくるのか? なにができるようになるのか?という部分に焦点を当ててレポートさせて頂きます。
今回の即席テストでは、お集まり下さったお歴々に手取り足取り手伝って頂きながら、ProRes 422(HQ)と Cinema DNG RAWによる撮り比べを試したのはもちろん、ビットレート 160Mbit越えにハックした GH2や、1-300氏謹製 LOG的ピクチャースタイルを搭載した 5D MarkIIIとも撮り比べしてみました。
というわけで、Part2は GH2 vs BMCC(ProRes)篇です。
まだ、ほんの数時間しか触ったことがない BMCCではありますが、今回のテストを通じ、ボクは BMCCが吐き出す ProResデータにすっかり惚れ込んでしまいました。BMCCが採用した ProRes422(HQ) というコーデックは、5種類ある Apple ProResファミリーの中で、αチャンネル付き「ProRes 4444」を除けば最高画質の設定です。220Mbit、可変ビットレートのイントラコーデック(ALL-I)という問答無用な高画質仕様とはいえ、RAWのように後からパラメータを調整する自由度はありませんから、「飛んだ/潰れた」が御法度!なのはその他のコーデックと変わりません。
ですが BMCCの場合、ProResとして収録する前段階の、画像処理エンジンの “味付け” がかなり優秀であることが感じられます。カメラ設定で選べるダイナミックレンジを「Film」にすると収録データは自動的に LOGモードになりますが、この LOGモードが、なんというのか…
EOSや GH2でやっていたシャープネス/コントラスト/彩度を下げ切ったインスタントLOG風味から、有名な「Flaat」を初めとした “スーパーフレット” 系ピクチャースタイル、あるいは C300の C-LOGまで含め、今まで触ったことがあるどのデータよりも、映画の世界で使っている “ホンモノの LOG” ってこんな感じ?に近い気がしました。
今回のようなシチュエーションでは、背景の空が白飛びしないように撮影すると、手前の人物が露出アンダーになります。このような素材をグレーディング・ソフトに持ち込み、人物が際立つように明るくすると、本来、潰れて見えない筈のノイズが顔を出します。右の画像は、上から ① 撮影データ 〜 ② Apple Colorの「プライマリー補正」でホワイトバランスとコントラストを調整した状態 〜 ③「セカンダリー補正」で人物周辺に2つビネットを切り、それぞれゲインとガンマを持ち上げた状態です。
GH2で撮影したデータ、BMCCで撮影したデータ、それぞれに同じ処理を実行しましたが、この時、コントラストが上がり、2段階にわたって信号を無理矢理持ち上げられた人物の顔を300%に拡大したのが下の写真です(クリックして拡大してご覧ください)。
どちらも過度な露出補正で階調が乱れていますが、GH2のほうがよりボソボソして色情報がまだらになっているのがわかるでしょうか? これは本来なら画像処理エンジンが黒く潰して隠してしまうダイナミックレンジ外の部分を無理矢理引っぱり出してみたものの、「やはりそこは情報が足りなかった!」という状態です。
さてグレーディングでは、「プライマリー補正」で全体の調子を整え、「セカンダリー補正」で際立たせたい対象をザックリと背景から分離し、それからようやく各種のクリエイティブ調整に入ります。そしてこの調整時にこそ、レンジや階調の “情報量の多さ” がものをいいます。ここでは、ボクが「わ〜!すげぇ!」と一人で空騒ぎしながら行った調整の数々をくどくどと記すことはしませんが、BMCCのLOGデータは、ガチでヤバいです。こんなグレーディング体験は生まれて初めてでした。
もちろん、ボクは一介の一眼ムービー野郎に過ぎず、たとえば たまげんさんのようなプロのカラーグレーダーではありません。今まで触ったことがあるカメラの生データは、基本どれも民生機ばかり。REDや Alexa等、LOG/RAW収録ができるカメラのデータなど、いじったことがありません。
※ 写真はクリックで拡大します
そんなボクが BMCC LOGすげぇ〜!と云っても説得力がないのは承知していますが、それでも上の写真の左側、カメラ出しのオリジナルを見てください。こんなフラットな絵が右側のようになるなんて、とても信じられなくないですか? これこそ、今まで何度も目にしてきたハリウッド映画のカメラ出し LOGと、グレーディング後の絵に非常に近い!
というわけで、ご参考までに上のカメラ出し ProRes422(HQ)データを10秒抜き出して、ダウンロードリンクをご用意しました。良かったら、ご自身の環境で実際にLOGグレーディングを体験なさってください(DropBoxなのでダウンロード速度が遅いです)
▶ BMCC LOG(ProRes 422(HQ))オリジナル・データ(10秒|zip圧縮 218.6MB)
レンジが広く情報量が豊富な “ホンモノの LOGデータ” を、Resolveや AfterEffects、Apple Colorなど、内部 8-bit以上の色空間でグレーディングできるソフトで調節すれば、画素の劣化等もほとんど気にすることなく、色や光を自由に増やして減らして、シーンの奥行きや空気感を表現することができるんですねぇ。いやはや、Resolveを勉強するのが楽しみです!
…というわけで、次回はついに Cinema DNG RAWに突撃します! (^_^)v
23 Comments
初めまして、いつもraitankさんの記事で勉強&参考にさせてもらってます。
分からない情報や知りたい情報を検索すると必ずraitankさんのサイトに辿り着きますwありがたい。
BMCCを予約しておりますが、いつまで経っても入荷の気配がないこの頃ですが実際、Test撮影を行ったraitankさんに聞きたいのですがCinema DNG RAW収録の際、RAW画像の連番ファイルで収録されると思うのですがその際、音声はどのように保存されるのでしょうか?
音声はWAVやMP3と言ったファイルに別に保存されるのか、それともProRes収録など動画ファイル収録時のみなのでしょうか?
スチールではCamera RAWは触れる機会は多くあると思うのですが動画でのRAW収録というものに全く触れたことがなくCinema RAWとCamera RAWとでは何が違うのか分かりません、、、。
サンプル公開されているBMCCのRAWデータも触っては見ましたが音声の部分とCameraとCinemaの違いも分かりませんでした。。。
無知な質問で申し訳ないです(泣)
kinokoさん、こちらこそ初めまして。(^_^)v
さて、うちにも一向に届く気配のない BMCCですが(もう半ば諦めました…)、RAW(CinemaDNG)収録の際には一回の撮影につきフォルダが一つできまして、その中身は以下の画像のような按配になっています。音声は kinokoさんご推察の通り、.wavの別ファイルになっています。そして各フレームが RAW画像データとして無限に並んでいます。
つまり、わかりやすく写真のデータに即して云えば、Cinema DNG RAW= Camera RAWファイルの集合+wav音声ファイルということですね。
この辺りは触れば一瞬でわかるものの、実際にいじるまでは、頭の中が「?」だらけになりますよね〜。(^_^;)
ご返答頂いてありがとうございます。
とてもスッキリしました。
田舎者で店頭展示のBMCCの触れる事はおろか、実機を見た事もなかったので教えていただいて助かります。
いつになるのか分かりませんがコタツでお茶飲みながら気ながに待ちますw
(春になるかもしれませんが、、)
いつも楽しく拝見させていただいております
情報を頂くばかりでは申し訳ないので、自分なりに情報発信させて頂こうかと思います
どちらにコメントすべきか迷ったのですが、取り敢えず最新のBMCC記事に書かせて頂きます
話題のBMCCですが、当社は先週に納品されました
既にアナウンス済みのメリット・デメリットは皆さんご存知の事と思いますので、それらでは伝わってこなかったインプレッションさせて頂きます
まず、ここ三日間撮影した結果は、事前情報以外の部分で満足八割不満二割といった感想です
満足の大部分を占めるのは(全ての領域においての)レンジの広さ!
ダイナミックレンジに限らず色域も広く、今までのグレーディングがママゴト遊びに感じる程です
現像時のホワイトバランスが(本来の意味での)色温度調整として寒暖自在に調整できます
不満点は高輝度部分のノイズと特定条件下の色ニジミですね
高輝度ノイズは初期のRED ONEに見受けられた類のもので、ファームアップでの改善は期待薄ですので、二代目以降のCMOSに期待といったところです
それまでは後処理でシコシコ消すしかなさそうです
(極端な露出オーバー部のみ出るもので、高輝度部に必ず出る訳では有りません)
特定条件での色ニジミは、まだ検証中ですので想像の域を出ませんので詳細は差し控えさせて頂きます
検証終了時に再度ご報告させて頂きます
(DSLRの不快なラインスキップから開放されたと思ったら、新たな悩みのタネです)
ですが、最初に申し上げたとおり不満点を補って余りある満足点
五月のオーダーから半年以上待った甲斐がありました
カメラ本体のマウント部分からセンサー部の画像がネットでは見た事が無かったのですが、光学ファインダーが無いだけあって非常にシンプルな作りです
これなら前玉フィルタに拘る必要も無いかと思い、Rokinon 14mmもオーダーしました
NDに関しては後玉部に取り付けるよりも、カメラ本体にゼラチンフィルタを取り付けて擬似内蔵NDにしようと計画中です
以上、長文で失礼致しましたが「BMCC・届いた」的なレポートが未だネットにほとんど上がってない状況ではレポすべきとの変な使命感に駆られ書きこませて頂きました
全世界で数千台のバックオーダーを抱えるカメラをいち早く入手できた事に感謝致します
TVhouse arcさん、こんにちは。BMCCが先週納品されたとのこと、おめでとうございますっ!また、詳細なレポートをありがとうございます。「今までのグレーディングがママゴト遊びに感じる程」というご感想は、ボクもちょっとだけ試し撮り〜グレーディングしてみた経験から、全くもって同じ感触を感じました。…と同時に、あぁもう一眼には戻れないなとハッキリ悟りました。
な〜んて云いつつ、いつまで待っても BMCCが届かないので、いまだに一眼で撮ってますけどね。(^_^;)
EFマウント版は、そう言われてみればマウント部が単なる空洞ですよね。このスペースを利用してフィルタを取り付け、疑似内蔵NDに!というのはアイデアですねぇ〜。ボクも真似させて頂きます。
おいらプロのグレーダーじゃないっすよwww
うちもこないだイベント用に一日テスト撮影をかなりやったんですが、RAWのグレーディング耐性はあたりまえですが、
このProRes FilmのLog映像の扱いはちょっと驚くほどの結果です。
F3のS-logをKiPro収録とか、C300のCanon-LogをKiPro収録とかと肩を並べるものだと思うんですが、一番の利点は外部レコーダーが要らないこと。外部レコーダーを使っても、中にRAW収録もできるとか、もういろいろ考えちゃいます。
すばらしいの一言ですね。ちょっと気になるノイズはありますが、ファーストロットのできとしては、かなりのものかと。
もうすばらしいです!
あ、それと、ProResのLogで収録した場合、Resolveに読み込んで、Input Lutもしくは、ノードでLut当てられるので、そこで「Blackmagic Cinema Camera Film to Rec.709」だったかをあてると簡単にDeLogできます。
で、これである程度色味とコントラストを出して、あとは普通にグレーディングすると手っ取り早いですよん。
うっ。たまげんさんて、グレーダーが本職じゃなかったんですか? (^_^;) ボクはまたてっきり… スミマセン。
あと、「Blackmagic Cinema Camera Film to Rec.709」で DeLOGの件なんですが、このプリセットLUTって Resolve Liteにも入ってますかね? なにしろ、まだカメラ本体が届いてないので、Resolve本番が手もとにないもんで…(笑)
あ、え、っと。
Resolve Liteにも入っています。
あ、正しくはそろそろ入ります、でした。
そういやResolveにもまだだったな。。。。
「そろそろ」なんですね。ボクも今日いろいろ試してたんですが、見つけられた内蔵 LUTは Canon LOG用の 1D LUTと、Alexa LogC用の3D LUTだけでした。まだ BMCC用はインプリメントされてないみたい?
待ってましたのBMCCレビュー第二弾!読ませていただきましたっ!
いち早くハックGH2&5D3との比較検証、さすがはraitankさん!ボクらが知りたい事ド真ん中をズパッ!とやっていただけて、ホントありがたや〜!
しかしBMCCの「真のフラット」記録、とってもとっても魅力的です。圧縮記録方式でさえも10bit ProRes422で220Mbps….うーむ。
H264だAVCHD(=H264ですケド)だなんだ、ちょっと色褪せちゃうなぁ(^_^;)。
第三弾、第四弾、第五弾くらいレビューして欲しいです!正座して待ってますので宜しくお願いします〜!
いやあ、GH2&5D3との検証はもう全く、一から十まで 1-300さんの差し金… もとへ。アドバイスでして(笑)。そして、筆が遅いので(って表現も使いづらい世の中ですが)、アッという間に世間はすでに “次” の α99、GH3、ひいては Photokinaの話題へ Go!って感じで。ホント、去年までののんびりした時の流れがウソみたいな今年です。
黒いカオナシ5号のmuuです。
シネマレンズ美味しかったです(違)
しかし楽しかったなあ。
布教工作は着実に実を結んでおりますよ。おれもデビューするかー!
その弐も面白かったです。がその参早くしないとPhotokina週間始まりますw
そっか、今週はもう Photokinaかぁ。B.Logan卿&P.Bloomセンセの共作 GH3プロモムービー「Genesis」も発表されて、どんどんそっちに流されそうですしね。いや、ま、ボクのほうは、ひっそりとしぶとく…(笑)
ProRes収録ができるのはほんとに便利ですねー
ちょっと質問で申し訳ないんですが、先日のBlackmagicとREDとC300を扱えるイベントでBMCCの吐き出すProResは8bitですという話を聞いたのですが、もしかしてこの情報は間違っていますでしょうか?Part1の記事を見てProResいけるなんてすごい!と思いましたが8bitと聞いてがっかりしていたところでした。これが誤情報だったらめちゃめちゃうれしいです!
ちょうど先日聞いたところ、BMCCのProresは、10bit 422ということでしたよ!
素晴らしい!
昨日この記事を公開してから定例撮影に出かけたんですが、往復の東名の大渋滞と日中の日射にやられて、帰宅後バタンQ。お返事遅れてすみません。
BMCCの ProRes、ボクも何bitなんだろう?って思ってたんですが、10bit 4:2:2なんですかー。素晴らしい!ますます、ProResで(が)いいや〜!って感じです。…というか、色々お詳しくハンパなく RESが早い tedukakaz社長がいて下さって助かります(笑)。
ProRes(HQ)なので10bit4:2:2で間違いないです。
これはProRes側の仕様です。
ちなみに無印のProResが8bit 4:2:2、以下(LT)や(Prox)も8bitです。
まぁ、実際いじってみると、ProResとRAWではグレーディング耐性やノイズの乗りなど結構違うところもありますし、2.5KのママかHDにダウンコンされているかの違い、などなど、差異はなくはないんですけど、512GBのSSDで5時間(24p時)撮れるっていうのが一番の魅力です。
音楽のライブ映像とか、もともとダイナミックレンジが必要な撮影にはスゴくちょうどいい気がしてですね。。。
ま、ローリングシャッターがひどいんで、ロックもののでストロボとかがんがん使われるとちょっと。。。ですけど。
どっしゃー。(゚Д゚;) なんたること! Final Cut Proの誕生以来、ProResと共に生きて十余年、ProRes 422(HQ)が 10bit 4:2:2だったってこと,今まで知りませんでした。いや、お恥ずかしい限り…。っていうか、自分のブログながら本当に役立つ情報満載で素晴らしいなぁ〜(違)。
たまげんさん仰るとおり、Prores(HQ)ってHPにでも書いて置いてくれれば一目で10bit 422ってわかるんですけどね(^^;
今のところマニュアルの中だけ、という。
先週のイベントでBlackMagicの担当者からProRes出力は8bitだと聞いたのですが、たぶんその担当者がよくわかってらっしゃらなかったかもしれませんね。微妙にHQでも出力は8bitなる落ちが怖かったのですが、大丈夫そうですねー
この辺の検証は、レビューなどで各社さんにいろいろ無茶なご手配願っている立場上非常にやりにくいので、raitankさんにやって頂けると凄く助かります(^^;
「ほら、かのraitank氏もこう仰っておられる!」と言えますので(笑)
と言うわけで、第三段も期待しております!
PS
しかし、BMCC Logには驚きますよね。
次の長期取材は全部これでこなしてくるつもりです。