Panasonic、Sonyのレンズ交換式ビデオカメラ、REDの宣戦布告騒動

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今春、Panasonic と Sony が相次いで「開発中!」と発表した、DSLR用レンズ交換式のビデオカメラ。一方、HD-DSLRブームの火付け役にして本家であるCanonからは、5D MkIIの後継機種に関する発表はなし。そればかりか、海の向こうのCanon系情報サイトによると、関係者筋からの情報として『MkIIIは少なくとも来年までは出ない!』という話がまことしやかに流れています。

実際のところどうなのかは、わかりませんが、ここへきて二大巨頭であるPanaとSonyがようやくDSLR用レンズを装着できるカムコーダーを発表したのはとてもエキサイティングな出来事で、日頃覗いている海外のユーザーサイトは軒並みお祭り騒ぎです。

でも、Pana、Sonyどちらの機種も、スペック的にはどうも “及び腰” の観が拭えません。Panaは自社のマイクロフォーサーズ・スチルカメラ GH-1 を、Sonyも先日発売開始したばかりのAPSスチルカメラ NEX-5 をベースにしたAVCカム… って、要はどちらのメーカーも自社製プロビデオ機器との棲み分けに苦慮しているのでしょうか?

上記の通り、Pana、Sonyからの発表以来、お祭り騒ぎの続いている海外のHD-DSLR関係ユーザーサイトですが、つい先日、御大Philip Bloom先生のサイトに Pana機AG-AF100に関する続報が掲載され、話題になっています。本稿冒頭の写真を見てください。なんと Arriのシネプライムレンズがマウントされていますよ!

5D MkIIの撮像素子は35mmフルサイズなので、映画用の… たとえばZeissのシネプライムを使おうと思ったら、先頃出荷が開始されたCompact Prime CP2シリーズしか選択肢がありません(それ以外のシネプライムは35mmフルサイズをカバーしないので、画面四周にケラレが生じます)。そういう意味では、もともと撮像素子のサイズが35mmフィルムの約半分、よりシネフィルムに近いPanaやSonyのレンズ交換式カムのほうが、すでにプライムレンズを持っている人たちにとっては、そのまま使えて好都合なのでしょうね。

ちなみに、5D MkIIが吐き出すH.264ファイルは悪名高いですが、Pana、Sonyのレンズ交換式カムの記録フォーマットであるAVCHDも、編集にはおよそ不向きなファイル形式です。…が、少なくともPanaのAG-AF100の方には “HD映像を非圧縮のまま取り出せるHD-SDI端子” が付くことが確定しているそうで、Bloom先生は『コレ、欲しい〜っ! nanoFlash を接続して、圧縮ノイズやGH-1で悩みの種の “縦縞現象” と無縁な生の映像信号を記録すれば完璧っ!』と、今から気勢を上げています。

PanaのAG-AF100は、値段も$5,000程度と予想されていて、nanoFlashを追加したとしても RED ONE の1/3程度で済む計算になりそうです。

…もちろんシネプライムレンズなど猫に小判もいいところ、そもそも値段的にも全く手が出ないボクですが、このPanaのAG-AF100は、マイクホルダーと音声収録用XLR端子があって、取り回しの楽なトップハンドルが付いているだけでも、かな〜り魅力的です。実際のところ、Bloom先生の言う通り、これに nanoFlash を接続して150MB/sくらいの高ビットレートで録画しちゃったら、REDなんて必要なくなるんじゃないでしょうか。

…などと、いずれにせよ別世界なことを考えていたら、6月15日、そのREDの創始者、Jim Jannard氏がHD-DSLRを(というか Canonを)名指しで非難する、 “宣戦布告” ともとれる書き込みを行い、大騒ぎになりました。氏が reduser.net に書いた声明全文は以下の通り。

“I fully expect the DSLR mfgs to get it right at some point. Make a non-line-skipping 4K camera. At that point, the difference will be RAW 5K and 6K vs. whatever they make. Until then, a line-skipping 1080P camera is just not in the running for a pro camera. Can you make OK images with a line-skipping 1080P camera? Sure. Should you be embarrassed? Yes. We are not in that business.

I saw the Canon commercial about shooting “motion stills”. They should be ashamed. Just try to take a still from their motion 1080P capture…

DSLRメーカー各社はとっとと本来そうあるべき機種を出すべきだ。ライン飛ばし収録なんかじゃなく、4K解像度で撮影できるカメラ。そこまで追いついてやっと、5K、6KのRAW映像が撮れる我々の製品と、奴らの製品との闘いが始まる。ライン飛ばし収録のパチモン1080p映像しか撮れないカメラなど、プロ用の機器と見なすことはできない。ライン飛ばしの1080pカメラで、まともな絵が撮れるかって? ああ、撮れないことはないだろう。恥ずかしくないかって? …もちろん恥ずかしい。我々はそういうビジネスはしない。

「Motion Stills(動く静止画)」を謳う、Canonのコマーシャルを見た。恥を知れと言いたい。奴らのカメラが記録する1080pの動画から静止画を取り出してみろ…。

もともと『態度の悪い客にはREDは売らねぇ』を社是とするREDとJannard氏ですが、この発言はいかにも過激です。氏はもちろん超有名人ですから、この発言はまたたく間にネット上を駆け巡り、個人ブログからDSLR関係の大小ユーザーサイト、果ては5Dムービーのカリスマこと、あのVincent Laforet氏がJannard氏をやんわりとたしなめる中立的な見解を発表するほどの大騒ぎに発展しました。

Canonによるスポンサード契約のもと、5Dムービーの広告塔を自負した作品づくりを行っているLaforet氏の見解は、全くもって非の打ち所がない、公正かつ爽やかな内容でした。
Vicent Laforet氏の見解:HDDSLR vs RED …宣戦布告?

全文を訳すのは億劫なのでやりませんが(笑)、文中、Laforet氏がAppleを引き合いに出して、REDの在り方をやんわりと批判するくだりがあります。

If there’s only one criticism that I have with RED – it’s that they’ve tended to over-promise and deliver late… basically the opposite of what Apple does (Apple stays absolutely secret about their projects, deny they’re working on anything, and releases them only when they are confident the product is ready for prime time…) I personally would prefer to get hard deadlines from RED on future product releases – even if those dates are overly conservative on their end.

もしREDに関してたった一つだけ批判したい点を挙げるとすれば、とかくREDには、守れない納期を公言しては、案の定、出荷が遅れる傾向があることだろう。基本的にAppleとは正反対ということだ(Appleは製品の準備が整い、自信をもって発表できる時がくるまで、決して進行中のプロジェクトを公開しない)。保守的に過ぎるように聞こえるかも知れないが、私はREDの製品出荷スケジュールに関し、しっかりと公言した納期を守って欲しいと思っている。

このLaforet氏の発言は、氏の個人ブログに掲載されたもので、もちろんJannard氏への私信ではありません。ですが、Jannard氏もちゃんと読んでいるんですねぇ(笑)。その数日後、あまりに広い範囲に渡ってセンセーショナルな話題になり過ぎた自らの過激な声明を “ほんのちょっとだけ” 修正する発言を書き込み、最後の一文をこう結んでいます。

BTW… we have taken a lesson from Apple. We will no longer discuss what we are doing until we are done.

ところで。今後はAppleの作法を倣うことにしよう。我々は今後、実際に製品の準備が整うまで、みだりに情報を発信すまい。

…いやああ、それにしても。海外のネット上で日夜展開されている、こうしたHD-DSLR業界の戦国時代然とした動きって日本では全く紹介されないんですけど、どうしてなんでしょうね? 面白いと思うんだけどなぁ。

5 Comments

  1. Innocenzio
    Posted 2010/06/27 at 10:52 | Permalink

    Hi Director Raita, this is an interesting camera. This could resolve the problem as Handy35 adapters. But it will be better than Canon 5D Mark II? Sorry, I do not understand much, but I find this interesting. Your last video on Vimeo I liked a lot, I’ve seen your talent, even if they are only tests. While on YouTube I saw a few seconds of your side that I really like (the video of the little tadpole). I always follow all the links you gave me. See you soon my friend. :-)

    • raitank
      Posted 2010/06/28 at 00:09 | Permalink

      Hi, Innocenzio. Glazie for coming all the way from Italy.
      As for the Panasonic DSLR cam, we don’t yet know if it’s good or even better than 5D MkII. But it better be for it’s equipped at least with XLR mic inputs, top handle and all the other regular video features which are lacking in 5D MkII.
      I’m looking forward to putting my hands on it when it’s out in the market. :-)

  2. ぬほりん
    Posted 2010/06/24 at 17:52 | Permalink

    第一号って、w そうなの? (確認中)・・・(確認後)

    ほんまや。┐(´ー`)┌

  3. ぬほりん
    Posted 2010/06/24 at 15:11 | Permalink

    メジャーメーカーにとって都合の悪いことは報道しないされない、またはCIAが絡んでいる、それとも単に経済崩壊している日本はどうでもいい、あるいは・・・(以下略)

    • raitank
      Posted 2010/06/24 at 15:16 | Permalink

      おぉぉ、記念すべき第一号コメンテーター、ぬほりん様(笑)。…でも「報道」はされなくっても、こんな時代ですから、どこかに流れてても良いと思うのですがぁ。

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