36.3メガピクセルの FX(フルフレーム)センサーを搭載し、華々しいデビューを飾った Nikon D800は、「待望の!ヘッドフォン端子」や「驚きの!クロップ撮影モード」など、一眼ムービー派にとっても注目度の高いカメラです。が、同時に、D800はそのデビュー当初から動画データのダウンサンプリング方式が、かの悪名高い「ラインスキップ方式」ではないか?との疑惑の声が上がっていることを以前ご紹介しました。
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※ 動画信号のダウンサンプリング方式
高精細な写真を撮るための道具である一眼レフカメラには、フルHD動画(1920x1080)にはオーバースペックな 7360x4912や 5760×3840などの “ラージセンサー” が搭載されています。この大きなサイズのセンサーから出力される高解像度のデータをリサイズ(ダウンサンプリング)する方法には幾通りかのやり方があり、「n画素混合方式(Lumix GH2等)」、「nxnビニング方式(Nex-5n等)」、「ラインスキップ方式(EOS 5D MarkII等)」などが知られています。この内、もっともシンプルなラインスキップ方式は、原理的に一番モアレ(干渉縞)が発生し易いので敬遠されています。
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個人的には、岩永 洋さんが Nikonのショールームでテスト撮影してきた映像を拝見し、椅子の背にくっきりと出ているモアレを確認していたので、D800がラインスキップなのは、まぁほぼ間違いあるまいと踏んではいました。
ですが、そこへこのほどトドメの一撃(?)がやってきました。
ドイツ在住の写真家である FALK LUMOさんが、ご自身のブログに公開した検証結果をご覧ください。
▶ FALK LUMO : LumoLabs: Nikon D800 video function demystified
以下、詳細かつ厳密なテストとロジック並びに検証結果と考察部分をもろもろ全てスッパリと省略して(爆)、肝心な部分だけを孫引きさせて頂きますと、次のようになります。
D800は FXモード 1080p フルHD動画データを、以下のやり方で作っている
① 全有効画素から 6,720 x 3,780の領域を切り出す(クロップファクター1.095倍)
② この領域を(画素混合等の処理は行わず単純なラインスキップ方式で)走査方向に
3本に1本抜き出し、6,720 x 1,260画素のRGGBベイヤー配列の画素を取得する
③ 上記のデータを “デ・モザイク(CFA補間)処理” して得られる 2,240 x 1,260
の RGBデータを 7:6の比率でダウンサンプリングしてフルHD(1,920x1,080)
データを作る
というわけで長らく全世界的に注目と疑惑の的であり、当の Nikonは頑なに固く口を閉ざして開示してくれなかった D800のダウンサンプリング方式は、「ラインスキップ方式」であるということで確定でしょうか? ただ、Lomo氏曰く、世界的に忌み嫌われている方式であるとはいえ…
5D MarkIIの手法をただ真似るのではなく、より高画素化されたセンサー信号に合わせてきちんと進化/改良させている点は評価したい。特に最終段で 1260pを 1080pにダウンサンプリングするのは、従来の 5D MarkIIや、あるいはデ・モザイク処理前に画素を混合するその他の方式よりも、むしろ解像感の向上が期待できる
と述べています。
この従来のラインスキップ方式からの進化/改良に関しては、ゆえあって3月に某所でほんの短時間 D800を触らせて頂く機会があったのですが、普段使っている 5D MarkIIとは別次元のクリスプな高画質で、とても同じ方式とは思えないというのがボクの個人的な感触でもありました。
また、今までも度々書いてきましたが、ボクはもともと Nikon派なもので、手持ちレンズはすべてFマウントです。また個人的に、昔から Canonの「記憶色再現」の考え方があまり好きではありません。3月、しばらく D4を借りて動画の撮影テストをさせて頂いたのですが、なによりもまず素材として使い勝手の良い「忠実度重視」の発色に、「ああそうそう。Nikonってこうだった」的な安心感を久しぶりに思い出しました。
Nikonのカメラだったら、本体内のセッティングを調整するだけで、「CineStyle」とか不要なんだろうなぁ…。う〜む。
以上、そんなに大勢いらっしゃるとも思えませんが、主に一眼ムービー Nikon派の皆様向けの情報でした。(^_^;)
7 Comments
raitankさま、はじめまして。
少し前より拝見しております。おかげさまでGH2購入してしまいました(汗。
vimeoにD4,GH2等テスト動画をアップされてましたね。
D800,D4,GH2を持ってますがhack GH2が一番高精細で素晴らしいですね。
やはりNikon機はラインスキップでしたか、、、。
でもD4のクロップモードだけはラインスキップでは無いようですね。
ぷ吉さん、コメントありがとうございます。D4、D800、GH2をお持ちなんですかっ!? すごっ! (゚Д゚;)
高精細な画質ということでいったら、ハックGH2を打ち負かすカメラはちょっとどこにもありませんよねぇ。あとは、もう少し画調がいじれればなぁ〜と、そこだけちょっと残念です。
あと、ダウンサンプリングが「ラインスキップ方式」なのは、あくまでも D800のみです。D4のほうは「nxnビニング方式」なので、モアレは基本的に問題にならない筈ですが、いかがですか?(ボクの D4テストでも、モアレは出ませんでしたが…)D4のFXモード、DXモードで画質が明らかに劣化するのはダウンサンプリング方式の問題ではなくって…
おっと、これはまだ書けないのでした。(^_^;) きっと近いうちにどこかで稿を改めて…
raitankさま
当方何でも自分で使ってみたい性分でして、、、D4,GH2は残してD800は手放す予定です(^^;。仰るようにD4FXモードはモアレは出ないです。
D800がかなり高精細なのでD4FXも高精細モードが欲しいですがNikonは対応してくれませんかね(ファームUP等)。
>おっと、これはまだ書けないのでした。(^_^;) きっと近いうちにどこかで稿を改めて…
まだ書けないとは何か秘密がありそうですね(笑。書いて頂けるのを楽しみにしております。
なるほど。海の向こうでは、5D MarkIIIからローパスフィルターを取っ払ったら解像感が向上した!なんて話題がありましたが、D800のローパスなしバージョン、D800Eが大人気らしいですね(笑)。Nikonの予想を大幅に上回る予約数で、供給不足になるとか。ローパスがなくなったら、エイリアシング、モアレが盛大に出て、特に動画では全くNGだろうとは理解しつつ、ダメもとで、このD800Eで動画を撮ったらどのくらいどうなのか?見てみたくて仕方がありません。(^_^;)
ちなみに、ぷ吉さん、コメントが公開されなかったようですね。何が原因かわからないんですが、ときどき即時公開されないで「承認待ち」フォルダに振り分けられちゃうことがあるんです。そういう場合は、あとでボクが手作業で対処しています。何度もアップさせちゃってどうもすみませんでした!< (_ _)>
raitankさま
投稿がうまくいかないようだったので何度も投稿してしまいました。
お手数おかけしましたm(_)m。
D800Eの動画も興味ありますね~。でも簡単には手に入らなさそうです。
D4のDXモードは1280×720を拡大処理してるという記事がビデオαに載ってましたがちょっと使いたく無い甘さですね。
ところでGH2ですがhackモードではライトエラーになります。Transcend SDXC class10では役不足なのかも。Sandisk Extreme pro SDXC UHS-I (95MB/s)あたりがおすすめでしょうか(^^;)?
始めて投稿する者です。
いつも、興味のある話題を参考にさせてもらっています。
ラインスキップ方式でもキャノンよりましと聞いて少し安心しました。
当方も、ニコン派で、キャノンの製品は昔から好きになれませんでした。
20代の時にニコマートFTNを購入、今も大事に所持しています。
購入の際、キャノンも検討したのですが余りレンズやシャッターが良くなく
購入しなかったのを記憶しています。技術的には今でもニコンが上とおもっています。
動画対応一眼レフカメラを発売したのはニコンが一番早くD-90がキャノンより
早かったでした。
その後ニコンの戦略はキャノンと違った為に少し遅れを取りましたがようやく
D800で面目を復活した感じがします。
ただ、雑誌やネット等ではキャノンの製品が取りざたされるのが多くニコンファン
としては少しがっかりですが、今後D800を起爆剤として、今後の新製品でキャノンを
圧倒して欲しいと願う次第です。
ビデオファンさん、初めまして。コメント、どうもありがとうございます。(^_^)v
Nikkorレンズはマウントアダプター経由で EOSにつけて使えますが、その逆はできません。またフォーカスリングの回転方向が、Nikkorレンズだけその他多く(特に映画用レンズの標準)と逆なため、世界中で不興を買ってしまいました。主にこの二つの理由から、Nikon派一眼野郎ってそうそういませんよね(笑)。
でも、技術面でも、価格面でも、ライバルメーカーは多いほうが切磋琢磨し合って、僕らにとってはメリットが多いですし、ボクも Nikonさんには是非とも頑張って頂きたいです〜。
ただし一点だけ修正させて頂きますと…
> ラインスキップ方式でもキャノンよりましと聞いて
正確には、「ラインスキップ方式でも、従来機種である 5D Mark2が採用していたラインスキップ方式よりはぜんぜんマシ」です。