Nikon D4 に飛びついてはイケナイかも!?という情報

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年明け早々、『マルチメディアDSLR、Nikon D4登場!』という衝撃のニュースが世界中を駆け巡りました。 ボクは 別件で忙し過ぎてすっかり乗り遅れてしまいましたが、でもこうして記事にまとめる時間がなかっただけで、隠れ Nikon派としては(笑)、D4の情報はずっと追いかけていました。

HDMI端子からクリーンかつ非圧縮の 8-bit 4:2:2映像データが出力できるフルフレーム・センサー搭載一眼レフ!ってだけで、スゴイですよね!? また、個人的には、ライバル機である次期 EOS-1D Xには未だに見当たらない「ヘッドフォン端子」が搭載された!ってことだけでも充分嬉しく思いました。

センサークロップによる HD動画切り出し機能は、まんま GH2の EXテレコンですが(笑)、ただマイクロフォーサーズの小さなセンサーではなく、フルフレーム・センサー機にこの機能が搭載されたことは実に画期的! たとえば 30mmの広角レンズ1本で、フルフレームの広角30mm、x1.5クロップの45mm標準、x2.7クロップの81mm中望遠… 風景からポートレートまで、すべてフルHD動画でカバーできちゃいます。これは便利!

そして、便利といえば、動画撮影時にも顔認識を含むオートフォーカス機能が使えるし、撮影中にも音声入力レベルが変更できるし、一説によると電子接点付きNikonレンズを使えば、撮影中に絞りが無段階(クリックなし)で調節可能だというし、カメラ内でタイムラプス映像を作成可能だし… と、動画撮影機能の充実具合は至れり尽くせりの満艦飾状態!

海外では D4の呼称が、Multimedia DSLR!とのことで、Nikon派にして「マルチメディア・ジャーナリズム」をご自身のサイト名にされている T.Yoshi先生は、さぞかし溜飲を下げておられることでしょう。(^_^)v

かたや、この思いがけない(?)Nikonさんの大反撃に、ボクの周囲の EOSムービー一門の間では、「はぁ〜〜〜…」という深い戸惑いのため息が漏れています。その原因は… レンズ!

Nikonの Fマウントレンズは、マウントアダプターを介して EOSに装着できますが、フランジバックの関係でその逆は不可。いくら Nikonさんが素晴らしいカメラを出したところで、今さらレンズを買い換えるワケにもいかず。使ってみたいのは山々なれど一体どーすりゃいいのよ!?(泣) というため息なんですね。

その点、ボクは超ラッキー!手もとに1ダースと少々あるレンズの内、EFマウントはたったの2本。あとはすべて Nikon Fマウントなんです。これは、いつかこんな日が来ることを予見していた! …からでは全然なく、昔々まだ DoFアダプタを使っていた頃には、電子絞りではなく物理的な絞りリングがついた Nikon Fマウントのレンズを使わざるを得なかったから、ってだけなんですけどね…(笑)。


※ 上の写真は単なるイメージで、ボクのレンズではありません(爆)。

なにはともあれ、そいうわけで 2012年の一眼ムービーのトレンドは、年明け1月の段階で、すでに Nikon D4で決まりっ!

…と、本来なら D4登場を祝しココで万歳三唱して記事を終える予定だったんですが。あらあら!思わぬところから火の粉が飛んで来ましたよ!? 情報ソースは、いつもお世話になっている、英国 EOSHD の Andrew Reidさん。
EOSHD : Live Q&A with Nikon reveals D4 video shortcomings

元はといえば、ここ一週間の間にあちこちで視聴できるようになった D4のサンプル映像。中の1本(下の埋め込み映像)をフルスクリーン 1080pモードでご覧になってみてください。8-bit 4:2:2映像にしては、な〜んかシャープさがまるで足りない気が… しませんか?


このサンプル映像の解像感の欠如が気になった Andrewさんが Nikon UKの担当者さんにイロイロと根掘り葉掘り質問したところ、なんと驚天動地の新事実が発覚してしまいました。曰く…

The downsampling of the sensor is similar to the Nikon J1, a $499 mirrorless camera. According to Nikon, “subsampling is only along each horizontal video line; there’s no sub-sampling between video lines.” Frankly this is bloody ridiculous. I’ve seen the results of this on the J1 and it isn’t pretty – sheering on fine diagonal patterns and very soft detail. I expect better from a pro DSLR. With that in mind don’t expect resolution on the D4 to beat the GH2 or Canon 1DX with DIGIC 5.

センサー出力のダウンサンプリングは、$499のミラーレス機 Nikon J1と同じ方式だそうだ。Nikon曰く、『サブサンプリングは走査線ごとに行っており、走査線間では行っておりません』とのこと。正直言って、そんなバカな!という気分だ。この方式のおかげで、J1のビデオがどんなヒドいことになっているか、ボクはすでに確認している。斜めの線はすべてギザギザになるし、ディテールは解像しない。プロの一眼レフにはもっとマシな方式があるだろうに。というわけで、D4の動画には GH2や Digic 5を搭載する1-D Xを打ち負かすような解像力は期待しないほうがいい。


同じ報を受けて、NoFilm School の Koo さんもこうつぶやいています。
NoFilm School : More Details on the Nikon D4’s Video Features, and the Clean HDMI Feed in Action

Does this mean we’re going to run into aliasing problems — “no sub-sampling between video lines” — or am I misreading that statement? While I didn’t notice any aliasing on the first D4 footage, the Canon 1DX will supposedly eliminate or at least drastically reduce the pesky aliasing problem. If the Nikon exhibits significant aliasing or moire, then they’ll be back where they started — lagging Canon in the video department.

『走査線間のサブサンプリングはしておりません』って、それじゃエイリアシングが出るってことじゃん。なんかボク、間違ってる? 今まで見た D4のサンプル動画では、特にエイリアシングは気にならなかったけど。Canonは 1DXであのイライラするエイリアシングをなくすか、極力抑えることを明言しているってのに。もし D4の動画にエイリアシングやモアレが出るとしたら、歩みの遅い Canonと同じで、もと来た道に逆戻りってことだ。


う〜ん。幾らなんでも、もう2012年です。今さらエイリアシングがばりばり出る、今まで3年間に渡ってEOSであれだけ叩かれている「ラインスキップ」方式を採用してくる筈はないと思うのですが…。この Nikon UKの担当者さんが何かを間違えたのだろうと信じながら、実機の登場を恐る恐る待つことに致しましょう…。

9 Comments

  1. Posted 2012/01/15 at 16:11 | Permalink

    どーも、お久しぶりです。最近なりを潜めていらっしゃると思っていたら、EOS C300と戯れていたのですね。あんら、まあ。
    Multimedia DSLRというネーミング、Multimedia Journalismブログの主催者としては嬉しい限り。で、Nikon派としても。でも値段が65万円ですから、ちょっと個人的にはねえ・・。
    映像の方はともかく、やっぱりオリンピックに向けて出した報道カメラ的な色合いが強いですね。やっぱ、Nikon。

    その1:縦位置の操作性向上。グリップとかボタン類とか、かなり工夫したみたいです。(
    こういうカメラ、ありそうで無いんですよ!)
    動画撮るようになってから、すっかり「縦よさらば!」状態でしたが、やっぱり印刷媒体だと縦写真はとても重要です。

    その2:IPTCメタデータのカメラ側での入れ込みが可能になった。
    写真のメタデータ、ニュースメディアの世界ではIPTC(International Press Telecommunications Council)のフォーマットを使うのが世界標準(日本以外!)なので、これをカメラで付けてしまえるのは便利です。
    D4が初めてかと思っていたら、Canon7Dはすでに2009年に実現していたらしい。なんだ・・。でも著作権データは入れられます、としかないからD4の方が進歩したかも。
    オリンピックみたいにいろいろなものを撮る状況では、キャプションのメタデータを入れ込んで撮って送れるというのは、ワークフロー上たいへん有用です。

    IPTCについてご興味のある方はこちらの記事もご参考までに。

    その3:有線LAN, 無線LAN対応。EOS1Dには付いてるみたいだけど、これもニュース現場では役に立つ。

    ということで、私なりの結論は・・・
    これはオリンピック取材をバリバリに意識したカメラである。
    そっちの方に気が回って、動画の方はまだプライオリティが低いのではないか。
    C300とは事情が違うとはいえ、キャノンのようにサードパーティから同時に動画用の付属品がこれでもか!と発表される状況が全くない。声かけてないんでしょうねえ・・・
    せっかくヘッドフォンジャックつけたのにね。

    てな訳で、またもや裏切られそうなのを承知の上で(泣)、次のD800を待ちたい!

    • Posted 2012/01/16 at 00:31 | Permalink

      T.Yoshi先生、こんにちは!

      >> C300とは事情が違うとはいえ、キャノンのようにサードパーティから同時に動画用の付属品がこれでもか!と発表される状況が全くない。

      そうなんですよ。つい先日も、ラスベガスで行われたCSEに取材に出かけた知人の方から D4、D800の写真を送って頂いたんですが、D4にはZacutoの市販リグが、D800にはRedrockMicroの同じく市販リグが取り付けられていました(笑)。でも、Nikonの一眼にこうした動画撮影用リグが付いていること自体、ちょっと新鮮な光景でした(笑)。これを皮切りにぜひ真の意味での Multimedia一眼になっていって欲しいものですが、ちょっとまだ怪しい状態が続きそうです。。。(^_^;)

  2. Posted 2012/01/15 at 00:36 | Permalink

    待ちに待ったraitankさんのNikon D4ネタがトンデモない方向に!いやはやビックリしました。

    D4のスペックだけ聞いて「EOS、NikonにDSLR動画覇権を奪われるか!?」くらい盛り上がってしまった自分がちょっと恥ずかしい…だからってNikonに移行出来るわけでもないのに(苦笑)。

    ネットの便利さも手伝って、もう実機触る前に食傷気味どころかお腹こわして入院しそうな気配です。

    とりあえずは今手元の機材群か火を噴くまで使い倒して頑張ります〜!

    • Posted 2012/01/15 at 03:43 | Permalink

      そうなんですよ、freiheitさん(泣)。本当にトンデモない方向へ行っちゃって…。何度も書いてますが、ボクはもともとカメラといえば Nikon派なものですから、本当は Nikonさんにエールを送りたい!のです。「さすがは Nikon!」と書きたい。ところが、いつもいつも「あちゃ〜…」というニュースばかりで。。。あ、いやでも、上はまだ確定情報ではありませんから、結論を出すのはもう少し待ってからにしようと思っております!(^_^;)

  3. Keaton
    Posted 2012/01/13 at 09:56 | Permalink

    いつも、参考になる情報ありがとうございます。ここでアップされているD4のテストビデオのレンガの部分は怪しいですね。これなら、急いで5D2から乗り換えることもないかも。Youtubeにアップしたときの圧縮も受けてるでしょうから一概にこのテスト=D4の画ということにならないと思いますが、blackeyes_photo様のリンクのビデオとはかなり違う印象を受けるのは確かですね。

    • Posted 2012/01/13 at 12:17 | Permalink

      Keatonさん、こんにちは。(^_^)v そうそう、一概に結論に飛びついては、それこそイケマセン。ただ、もしも Andrew Reidさんの報告が真実で、Nikonさんが D4のセンサー読み出しに今さら「ラインスキップ」方式なんぞを採用しているのだとしたら… SONYもPANAも、一年以上も前からとっくに「ビニング」方式に移行し、そうすればエイリアシングもモアレも避けられることがすっかり証明されているこの2012年に、そんな時代錯誤も甚だしい愚挙を犯しているのだとしたら… 結論は自ずと明かになってしまいます、ね(泣)。

  4. blackeyes_photo
    Posted 2012/01/13 at 07:07 | Permalink

    衝撃的な情報ですねw
    もしそうだったら現状公開されているサンプル映像は浅い被写界震度をいかしてジャギーを目立たなくしていると言うことでしょうか。
    でも下のエクストリームムービーを見る限り、EOSのように絞り込んだ広角の風景がジャリジャリしているようには感じません。
    http://www.youtube.com/watch?v=nZZMIo7Zfys&feature=youtu.be

    ただ、自分も新型エンジンがフルフレームサンプリングをできるようなスペックがあるとも思えないです。Photoshopでも結構時間がかかってしまうような処理を60fpsでできるかなぁというのが正直なところです。

    でもFenchel&Janischさんのムービーも、なにやらおかしなグレーディングで、圧縮に圧縮をかけたような妙なデータですし、この素材で解像感を指摘するのもそもそも変ですね。誰が見てもおかしな圧縮をかけてるのがわかります。

    いったい何を信じていいのかよくわかんないですね。
    なーんてw

    • Posted 2012/01/13 at 12:11 | Permalink

      そうなんですよ〜、blackeyesさん。そのエクストリームムービーを見ながら、「やっとココまで来たか〜!」って喜んでた矢先の、このニュースです。一体どうなってるんだか??(泣)

      ただ、こんな不名誉な例として引き合いに出されているFenchel&Janischさんのムービーですけど、「グレーディングがヘンだから」だけではないですよね。これ、5D MarkIIの一眼ムービーのほうで、もうかれこれ3年くらい前に大流行した、いわゆる「Blockbuster」ルックです。=まさにちらつくディテールの階調を潰して見えなくするための(?)グレーディング。要は、普通の神経をしている映像人だったら、そもそもきちんとした素材にはかけない類の効果だということです。過去の、5D MarkII時代のそういう顛末を知っている Andrew Reidさんだからこその「突っ込み」だったのかな〜?と。。。

    • blackeyes_photo
      Posted 2012/01/13 at 14:12 | Permalink

      >これ、5D MarkIIの一眼ムービーのほうで、もうかれこれ3年くらい前に大流行した、いわゆる「Blockbuster」ルックです。

      えーそんな意地悪なことをあえて?w
      でもそう思う気もわからないではありませんが・・・このクラスのカメラだと、ですよね。

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