Tessive TimeFilter:Cine Gear Expo 2011で注目の的!

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今週は、火曜日に FCP-X の発売が開始されて以来、急遽 “仕事やりたくないモード” に突入し(爆)、色々と関連情報収集のためにネットをウロウロしたり、はたまた詳しく読み込む時間がとれぬまま「あとで読む」モードにしていた Cine Gear Expo 2011のおさらいをしてみたり…。
で、本日はその Cine Gear Expo 2011で各方面から絶賛されていた、米・ベンチャー Tessive LLC 社の TimeFilter™という革新的な新製品の話題。

あ。ただ予めお断りしておきますと、この製品は GENロックと360°シャッターが必須なので、一眼ムービーでは使えません(泣)。さらにお値段もフルセット$145,000(約117万円)と、基本、個人で所有して使う類の道具ではなく、レンタル機材の扱いかな?と。

では、早速行ってみましょう。

● Tessive TimeFilter とはなにか?
TimeFilter は “デジタル液晶グローバルシャッター” です。見かけは下左の写真のような、4x4 あるいは 4x5.65 インチの標準角形フィルターそのもの。実際、マットボックスのフィルターステージに入れて使います。ですが、普通のフィルターとは違って下からケーブルが伸びているのが見えますね。ここから給電することにより、液晶グラスが希望のシャッタースピードで、“なめらかに” 明るくなったり暗くなったりして、外部シャッターとして機能します。

ん? シャッターならカメラに内蔵されてるじゃん? なんでわざわざレンズの前に別のシャッターを?
その理由はズバリ!カメラに内蔵されたオン/オフ方式(矩形波)で動くデジタルシャッターを無効化し、TimeFilter のなめらかな明暗(改良型サイン波)によるシャッターに置き換えることで、デジタルシネマカメラに特有のカクカクした動き(ストロボ効果)を根絶することっ!

RED や Alexa 界隈の超有名人で、“地球上で一番シネマカメラに詳しい男” の異名を取る Adam Wilt さんという DP がいます。Adam さんは ProVideo Coalition という映像業界では泣く子も黙る有名なサイトを運営されていますが、そこの Cine Gear Expo 2011について綴ったブログの中で Tessive TimeFilter が解決してくれる問題について、こう解説してくれています。
Pro Video Coalition : Cine Gear Expo LA 2011

(フィルムカメラの)シャッターは、デジタルのオン/オフ動作でフィルムを露光させたりしない。シャッター板の回転に伴ってフェードイン/アウトを繰り返しながら、いわばソフトエッジのブレた残像を残しながら、フィルムに届く光を遮るのだ。一方、デジタルカメラの 180°シャッター(1/48秒)で 24p収録した動きの中には、フィルムで撮影した素材よりもずっと顕著にシャッター効果やガタツキが見てとれる。これは、エッジがシャープなモーションブラーの仕業だ。
知り合いの DP の中には、この現象が嫌だからとシャッター速度を落として 270°(1/32秒)で撮影している人もいる。こうするとブレの残像が伸びるので、たしかに部分的にはシャープなエッジが緩和される。だが、同時に画面全体がボケてしまう事も否めない。

それ以外にも、おおむね 50fpsもしくは 60fps以下での撮影ではいつでも、またフィルム撮影時にシャッター面積がフルフレーム以下の場合などに、明らかに有害な「ワゴンホイール効果」のような “動きの雑音” とでもいうものが紛れ込む。動いているものを収録する際に生じるこうした不具合は、フィルムカメラでもデジタルカメラでも同様に起きる。そして、フレームレートを下げれば下げるほど、あるいは1フレームあたりのシャッター面積が減れば減るだけ悪化する。

TimeFilter は、これら二つの問題をとてもシンプルに、まとめて解決してくれる。

以下の写真が、Tessive社の製品カタログに掲載されている TimeFilter で改善された映像からの抜き出し画像です。確かにノーマルシャッターでは、被写体が高速に動き去っているにも関わらずフェンスが微妙にくっきり写って(絵を汚して)いることがわかりますね。



Adam さんが指摘しているもう一つの有害な雑音、ワゴン・ホイール効果は日本語では「時間折り返し雑音(Temporal Aliasing)」という難しい用語で呼ばれている視覚現象の一種で、映像の中で馬車の車輪のスポークやヘリコプターの羽が止まって見えたり、あるいは実際の回転方向とは逆に回っているように見える現象です。

Wikipedia では、こんな風に解説されています。

ワゴンホイール効果:
映画では一般に毎秒24コマの静止画を撮影している。車輪が毎秒24回転もすることはないが、車輪に12本のスポークがあって、車輪自体の回転数は毎秒2回転とする。これを映画のカメラで撮影すると、スポーク群の位置関係はコマ毎に全く同じになる。そのため車輪が止まっているように見えることになる。実際には、個々のスポークはコマ毎に位置が異なっているが、スポークとスポークの見分けがつかないので、変化を感じ取ることができない。
車輪の回転が毎秒2回転より若干遅いと、スポークの位置はコマ毎に少しずつ(回転方向とは逆方向に)ずれているように見え、車輪がゆっくり逆回転しているように見えることになる。


TimeFilter を使うことで、このワゴンホイール効果がすっかり消えてしまうのは圧巻で、これはもう言葉で説明するよりも、ぜひ実際の効果を見ていただきたいと思います(再生開始後、28秒後から)。
http://www.youtube.com/watch?v=W8JeZizCHzE
いかがですか? ジェームズ・クルーズ監督作「幌馬車(1923年制作のサイレント映画)」の昔から、望むと望まざるとに関わらずひたすら逆回転し続けてきたワゴンホイール(馬車の車輪)が、ようやく21世紀になって正しく見えるようになるんですねぇ…(泣)。
そしてさらに、消えてなくなるのはこの「ワゴンホイール効果」だけではなく、なんと!CMOS センサーの悪しき特徴である「ローリングシャッター」まで綺麗サッパリ根絶してしまうという、おそるべきTessive TimeFilter!

まだ開発されたばかりということで値段がお高いことと、装着すると2ストップほど光量が落ちてしまうという弱点はありますが、それらを補って余りある絶大なる効果といって良いのではないでしょうか!?

…敢えて欲を言えば、カメラ内のシャッターをわざわざ無効化して使う外付け装置としてではなく、全シネマカメラが最初から標準で TimeFilter シャッターを内蔵すれば良いようにも思いますが(汗)。…って、RED や Arri あたりが早々に会社ごと買収して自社製品に取り込んでしまう可能性もありますよね。いずれにせよ、Tessiveというメーカーの名前は覚えておいて損はないと思います。

Tessive LLC
Tessive LLC YouTube Channel

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