う〜ん、もうすぐ NABだってぇのに、めぼしいニュースがさっぱり流れてきませんが、例年そういうものでしたっけ? などと、とぼけた枕で始める短信3題。行ってみましょう。
▊ ようやくお目見え、Leica M type 240の動画
昨年秋のデビュー以来、ず〜〜っと見たいと思っていたフルフレームサイズ・センサー&フルHDビデオ収録機能を搭載した Leica M type 240の動画。
今までにも “Leica Mで撮影した” と称する動画は幾つかネットで散見できたのですが、なぜか全て制作クオリティがお粗末過ぎて Leica Mの性能をうかがい知ることができる作品と呼べるものがありませんでした。今回ようやくちゃんとした… といったらヘンですが(笑)、B&Hがスポンサーとなり、お馴染みのビデオジャーナリスト、Johnnie Behiriさんが撮影・編集した小品が公開されたので、ご紹介。
このカメラに注目すべき理由は、「天下の Leicaが従来のレンジファインダーの文法を捨てた異端のMだから」だけではありませんよ。内蔵しているフルフレーム・センサーが聞いたこともないベルギーのメーカー製であることをはじめ、設計や構造に日本の技術の影が差していない純粋な EUメイドであることなど、REDや Ikonoskop、BMCCに続く “日本以外の技術” によって作られたカメラという点にご注目(純正の外付けマイクアダプターは、なぜか? Olympus製のようですが)。
▶ B&H : Leica M type 240

そして結果は?
…先月末、たった1回テスト撮影しただけで「これはボクのメインカメラではない」と BMCCをディーラーに送り返した Johnnieさん、Leica Mにもかなり厳しい意見を述べています。
良い点
• バッテリーの保ちが良い
• LCDスクリーンが見やすい
• 便利で高品質なEVF
• 撮影中調整可能な音声レベル
• 最小限のモアレ、エイリアシング
• ピーキング機能(時に見づらいけれど)
悪い点
• あくまでスチルモード中心。動画専用モードがない
• 圧縮アルゴリズムがこなれていない印象
• 残念な動画品質。細部が解像していない
• 1ファイル 4GBまでの容量制限
• HDモード/最大25fpsまで
• HDMI、ヘッドンフォン、マイク端子がない
• 同時にホットシュー接続できる機器が1個だけ
• ローリングシャッターがヒドい
• ピクチャースタイルにフラットなものがない
他、細かい使い勝手に関して苦情多数
やはり Leicaだけに、あくまで「写真が第一」というスタンスを崩しきれなかった、ということでしょうか。日本国内でもよく聞く話ですが、この辺り洋の東西を問わず、会社が大きければ大きいほど、老舗になればなるほど調整が難しい “社内カルチャーの障壁” となるようですねぇ…。
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▊ またもやヘンなレンズ from イングランド
れいによって Cinescopophiliaさんが報じているおかしなレンズ、その名も「Dog Schidt Optiks」またの名を Dog Shit(犬のフン)レンズという、いかにも怪しげな英国のカスタム・レンズ・ビルダー(…とでもいうのかな?)の話題。
▶ Cinescopophilia : Dog Schidt Optiks Or If You Prefer Dog Shit Lenses
▶ Dog Schidt Optiks

Dog Schidt Optiksは、ロシア製のビンテージ・レンズ(と言えば聞こえはいいけど、たぶん二束三文で取引されている屑レンズ?)を分解し、エレメントを研磨・組み付け直してワンオフのカスタムレンズを制作しているレンズ工房。このほど、自社サイトを立ち上げ、「Flare Factory(フレア製造所)」というブランド名で、再生レンズの受注・販売を開始したそうな。
「Flare Factory」では、そもそも最初から表面コーティングなど施されていないかのように(いや多分ホントにされてない)派手なフレアがばりばり出る “ビンテージ” 58mm f/2.0レンズ「Flare Factory 58」を、£100(約¥16,000+送料)というリーズナブルなお値段でご提供。マウントは PLのほか、 Nikon、Canon、Sony、Panasonic、Olympusほか各社の一眼向けを用意しているものの、残念ながら Nikonマウントではインフ(無限)が来ないそうなので、ご注意ください。
[追記(2013年3月22日 17:10)]Ryoさんという読者の方からご連絡を頂きました。「フランジバックが長すぎて上記ロシアンレンズではインフが来ない」Nikon Fマウント版は、やっぱり製造しないことになったそうです(あららら…)。Ryoさん、貴重な情報をありがとうございました!(^_^)v
[追記(2013年3月26日 23:25)]またまた Ryoさんから追伸情報を頂きました。先日、“製造しないことになった” と追記したばかりの Nikon Fマウント版ですが、もう一度考え直して(?)やっぱり製造することになった!そうです(あちゃちゃちゃ…)。ただし、その他のマウントに比べて技術的に難しいので、Nikon Fマウント版はその他よりも £15高くなるそうです。う〜〜ん… (◎_◎;)

この「Flare Factory」が奮ってるのは、レンズ鏡筒の仕上げが「マットブラック」「ポリッシュド・アルミニウム」「ブラッシュド・アルミニウム」から選べたり、あるいは、ブルーやパープルなど、フレアの色(チント)を選べたりするところ!(笑) プロモムービーを見て、お!と思われたかたは、安心便利な PayPal決済も使える上記サイトから購入してみてください(で、何か撮影して、見せてください!)。
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▊ 1枚のガラス板のような Philipsのテレビ
Gizmodoさんで紹介されていた Philipsの DesignLineという名の新型テレビ。曰く、「カッコいいけど倒れそう!」と書かれている通り、完全に壁面立てかけ式らしく、たしかに地震の多い我らがジャポンには向かない意匠かも?(笑)
▶ Gizmodo Japan : フィリップスから発売、ガラス板のようなテレビ。
▶ MailOnline : Has anyone seen the TV? Philips reveals new £2000 ‘disappearing’ set that looks like a pane of GLASS


6月にまずはイギリスで発売される Philips DesignLine。このデザインで 55インチ(幅140cm)= £2800(約¥40万)なら、ちょっと欲しい(Gizmodoさんとこでは £(ポンド) を €(ユーロ)に取り違えていて、円換算のお値段が違うみたい)。なによりも、電源を落とした時に単なる黒いすりガラスになるってところがいいなぁ。コンクリ壁面に小さい額装金具で固定しておけば、地震だって…
って、まだ日本で販売されるかどうか?すら、決まってないんですね…。(^_^;)
10 Comments
shopに行ったらpre-orderでした〜(T^T)
PanaとNikon狙ってましたが、こういうのって勢いで買っちゃうんで待たされちゃうと「ま、いっか〜」で買わずじまいになっちゃいそう。。。。
ps.
お礼遅くなりましたが、承認有り難うございました。
ragiさん、毎度ども!(^_^)v えっと〜、DogShitなんですが、これ、Pre-Orderと言ってますが、要は半分受注生産なんだと思います。つまり注文(Pre-Order)を入れとかないと、いつまでも経っても在庫なしのままゲット不能という、海外ネット通販メインの弱小店舗がよくやるシステムというか(笑)。もちろんこうしてサイトを開設してみて、ある程度大量に注文が入るようなら、ロット生産で在庫もキープするかも?ですが、立ち上げ当初から大量に在庫を抱えることはしないはず。なので、買おっ!と思ったその時に予約を入れて忘れておく、というのが正しい作法か?と(笑)。
糞フレア58mmf2.0って、僕の理想のレンズかもしれない・・・(笑)
田中さん、田中さん、クソではありません! フンです!フン!(笑) (^_^;)
これまた気になるネタ3連発!中でもDog Schidt Optiks!ボクもSARで記事になってるのに食いついてオーダーしようと思っていたのですが、値段がわからず躊躇してました。情報ありがとうございます!
元になってるHelios 44-2を2本持っていますが、Dog Schidt Optiksが用意してる3種類の研磨、どれもカッコいいなぁと…欲しい理由はここだけス。開放ではグルグルボケがハンパないので、これ以上増やしてもしょうがないレンズなんですケドね〜(苦笑)。
研磨と好みのカラーフレア(?)に1万円以上出す、って感じかぁ(HeliosはeBayで$30くらい)…やめとこうかな(汗)。
わお。freiheitさん、ここのところ、すっかりレンズマニアですねっ!れいの SpeedBooster以来なのかな… と思ったら、Helios 44-2を2本もすでにお持ちとは!なんか、筋金入りっじゃないですか〜!(笑)
しかし。そうなんですか。原価=1本$30程度?(笑)
…それを伺ってしまうと、ちょっと手を出しづらいなぁ… と解釈するか? それとも、分解清掃と再組み付けをしてるんだから、それくらいかかっても妥当と理解するか? 難しいところですねぇ〜。(^_^;)
いえいえ!全然筋金入りじゃありません!!造詣の深い方がいっぱいいらっしゃるので恐れ多いです(冷汗)。たまたま「安く出回る良いM42マウント」でロシアンレンズのJupiterやHeliosに行き着いただけですので。
2本持つ理由も一本目のグルグルボケにビックリしてもう一本入手したら一緒でした…当時グルグルボケ発生の理由すらわからなかったのです(苦笑)。
Helios 44-2は印刷ズレのようなくっきり二重ボケまで出ちゃう個体もあるらしいので、Dog Schidt Optiksがどこまで光学を触ってくれているのか興味深いです。あまりヒドい個体は使わないであろうと期待しての£100、ですかねぇ。
しかし先日のDuclos Rokinon RAW記事も含め、4Kだなんだと賑やかな中「フレアバンバンなレンズはいかが?」なんてニュースが入って来ると個人的にはとっても嬉しいです!
なるほど〜、伺ってみれば納得の Heliosx2本持ち(笑)。でもやっぱり、惜しげもなく資本を投下されている点からも、ボク的には「筋金入り」と認定させて頂きます。(^_^)v
ちなみに、DogShitさんによれば、ロシア製レンズをただ分解して組み直しているだけではなく、ちゃんと “レーザーシャープ” なエレメントのみを厳選してリビルドしているそうです。
…ま、どこまで信用してよいか?はアレですけれども(笑)。
いつもこちらを拝見させていただいています。
書き込みは初めてになります。よろしくお願い致します。
>内蔵しているフルフレーム・センサーが聞いたこともないベルギーのメーカー製である
ARRIのセンサを作っていると思われるcypress社が、ベルギーのセンサ会社FillFactory(←フルサイズ一眼レフカメラの超初期にあったコダックのDSCpro14nのセンサ製造メーカ)を買収した際に、その内の幾人かのメンバーが独立して(反発して?)作った会社と思われます。
と、話の横っちょに食いついた割に憶測ばかりですみませんm(__)m
imagerマニアさん、初めまして!
そうなんですか。天下の Leicaが採用したのは、そういう “いわくつき” のメーカーなんですねぇ。FillFactoryという社名も初耳でしたが、往年の名機、Kodak DSC pro14nのセンサーを作っていた会社と聞いて、いきなり好感度アップ!です(笑)。 フルフレーム・センサー(しかも、ローパスフィルターレス!?)の老舗ではありませんか。それなら「ちゃんとしている」に違いありませんね(笑)。大納得の情報をありがとうございました!(^_^)v