撮影したあと、いつでも任意な場所に合焦することができる Re-Focus(あとからフォーカス)技術で有名な Lytro。登場した時にはうちでも採り上げましたし、「未来から来たカメラ!」としてほうぼうで話題になりました。…が、実際に購入した人はどれくらいいるんでしょうね(おぉ〜買ったよ!という方は、ぜひ使い心地を教えてください (^_^)v)。
▶ Lytro
Lytroで撮影した写真は「Living Pictures(生きてる写真)」と呼ばれています。画面内のフォーカスしたい場所にタッチすると、ヌルヌルとフォーカスが動いていくさまは、確かにどこか有機的な印象を受けます。その Lytroが少し進化して、新たに「パースペクティブ・シフト」と「リビング・フィルター」という二つの機能が追加されたそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=qHso9uLc8Dg
「パースペクティブ・シフト」機能は、撮影後の写真の視点をズラす機能で、パッと見、青や赤のフィルターを介さないパララックス3Dのように思えます。ですが、Lytroのほうは視差を利用したものではなく、ホログラムのような独自の Light Field技術に基づく “光照射野” の収録であるため、横方向に加え、縦方向にもずりずりと視点が移動します(ほんの少しですが)。
▶ 不思議なカメラが相次いで登場 ①:Lytro
※ 以下のスペースに Lytro写真が表示されない場合はページを「再読み込み」してください。
※ 以下の写真は、任意の場所をクリックすると、そこにピントが合います。また、写真をクリックしてドラッグすると、視点を調整したり効果の係具合を調節できます。
いっぽうの「リビング・フィルター」は、あらかじめ用意されている幾つかのフィルター処理を任意の箇所にリアルタイムで適用する機能。なんと申しますか、“生きている写真” という感覚が助長される、ちょっと気色の悪い感触の新技術ではあります。
http://www.youtube.com/watch?v=zP1VU1COrPI
⬆ カーニバル・フィルター/⬇ グラス・フィルター
これら二つの新機能は、12月4日に予定されているファーム・アップデートで、既存ユーザーに無償で提供されるそうです。
正直に言うと、ボクはこの手の新しい技術に対する感度がとても低く、先見の明がありません。「へぇ〜?」とは思うものの、例えば Lytroを使ってこんな作品を作ってみたい!といったアイデアが全く湧きません。昨年、Lytroのニュースに初めて触れた際にも、『フォーカスがあとから変更できる? おぉ〜!これで(下手くそな自分がよくやる)ピント外れを後で直せるじゃん!』くらいしか利点を思いつきませんでした。
ですが、故 Steve Jobs氏は、亡くなる1ヶ月前に Lytroの Ren Ng CEOを Appleに招き、「Appleと一緒にやりたいこと」を3つリストアップするよう求めたというエピソードが伝わっています(「Inside Apple」Adam Lashinsky・著
)。
また、Jim Jannard氏が率いる REDでは、「Multiple Focus & Depth Map」という呼称の Re-Focus技術を盛り込んだ “4K越え動画カメラを開発中” であることを昨年の秋に明らかにしています。
▶ LYTROの “あとからフォーカス” は REDにも搭載されるらしい
尊敬する二人の Visionary(「先見の明」の帝王と皇帝?)、Jobs氏と Jannard氏が揃って興味津々な Re-Focus技術。アナタならこの技術を使って何を創りますか?
6 Comments
はじめまして。面白い記事ばかりで楽しく読ませていただいています。
このカメラは防犯カメラに使われたらすごいことになりそうですね。
T.Manomeさん、こちらこそ初めまして!(^_^)v そのアイデアは面白いっすねぇ〜。人感センサー付けて何かが動いたらシャッターが切れるようにセットして。あとで写真見ながら、怪しい人物部分にフォーカスして。
現状、動画が撮れないことと、写真としてもタテヨコ1,000ピクセル程度の小さいデータしか撮れないのが玉に瑕ですが…(笑)。
はじめまして。私はカメラマンではなくCG屋ですが
フォーカスを変えれるのなら、パンフォーカスの画にも出来るのかな?と思いました。
「Multiple Focus & Depth Map」は名前のまま、Depth Map報が記録されるのでは。
http://youtu.be/Zt0YT7bY9Ug
↑の動画の1:40過ぎで見れるような合成の為のDepth Mapが映像と一緒に記録されたら仕事が少し楽になります。
higuchiさん、こちらこそ初めまして!(^_^)v
> フォーカスを変えれるのなら、パンフォーカスの画にも出来るのかな?と思いました。
…実はボクもそこが疑問なのです。もしフォーカスが自由に設定できるのが Lytroの「売り」なのであれば、とりあえず撮影した写真は初期状態でパンフォーカス表示すればいいのに。で、好みや必要に応じてタッチすると、そこにだけ合焦するほうが、よりわかりやすいのでは?と。ところが、上に掲載したサンプルも含め、デモ写真を見る限り、パンフォーカスの絵は出てこないんですよ。なぜなんでしょうね?
「DepthMap」、なるほどです。近景が黒、遠景が白と距離の情報を濃淡で記録した追加チャンネルですね。これを、しかし、4K越えの解像度で、なおかつ最大 120fpsで記録する試作機がもうできている!って、昨秋の段階で豪語していた REDなワケですが、本当なんですかねぇ?(笑)
この製品のプロモーションビデオを去年見て欲しいと思ったのですが内蔵されているメモリーが小さいので購入を断念しました。 ただ、アメリカの製品は発想が豊かで形状にも驚かされました。 そして、ソフトの偉大さを再度痛感したしだいです。Iphoneやredにもこのような導入される事を期待しています。
後から、焦点や視写体震度をかえれるのはすごい技術だと思います。
言ういいかえれば、焦点が合ってなくても後で合わせる事が出来るので、だれでも写真をとっても後で変更出来るという事です。 子供がとっても安心。
日本のカメラやビデオの形状は昔から変化がないですが、アメリカの製品は発想が違うと感じます。 それとソフトウエァ技術が優れているので、いくらでも変更改良が出来るということです。 日本のカメラはこのような事が不得意です。
今回、ソニーが来年2月に発売する、F55、F5の形状はREDONEの形状のまねをしています。 InterBeeで技術者にきいたら、この形状の方がオプションの変更が容易なのでこのようにしたといってましたが、基本的にはRED ONEのコピーと感じました。
追伸:PronewsでRed One のTed氏への質問するどかったですね。
今後も楽しみにしています。
そうですね。現状、撮影できる写真のサイズがタテヨコ1,000ピクセルより少し大きいサイズしか撮れませんし、PCやタブレット上でしか楽しめないというのも、パーティ・カメラとしてちょっと制約が大き過ぎる気がします。ただ、同時にビデオファンさんが仰る通り、背後に隠された技術、特にソフトウェア技術は凄いですよね。そして、これまた仰る通り、日本のメーカーからは中々こういう製品は出てきません。Lytroは、開発者であり同社の CEOである Ren Ngさんが、まだ若干 33歳と若いことも要注目要因だと思います。今後も動向から目が離せません。
PRONEWSの練り歩き、ご覧頂いてありがとうございます。次回はモアベターで頑張りま〜す!(汗)