今年で三年目となる米・Zacuto主催の大規模カメラ・テスト、Great Camera Shootoutが遂に満を持して公開されました。
▶ Zacuto Revenge of the Great Camera Shootout 2012
題して「Zacuto Revenge of the Great Camera Shootout 2012(Zacuto 大規模カメラ・テストの復讐 2012/以下、RGCSOと略)」と、ジェダイ風味のタイトルが付けられた今年の本作品は、4月にラスベガスの NAB会場で業界関係者に向けて公開されるや否や、大きな反響(…というか、REDの Jim Jannard総帥の激怒)を引き起こしたことでも話題になっていました。
準備から最終版の公開までに11ヵ月もの時間をかけ、延べ600人以上の人々が制作に携わり、12の国々でスクリーニングが行われる(…けど、日本ではなし(泣))という、まさに大規模なカメラ・テストである同作は、例年同様、トータルの尺1時間半を3分割し、1ヶ月おきに30分ずつ公開するという構成になっています。
毎度、テスト自体が行われるのが1〜2月。業界人向けに編集され、4月に NAB会場でスクリーニング。そのスクリーニング風景及び業界人インタビューを織り込んだファイナル・カットが、こうして6月に公開されるというタイミングも例年通り。
…ということで、これまた例年同様、すでに後継モデルが出てしまったカメラ(SonyのFS700や Canonの C500、1D-Cなど)や、当然リストに入っているべきなのにテスト時にはまだ存在しなかったモデル(Niokn D800や Canon 5D MarkIIIなど)も、多数見受けられますが、なにはともあれ、今年、俎上に載せられたカメラは以下の通り。
• Apple iPhone 4S
• Panasonic ハックGH2
• Canon 7D
• Canon C300
• Sony FS100
• Sony F3
• Sony F65
• RED Epic
• Arri Alexa
今年は例年になく(主に REDから)激烈な物言いがついてしまったからか?(←たぶんそう)、今まで一度も最終版の公開前に用意されたことがなかった「RGCSO白書」が、今年は早々と PDFの形で事前に用意・公開されています。本篇と併せて、ぜひ目を通してみてください。
▶ RGCSO Technical Camera Documentation
さて。という背景のもと、ついに公開されたパート1はプロローグという位置付けであり、参集した蒼々たる DPの皆さんが、「シネマトグラファー」「コラボレーション」「照明技術」とはなにか?等々についてコメントを寄せ、また今回のテストの基本セットアップが説明されます。
テストの監修をしたのは初代「Tron」のDPをつとめ、また「2001年 宇宙の旅」や「Star Wars」ほか数々の著名な映画に撮影班として参加してきた名うてのベテランDP、Bruce Logan様。
氏が定めたセットアップは、窓外の明るい景色から室内の暗いコーナーまで、そのまままるっと収めるためにはザッと14ストップ以上のダイナミックレンジが要求されるシーン。
この光と闇の中を、さまざまな肌の色をした人物が動き回るシチュエーションは固定とし、テストする9台のカメラに精通した9人のDPがそれぞれのチームスタッフと共に招聘されました。彼らは固定されたセットアップはそのままに、ディフューザーやあるいは追加のライトを足し引きし、それぞれ担当したカメラが最高の性能を発揮できるようにシーンを撮影。データはその場でグレーディングして提出しなくてはなりませんが、その間、各チームに与えられた時間は90分!
パート1の後半にカメラ名を伏せた状態で、AからIまでのクリップが連続上映されます。それぞれのクリップをしっかりと見て、どれが好ましいと思ったか書き留めておいてください。…とのことです。種明かしはパート2で。
Archives
- 2017年7月 (1)
- 2017年6月 (1)
- 2017年2月 (1)
- 2017年1月 (1)
- 2016年12月 (1)
- 2016年8月 (1)
- 2016年6月 (2)
- 2016年5月 (5)
- 2016年3月 (1)
- 2015年12月 (1)
- 2015年11月 (1)
- 2015年10月 (1)
- 2015年9月 (1)
- 2015年8月 (7)
- 2015年4月 (3)
- 2014年9月 (1)
- 2014年4月 (3)
- 2014年2月 (3)
- 2014年1月 (3)
- 2013年12月 (2)
- 2013年11月 (1)
- 2013年10月 (1)
- 2013年9月 (3)
- 2013年8月 (2)
- 2013年5月 (6)
- 2013年4月 (8)
- 2013年3月 (9)
- 2013年2月 (20)
- 2013年1月 (9)
- 2012年12月 (3)
- 2012年11月 (10)
- 2012年10月 (7)
- 2012年9月 (17)
- 2012年8月 (4)
- 2012年7月 (7)
- 2012年6月 (8)
- 2012年5月 (5)
- 2012年4月 (19)
- 2012年3月 (12)
- 2012年2月 (7)
- 2012年1月 (7)
- 2011年12月 (7)
- 2011年11月 (20)
- 2011年10月 (9)
- 2011年9月 (16)
- 2011年8月 (12)
- 2011年7月 (11)
- 2011年6月 (15)
- 2011年5月 (4)
- 2011年4月 (1)
- 2011年3月 (6)
- 2011年2月 (2)
- 2011年1月 (3)
- 2010年11月 (2)
- 2010年9月 (4)
- 2010年6月 (3)
- 2010年5月 (14)
- 2010年4月 (13)
26 Comments
いつも拝見させていただいていますが、初めて投稿させていただきます。
映像の7−8分あたりでみんなが口を揃えて絶賛しているシネマトグラファーの「カーネルラットホール」とはいったい誰なのでしょうか。僕のリスニング能力ではそうカタカナで聞き取るのが精一杯でGoogle先生に思い当たる限りのキーワードで聞いてみても知らんと言われるのです。まだ映像の勉強を始めたばかりでして、ぜひにご教授くださいませ。
GOさん、初めまして。(^_^)v 「影響を受けたDP」のパートで、皆さんが口を揃えて名前を挙げている人物の名は、コンラッド・ホール(Conrad Hall)さん。2003年に惜しくも死去された、超大御所の DPです。氏は、1960年代から活躍されていたハリウッド希代の名匠でして、ボク的には「動く標的(1966)」、「暴力脱獄(1966)」、「明日に向って撃て!(1969)」と「アメリカン・ビューティ(1999)」を是非ともお勧めしたいです!
▶ Wikipedia : コンラッド・L・ホール
お返事ありがとうございます。わー。コンラッド・ホールも知らんのか、僕は。レンタルビデオ屋に走ります。
未見ですが、、、
iPhone4sの撮影に精通しているチームってw
そんな方々居らっしゃるの?!
まるめ様、鋭い突っ込み、ありがとうございます〜!(笑) 次のエントリにも記させて頂きましたが、iPhoneだけどこの誰が撮影されたのか、チームが不明でございました(爆)。(^_^;)
僕は自分で触って使ってみないと実感できないので、あまり他人がするカメラテストには興味がないのですが、今回のこれは「撮ることとはなんぞや」的な少し哲学的な香りがする素晴らしいドキュメンタリーだなあ、、と。
これ、日本語字幕入れて映像学校で見せるべきくらいに思いました。
まあ、みんな「映像学校に行くくらいならリアルライフを見に行けリアルライフを知れ。お前が撮るのはリアルライフだから」っつ~感じですけど。
> これ、日本語字幕入れて映像学校で見せるべきくらいに思いました。
うほほ。3rd Eyeさんにしては珍しく(?)、最大限の賛辞って感じですかね?(笑)。前半の “哲学的な香り” の部分はいいんですけどね。後半、DPの皆さんが若者に向けて放つメッセージは、ボクにはちょびっと鼻についてしまいました…。(^_^;)
いきなり機材を出されて加工しろとな、なかなか鬼畜なテストですなぁ。
ALEXAのテストはぜひ見てみたいものです。
いやでも、ランダムにカメラを割り当てているわけではなく、それぞれのカメラの扱いに精通している人たち、しかも普段から一緒に仕事をしているチームごと招聘してるわけだから、別になにも “鬼畜” ではないのでは?
あ、そこ読み落としてました・・・orz
100%出し切って背比べするわけですね。
>>固定されたセットアップはそのままに、ディフューザーやあるいは追加のライトを足し引きし、それぞれ担当したカメラが最高の性能を発揮できるようにシーンを撮影。データはその場でグレーディングして提出しなくてはなりませんが、その間、各チームに与えられた時間は90分
これが流石ただの機材オタクではなく、現場で使うDPさんたちによるテストですね。癖が判ってればそれを生かすとか逆手に取るのが腕の差・意識の差ですから。90分でなんとかしろってのも現場的に凄くリアルな時間です。ハックドGH2がきっと大健闘してる予感が。
この Great Camera Shootout、毎年テストモデルは変わりましたが、そういう意味では一年目、二年目は徹底的にいわゆる普通のカメラテストを通じて、定量的な結論、つまり “数値による性能差” を提示しました。ひるがえって仕上げの今年は、撮影チームそれぞれの力量までをも含むきわめて定性的なカメラテストを通して、トーンの傾向やテイストといった “数字にならない部分”、つまり現実世界での性能を導き出そうという試みなんですね。
実際のところ、道具のクオリア(使う個々人の感性に響く部分)に数字はほとんど関係ありませんから、ボク的には今回のテストが一番オモシロイです(笑)。
GH2はCあたりかなあ。
お高い機種はどんな映像吐くのか分かんないしw
この中にiPhone4Sがいるって信じられない。
きちんとルックを整えれば、ソニーのカメラもパナのカメラも分からなくなるもんですね。
お〜っ。GH2でバリバリ仕事をされてる仁太郎さん、さっそく予想を出してきましたね。(^_^)v …いやしかし。たしかに「F65とか Alexaの絵」って云われたって、触ったことすらなくちゃ、区別できませんわなぁ…。
深度だけ見るとIもGH2っぽい気はしますけどね。
Aの瑞々しさはREDっぽい気が。
Dはいちばん深度深いからiPhone。
Fはソツなく綺麗だなあ、ALEXAとかこんななのかな。
Gは……7D。
Hはソニーっぽい青味でF3かF65。
後で恥かいてもお祭りだからいいんだもん!
いやあ、恥も何もボクを含めほとんどの皆さんにとっては、予想することすら超無理ゲーでしょ?(笑) もう1本このテスト関連の記事を書いて、正式に皆さんの予想を募集してみようと思って… るんですが、実は昨夜からメインマシンである MacProの調子がすこぶる悪く、ロクに作業ができません(泣)。ちょっと待っててくださいね〜…
A : FS100
B : GH2 深度の深さと最暗部の情報の無さ。
C : C300
D : iphone4s 深度激深。
E : Epic ダイナミックレンジは広そうだけど、暗部の諧調が無くなる。
F : Alexa ダイナミックレンジも広く、諧調の破綻が少ない。
G : F3
H : F65
I : 7D
まだ、白書は読んでいませんが第一印象はこんなふうに感じました。
Fが一番好きですけど、BがGH2だとしたら確かに悪くないですね。
1-300さん、さっそくのカメラ予想、ありがとうございました。ただ今、カメラ予想に特化した記事を公開しましたので、そちらに掲載させて頂きますね! (^_^)v
楽しい~♪
英語がわかれば、もっとインタビューの内容も聞きたいな~。
作例を見て、好き嫌いを判断する基準づくりができて楽しいです。
最後の白人女性と黒人男性のしゃべってるアップシーンの描写で自分の好き嫌いがはっきり分かれますね。
私は、ハイライトがやわらかいものが好きだな。
カメラの素性によって、硬質、軟質、画調はさまざま。それをたった90分で料理して、各 DP推薦のトーンを作っちゃう。まさに「好き嫌い」の参考になるのが今年、三年目のテストですね〜。種明かし篇「パート2」を見るのが楽しみ!&少々怖い!ところもステキです(笑)。
比較サンプル、、、どれがいいんだか全然分かりません。実際のムービーデータはどこかでダウンロードできたりしないんですかね?うーん。
データのダウンロードはおろか、Vimeoのオリジナルページにすらアクセスできないですよね(爆)。つまり、Zacutoさんのページに埋め込まれた動画を「全画面表示にして見る」のが最大サイズ。そこから判断するしかありません。う〜ん…
もちろんここでも大投票大会開催ですよね?w
あはは。やっぱ?(笑) どういう風に投票してもらいましょうかね。。。
うひゃーー! パート2早く早く!
Jim Jannard総帥がどう出るかも気になりますねー 笑
ホント、早く!早く!って感じですよね〜。でも、例年の感じだと、1ヶ月半ごとに一作公開でしたから、パート2公開は8月?(爆) 完結編が10月? orz