Final Cut Pro Xの「基本シナリオ」を FinalCut Pro7で開くことができる「タイムライン」に変換してくれる Project X₂7(プロジェクト・エックス・トゥー・テン)というソフトを使ってみたので、以下、使用感というか、使い方というか、すんなり行くところ、行かないところ等を書いてみたいと思います。
Project X₂7は、FCP-Xの「XMLを書き出す…」コマンドを利用して、本来なら Appleが用意しておくべきだった最低限の下位互換機能を実現してくれる、米・ Intelligent Assistance社の製品です。
お値段、$49.99(約¥3,900)。相互互換ではなく下位互換のみ(Xから7へ行けるけど逆はムリ)なところが少々残念ながら、FCPユーザー待望の製品です。
▶ Intelligent Assitance : Project X₂7
そういう便利なソフトが出るらしいという噂は以前から耳にしていましたが、二週間ほど前に takashi uedaさんに発売が開始されたことを教えて頂き、いつもの調子でさっそく購入してみました。以降、後述する “ちょっとしたトラブル” を経て今では便利に使えるようになりましたので(笑)、ワークフローをまとめておきます。
<Project X₂7 のワークフロー>
① 「最適化されたメディアを作成」する
FCP-Xになって、EOSの H.264や Lumixの AVCHDがトランスコード(変換)不要で読み込み/編集可能になりました。これは便利!
…でも、そのまま FCP-Xで編集してしまうと、Project X₂7経由で送った先の FCP7は一眼のネイティブデータに対応していないので、「開くことはできたけど編集できないシークエンス」というワケわかめなものが眼前に現れてしまいます。
なので、FCP7でのフィニッシュを前提に FCP-Xで編集する場合は、データ読み込み時に必ず「最適化したメディアを作成」をチェックしてください。
このオプションを選ぶと、読み込まれたデータはバックグラウンドで自動的に Apple標準の ProRes422にトランスコードされるので、のちのち FCP7でタイムラインを開いた際にも問題なく編集を続行することができます。
② FCP-X で編集する
Project X₂7で FCP-X から FCP7に「持って行けるもの」には制限があります。FCP-X専用の特殊効果やトランジションがFCP7で再現できないのは自明として、たとえば「変形」や「クロップ」等の基本モーション、あるいはオーディオの「レベル」なども保持してくれません。「持って行けるもの」については、XMLの解析が進むにつれて少しずつ増えていく、とされているので、最新のヘルプドキュメントでご確認ください。
▶ Project X₂7 : Help Documentation(PDF)
上述の通り、FCP-Xには各種カメラのネイティブデータを待ち時間なしで編集できる!という大きなメリットがありますから、FCP-Xではせいぜいカット編集だけしておく!くらいのつもりでいれば良いのではないでしょうか。
ちなみに、ここではサンプルとして、わざと “持って行けないことがわかっているパラメータ” も幾つか含めて編集してみました。
③ XMLを書き出す
「ファイル」>「XMLを書き出す」コマンドを実行して XML を書き出します。この時、なぜかは解りませんが「タイムライン」ではなく「プロジェクトライブラリ」が表示されていないと「XMLを書き出す」コマンドが実行できませんので、ご注意ください。
④ Project X₂7で XMLを FCP7に送る
書き出した XMLファイルはテキストファイルです。これをダブルクリックすると自動的に Project X₂7が起動して、図のようなダイアログが出てきます。オプションを変更する必要はありませんので、そのまま「OK」を二回クリックすると、FCP7が起動します。
⑤ FCP7で編集を続行する
FCP7が起動すると、自動的に新規プロジェクトが作成され、先ほどまで FCP-Xの「基本シナリオ」だった編集データが、みごと!FCP7の「タイムライン・シーケンス」へと変換されているはずです。
そして、この例ではタイトル効果は単なる「アウトライン・テキスト」に変換され、またオーディオ編集は全て無効に、ただし「ディゾルブ」は生き残っています。
なにはともあれ、こうして FCP7で開くことができれば、Colorや Soundtrack Proに「送信」して、従来馴れ親しんだラウンドトリップ・ワークフローで作業を続け、仕上げることができます! 万歳!(^_^)v
<Project X₂7 のトラブル対策>
さて、このProject X₂7。ボクの環境では、購入当初、XMLを送るたびに FCP7がクラッシュして、全く使いものになりませんでした。「こりゃヒドい!(怒)」と、さっそく状況説明にクラッシュレポートを添付して、Intelligent Assistance社にクレームのメールを送りました。すると、ものの30分でとても丁寧な返事が! (゚Д゚) はやっ!
しかも返事を下さったのは、博士号を持つ同製品の開発者にして、同社副社長の Gregory Clarke氏ご本人でした(笑)。以降、三日間に渡って徹底的な原因究明が続きます。三日間といっても、1通メールを送って翌日返事をもらって… というような悠長なペースではありませんよ。なにしろすぐに返事が返ってくるのです。おかげで、その三日間は仕事ができませんでした(爆)。
さて。クラッシュレポートを詳細に解析した Greg博士によれば、トラブルの元凶は「HDD/Library/QuickTime/」の中にいるサードパーティ製 QuickTimeプラグインのどれかである、とのこと!
うっへぇ〜! だ、だって30個くらい入ってますけど?(泣)と、半泣きになりながら1個ずつ取り出しては再起動して、XMLをダブルクリックして様子を伺い… という昔ながらのトラブルシュート作業を開始。でも、幸い運良くすぐに原因が判明。(^_^)v
あくまで「うちの環境では」という但し書き付きですが、原因は Windows Media Videoを QuickTime Playerで視聴可能にする「Flip4Mac」プロ版のドライバでした。これを QuickTimeフォルダから取り出したところ、クラッシュがピタリと収まり、以降、何事もなかったように普通に稼働するように。
ただし、この結果を受けて Greg博士が検証したところ、博士の環境では同じ「Flip4Mac」プロ版ドライバをインストールした状態でも問題が発生しないそうで、真犯人はこのドライバ自体というよりも、QTプラグイン同士のコンフリクトらしいです。もし、皆さんの環境でクラッシュが起こるようなら、同じように「QuickTime」フォルダの中のプラグインを疑ってください。
まぁしかし。こんなもん最初から Appleが用意しておいてくれれば、余計な出費もトラブルシュートも不要だったのに!と思うと腹立たしい気持ちになります。…でもこれで FCP-Xでサクッと編集して FCP7(+Color+Soundtrack Pro)で仕上げられるとすれば、とりあえずは「めでたし!」なのかなぁ…?
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13 Comments
初めまして。もしできたら教えていただきたいと思いましてメッセージ送ります。実は私もこのソフトを使って、Xのプロジェクトを7に移行しようとしたのですが、XMLのファイルをダブルクリックした瞬間、Please choose a Project XML file exported from Final Cut Pro X.の表示が出てしまいます。プロジェクトライブラリにして書きだしているのですが。何か原因等お分かりでしょうか。実は締め切り間際に、同時撮影したブツ切りの素材がドカンと入ってきたため、Xのマルチカムを使って粗編集。ここまではうまく行ったのですが7に送ることができず、困り果てています。もしも思い当たることなどありましたらよろしくお願いします。
Gotoさん、初めまして。(^_^)v まずは、Xto7のバージョンは最新の 1.1.18でしょうか? もし最新版をお使いであれば、以下、二つ確認してください。
1)Gotoさんがお書きになっている「Please choose a Project XML file exported from Final Cut Pro X」とは XMLの選択ダイアログですが、ココで改めて FCP-Xの XMLを選択することはできないでしょうか?
2)XMLをダブルクリックするのではなく、Xto7を単体で起動すると上とは微妙に違う「Choose one or more Project XMLs exported from Final Cut Pro X」という XML選択ダイアログが出るのですが、ココで FCP-Xの XMLを選択したら変換できませんか?
raitankさん、サイト拝見させていただいています。
今回少しお聞きしたいことがありましたので連絡させて頂きました。
Xto7 for Final Cut Proの購入を考えているのですが、こちらはFinal Cut Pro7.0を
入れているMacにインストールして、Xより書きだしたXMLをXto7 for Final Cut Proを
通してプロジェクトを開くということでよろしいのでしょうか?
先方のディレクターよりXのプロジェクトが送られてくるのですが、当方のmacにはXが入っていません。なのでちょっと不安なので連絡させて頂きました。
またこのXto7 for Final Cut Proは、いくつかのmacにインストールすることは出来るのでしょうか?
初歩的な質問で申し訳ありませんが、ご回答いただけると助かります。
kouseiさん、こんにちは。
>> …通してプロジェクトを開くということでよろしいのでしょうか?
はい。そういう使い方をするためのユーティリティです。ただし、「先方のディレクターよりXのプロジェクトが送られてくるのですが」と書かれていますが、FCP-Xの XMLは(当然のことながら)FCP-Xがないと書き出せませんので、先方のディレクター様には『プロジェクトファイル(含む・全メディアファイル)の他に、そちらの環境で書き出した XMLを忘れずに!』とお伝えになってください。
それから、Xto7での XML変換にはかなり制約がありますので、その辺りについても予め先方のかたとお打ち合わせしておかれることをお勧めします。具体的には、FCP-X上では簡単なカット編集だけにとどめておくのが無難です。テロップ、フィルター、トランジションの類は、すべて強制的にデフォルト設定(例えばトランジションはすべてディゾルブ)になってしまい、FCP-X上で設定したパラメーターは変換されませんので。
最後に、複数台の Macにインストールできるかどうか?は、オフィシャルページには特に記述されていませんが、常識的な範囲でご自身がお使いになっている数台に入れる分には、大丈夫ではないかと思われます。ご健闘を祈ります!
▶ Xto7 for Final Cut Pro
raitankさん、ご連絡ありがとうございます!
ご丁寧なご対応本当助かります。
raitankさんの回答を参考にさせて頂いた上で、
一度Pr、Drと打ち合わせしてみようと思います。
お忙しいところありがとうございました!!
お久しぶりです!
ゴン・ミンソクです。最近final cut xを使い始めましたが、もともと素人なので感嘆しております。佐藤先生のゼミでみんなはCMを選びましたが、私一人だけ映画撮ることになりました。そこで今度は2.35:1で撮ってみようと思ってますがfinal cutではmatte-wide screenでいけましたがxではどうやって設定すればできるんですか???
いきなり質問ですみません。(笑)
ゴンちゃん。こんにちは!(^_^)v
えっとね、FCP7まではあった「Matte Widescreen」は FCP-X には「ありません」。なので、諦めて FCP7に戻るか?あるいは、自分でオプションを追加しなくてはなりません。ボクとしては、FCP7で編集することをお勧めしたいですが、もしも学校に FCP-Xしかないなら仕方がないので、以下のオプションを追加してください。
<さまざまな画角のマットを追加するオプション>
▶ alex4d : Alex4D Widescreen Matte
ページの真ん中辺にある「Download the effect archive for Final Cut Pro X here.」というテキストをクリックするとプラグインがダウンロードされます。
で、このオプションは Macに Motion5が入っているかどうか?でインストールの方法が変わります。学校の Macならきっと Motion5も入っているとは思うけど、念のため。
<Macに FCP-Xと Motion5が両方ともある場合>
ダウンロードすると出てくるフォルダをそのまま以下の階層に入れてください。
User/Movie/Motion Templates/Titles/
<Macに Motion5がない場合>
User/Movie/
の階層に、自分で「Motion Templates」というフォルダを作り、その中に「Compositions」「Effects」「Generators」「Titles」「Transitions」という5つのフォルダを作ります。そして、作った「Titles」フォルダの中に、ダウンロードしたフォルダをそのまま入れてください。
インストールすると、FCP-Xの「タイトル」ジェネレータから「Alex4D Widescreen Matte」を選べるようになります。
誠にありがとうございます!
助かりました。
レンダリングやeffectなどがいいと思って今回X でやって見ようか思いましたが、やはり7に戻った方がいいですかね。。。
ちなみに今回映画のためにサムヤンの35ミリも購入することにしました。
完成し次第に雷太さんにも郵送いたしますのでご指導お願いします。
もし7とXが両方ともあるなら7で編集した方が「身のため」だと思いますけど(笑)、まぁそれはどちらに馴れているか?も関係しているので、もし初めてFinal Cut Proを使うなら「あきらめて」最初から Xに馴れた方が良いかも?ですね。
…っていうくらい、残念ながらボクにとって Final Cut Pro Xはまだ「全く使いものになりません」。馴れようと思ってなるべく使うようにしているんですけどねぇ。イライラしてすぐ7に戻っちゃいます。 (^_^;)
Samyangの35mmはいいですねぇ。完成を楽しみにしてます!また連絡してくださいね!
raitankさん、こんばんわ。
色々ご苦労さまでした。
実はあれから色々有りましてProject X₂7をインストールできたのは昨日でして、自分なり検証してみた所私の環境では現時点で特に問題なく快適に使えてます。ただ使用して間もないので何か問題が有ればまた報告しますネ。
takashi ueda
uedaさん、ども!(^_^)v そうですか、問題なく使えてますか。きっとうちのMacProのSystemが色々とワヤな状態なのだと思います。2009年初頭に買って以来、超ヘビーに使いながら、ずっとクリーンインストールしないでOSをアップデートし続けてるんで、そろそろ掃除しないとアカンなぁ〜とは思ってたんですが。
でも、なにかあったら、ぜひ教えてください!
raitankさん、こんにちわ。
遅れながら色々やってみましたが大御所様のおっしゃる通りXではあら編集(結構早い)にとどめて即FCP7に送った方が効率ですね。
ところが最近FCPXを10.2アップデートした所やたらシステムが不安定なりました(汗)。
もしやと思い一度Project X₂7 を抜いてみたのですが症状は変わりません????.
ちなみにraitankさんの環境ではいかがですか?
takashi ueda
uedaさん、ども!(^_^)v 念のためのご確認なのですが、FCP-Xの最新アップデート後のバージョンは 10.2ではなく、10.0.2 ですよね?(違ってたりして?)
んで、ボクのところでは、アップデート前から一貫してかなり不安定です(笑)。具体的には、作業をしている間にだんだん色々な動作が遅くなってきて、しまいには再起動しないとにっちもさっちもいかなくなります。ところが、再起動するために終了しようとすると、終了が完了するまでに5分くらい待たされたり。なにか、メモリ管理がまったく上手くいってないような挙動です。これはProject X₂7は全く関係なく、単純に FCP-Xがダメダメな気がしています。ノ_-。