DoFアダプター使用上の注意

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…さて。ここまでモーレツな駆け足で自分の “DoFアダプターとの付き合い” を書いてきましたが、これからこの世界に入門する方のために(って、そんな人いるんでしょうか?)、この辺でDoFアダプターの「使用上の注意」をまとめておこうと思います。

下の動画は、一般的なDoFアダプターのセットアップ手順です(GY-HM100とLetus Mini、それにNikon 50mm F1.4のレンズをつけて撮影しただけ、ノーグレーディングです)。
YouTube Preview Image
ここで使っているのはLetus35 Miniですが、どこのメーカーのものでも手順は同じ。そしてセットアップ自体はこの動画でもわかる通り非常に簡単で、馴れればものの1分で終わります。ですが、このアダプターのセットアップ以前、あるいは以後に気をつけなくてはならないことが幾つかあります。

▶ デジタル一眼専用レンズは使えません

DoFアダプターは35mmフィルムの画角(36mmx24mm)をカバーするように設計されています。最近の “デジタル一眼専用レンズ” はこれより一回り小さいAPS-C(23.6mmx15.8mm:ニコンの場合)の画角しかカバーしていないため、DoFアダプターに付けると絵の写らない部分が出てしまいます。また多くのデジタル一眼専用レンズには “絞りリングがない” ため、DoFアダプター使用時のフルマニュアル操作時に光量の調節ができません。
DoFアダプターと一緒に使うレンズは「35mm画角対応」で「絞りリングつき」が必須です。

▶ レンズマウントはNikonのFマウント

世界のDoFアダプター愛好者の間では、ニコンのFマウントが標準です。理由は、1987年を境にFDからEFに切り替わったキャノンとは違い、ニコンFマウントは大昔から仕様が不変で、今や非常に廉価で買えるオールドレンズがそのまま使えるからです。そして、このオールドニコンが侮れない “いい味” を出してくれます(右は大のお気に入り、Nikkor 135mm F2)。

▶ バックフォーカスの調整

DoFアダプターを取り付けると、ほぼ必ずバックフォーカス(レンズの最後端から撮像素子までの距離)が設計上の指定値から数ミクロン〜1ミリの範囲でズレます。そしてこれがズレると、1)無限遠でピントが合わない、2)ズームレンズで引きボケが起こる、という “2つの困ったこと” が起こります。
バックフォーカスの調整方法は各DoFアダプターによって違うので詳述は避けますが、こいつの調整は “かなり難易度が高い” ので、もし予算に余裕があるなら予めバックフォーカス調整機構が付いたアダプター(例えば Letus Elite)の購入をお勧めします(ボクも買うまで知らなかったのでした(泣))。

▶ 一にフォーカス、二にフォーカス

DoFアダプターをつけたら、ビデオカメラはひたすらGG(グラウンドグラス)にピントを合わせ続けなくてはなりません。…ところが撮影時の振動等で、けっこう頻繁にこの命綱であるフォーカスがズレます(泣)。基本、移動する度にGGにズームインしてササッとフォーカスを確認するクセをつけてください。

▶ GGの電源入れ忘れに注意

いや笑い事ではなく、本当によく忘れるんです(体験者・談)。ビデオカメラのモニターやビューファーでは、GGが回転(振動)しているかどうか?が、ほぼ全くわかりません。そして編集時に泣くことになります。内蔵電池はそうそうなくなりませんから、基本、電源は常時入れっぱなしでも良いと思います。

▶ 24FPSで撮影

ご存知の方も多いでしょうが、フィルム(映画)とビデオでは1秒間に撮影するコマ数が違います。フィルムは24コマ、ビデオは30コマ(プログレッシブの場合)が基本です。DoFアダプターを付けたら、迷わず24FPS(Frames per Second)で撮影してください。これは「その方がよりフィルムっぽく見えるから」という理由だけでなく、その方が「1コマあたりに取り込める光の量を増やせるから」です。
DoFアダプターを付けると、GG経由で撮影することのデメリットとして光量が落ちます。以前 ご説明した通り、もともとビデオは撮像素子のサイズが小さく暗さに弱いので、ほんの少しでも光量を増やせた方が、ノイズの元になるゲインアップを避けられます。

▶ シャッタースピードは1/100以下

これはDoFアダプターを使うか使わないか?に限りませんが、特に意図がある場合を除き、シャッタースピードは極力上げすぎない方が自然な映像になります。人の動きに関して言えば、おおむね1/125以上のシャッタースピードで撮影された人の動きは、スポーツ中継のような “動きにブレがない” 不自然な絵になってしまいます。
また、1/100秒以上のシャッタースピードでは、回転する(あるいは振動する)GGがバレて、使い物になりません。明るい戸外での撮影時には、浅い被写界深度を諦めてf値を絞るか、あるいはNDフィルター(減光フィルター)を使って光量を下げるなどして、シャッタースピードが上がりすぎないようご注意ください。

▶ 露出は開放から2段絞る

DoFアダプターを使うのは浅い被写界深度を得るため。とはいえ、静物でも撮るのでない限り、絞り開放(=一番ボケる)で撮影し続けるのは、正直かなり難しいです。
たとえば “明るい35mm標準レンズ” の典型である「50mm F1.4」のレンズで2m先の被写体を撮影する場合、絞り開放(f1.4)でピントが合う範囲は、被写体の前6cm〜後7cmのつごう13cmしかありません。これでは、被写体が人物等 “動くもの” であった場合、すぐにピンボケになります。同じレンズ、被写体までの距離で、露出を2段絞ってf2.8にすると、ピントの合う範囲が被写体の前12cm〜後14cmと倍以上に、3段絞ってf4にすると、前17cm〜後21cmと3倍の範囲でピントを合わせ続けられます。背景がボケるのは望むところ!ですが、被写体にはピントが合っていてくれないと結局「使えない」ので気をつけましょう(強い自戒をこめて)。

…あ。ちなみに、自分の使っているカメラやビデオに特定のレンズをつけた場合の被写界深度を簡単に計算してくれる便利なサイトがあります。
Depth of Field Calculator

サイトのページ名と同じiPhoneアプリ及びAndoroidアプリもあるようなので、良かったら使ってみてください(ボクは現場ではとてもiPhoneアプリを起動している余裕がないので使用していませんが(笑))。

6 Comments

  1. 017
    Posted 2011/06/22 at 19:06 | Permalink

    今日は、初めまして。少し違った雰囲気で撮れないかとGoogleで検索していてたどり着きました。
    とても、DOFアダプターが興味深く拝見してました。しかし、色々情報を探すとDOFアダプターの販売が終了していたり、ホームページが消えていたりしていました。
    それがなぜなのか少し気になっているのですが、もしかして、下記のような最近のビデオカメラには、もうDOFアダプターは不要なのでしょうか?

    例えば、Canonの現行モデルのビデオカメラでiVIS HF G10などは、LCDタッチパネルをタッチして焦点を合わすのとは違い、よりマニュアル操作に近いフォーカスリングが装備されてます。ワンランク下のiVIS HF M43やM41でも、背景を美しくぼかし自然なぼけ味を表現できるという、2枚羽根絞りや虹彩絞りを搭載した新開発の「キヤノンHDビデオレンズ」が搭載されています。下のようなテスト映像を見つけました。
    http://www.youtube.com/watch?v=PfWRTqBcM30

    それとも、色々なレンズを取り替えられるメリットなどの他にも、自由度が高かったり、DOFアダプター+マニュアルレンズの方がまだまだ雰囲気ある仕上がりになったりするのでしょうか?どうぞ、宜しくお願いいたします。

    • Posted 2011/06/23 at 01:32 | Permalink

      017さん、こんにちは。今日は終日外出していました。お返事が遅れてどうもすみません。

      さて、ひと味変わった雰囲気で撮影してみたい!と、DoFアダプターに興味をお持ちになったものの、すでに多くが入手困難になっているとのこと、本当にそうですね。そして、一時期、DoFアダプターにハマッていた私にしてからが、今やすっかりEOS 5D MarkIIに乗り換えてしまいました。

      そうです、俗にいう「一眼ムービー(一眼レフカメラで撮る映像)」が台頭してきてから、状況がすっかり変わってしまったのです。多くのDoFアダプターが製造中止になったり、メーカーがなくなってしまったのは、「世界的に需要がなくなってしまったから」に他ならないのです。

      017さんも興味津々だったDoFアダプターを使って映像を撮影すると、被写界深度(画面の中でピントが合う部分とボケる部分の範囲)をコントロールすることができるようになりますが、「ボケる量」と「ボケる範囲」は次の三つの要因によって決定されます。

      1)レンズの絞り(開放すると、より大きくボケる/絞るとボケない)
      2)レンズの焦点距離(望遠レンズはボケやすい/広角レンズはボケづらい)
      3)センサー(撮像素子)の大きさ(大きいほどよくボケる/小さいと全くボケない)

      つまり、画面の中に「ボケ」を作り出そうとするなら、なるべくセンサーサイズの大きいカメラを使い、たとえば 85mm以上の望遠レンズを絞り開放(F2など)で使って撮影すれば良いわけです。

      ビデオカメラ(Canonの iVisシリーズを含む)に標準で内蔵されているセンサーは、豆粒ほどの極小サイズです。ビデオのズームを「望遠側」にして「絞りを開放」にすれば、先ほどお知らせいただいたYouTube動画のように背景をボケすことができますが、レンズを広角域にもってくるとピントがくっきり合ってしまいます。これではつまらない(?)ので、開発されたのがDoFアダプターというわけです。
      ▶ 参考情報:撮像素子と被写界深度の関係

      DoFアダプターを使うと、ビデオカメラのレンズに映る前の段階で、一眼レフカメラ用のレンズを使って絵をボカすことができます。あとは、そのボケた絵をビデオで撮影すれば良いだけなので、ビデオ側のセンサーのサイズやレンズの性能などを、すべてまとめてスルーする事ができます。

      で、こりゃあオモロイ!と、017さんやボクをはじめ、世界中の「ちょっと変わった雰囲気で撮影してみたい」こだわり映像人たちの間に、またたく間にDoFアダプターが広まった!
      …のでしたが、そこへ目を向けたのが、Canonや Panasonicや SONYなど、自社内でビデオもカメラもどちらも作っている(=静止画も動画もノウハウがある)大手メーカーさんたちでした。

      「そんな “DoFアダプター” なんて代物にわざわざ一眼レフカメラ用のレンズをつけて動画を撮影するんだったら、最初から一眼レフカメラが動画を撮影できればいいんじゃね?」というワケです。

      ここから、「DoFアダプターの衰退」あるいは「一眼ムービーの隆盛」の時代に突入していったのですねぇ。

      そういう事なので、もしも017さんがひと味違った雰囲気の映像を撮影してみたいのでしたら、ボク的には今一番おすすめしたい!のは、iVisシリーズなどのビデオカメラではなく、かといって、すでに確実に衰退してしまったDoFアダプターでもなく、PanasonicのGH-2やCanonの60D、7D、5D MarkII、あるいはSONYのNEX-5などの、レンズ交換式の一眼カメラです!こちらの方が、かつてのDoFアダプターの、より正統的な進化の形だと思います。

      厳密に言うと、DoFアダプターで撮影した映像は、「汚い」し「暗い」し「シャープじゃない」のですが、そして今でもそれこそが「味」だと信じて使っている人たちも沢山いますけれど、上記の最新の一眼カメラを「マニュアル操作で」使った方が、ボクとしては017さんに満足して頂けるような気がします。

      いかがでしょうか?ご質問に対する回答になり得ておりますでしょうか???

    • 017
      Posted 2011/06/23 at 22:36 | Permalink

      raitank様

      こんばんは 017です。詳しく的を得たお返事ありがとうございます!とても優しく説明していただけたので、良く理解できた気がします。

      >厳密に言うと、DoFアダプターで撮影した映像は、「汚い」し「暗い」し「シャープじゃない」のですが、そして今でもそれこそが「味」だと信じて

      仰ることにふと気づかされました。狙ってそういった絵を撮るのなら別なのかもしれませんが、そういったことも元が綺麗に撮れる機材なら後で編集できるでしょうが、機材のレベルが低かったり技術不足で思うように撮れないのならDOFアダプターは避けて、仰る通り「最初から一眼レフカメラが動画を撮影できれば」で選んだ方が良いのかなと思いました。

      また、気を付けなければならない「35mm画角対応」というのと「絞りリングつき」でレンズを調べていた時に、raitankさんと同じ35mmフルサイズのCanon 5D Mark IIをNikonのレンズをマウントを変換して取り付け写真撮影できるのも良いかなと思いました。そう考えると、写真も綺麗に撮れて動画も一眼レフレンズで撮れる一眼レフカメラにより思いが傾き、さらに、raitankさんがオススメしていただいたリストの中に入っていたので、とても心が大きく揺れてしまいました。

      ただ、iVISなどに比べたらCanon 5D Mark IIだけは価格がかなり違うので、「今ごろ?今さら?5D Mark II」も読ませていただきましたが、今度はDOFアダプターの事ではなくCanon 60D、7Dなどと、5D MarkIIの違いをよく調べて検討しようと思います。

      先ほどYouTubeで「Canon 60D 24fps」や「Canon 7D 24fps」と調べたら、綺麗な映像を色々見ることができました。質問して、詳しく教えていただけて良かったです。本当にありがとうございました。

    • Posted 2011/06/23 at 22:59 | Permalink

      017さん、こんばんは。やり取りが文章のみになるネットの世界では、なかなか言いたい事が伝わらずにもどかしい思いをすることも多々ありますが、017さんにはお伝えしたいと考えていたことを、すっかり、スッキリ、お伝えすることができたようで、とても嬉しく思います(あ〜良かった!(笑))。

      >そう考えると、写真も綺麗に撮れて動画も一眼レフレンズで撮れる一眼レフカメラにより思いが傾き

      もう、全くその通りなんですよ。ボクも実際に 5D MarkIIを使い始める前までは、写真のことはそんなに真剣に考えていなかったんですが、実際に撮影に出かけると、思いのほかこの「写真も綺麗に撮れる!」ということが重宝しています。また、写真が撮れるということは、「インターバルタイマー」という小道具を一つ追加するだけで、いわゆる「タイムラプス動画」も撮れたりします。
      タイムラプス映像テスト

      これも一眼ムービーならではの(=ビデオカメラでは普通は撮れない)「ちょっと変わった撮影方法」と言えますね。

      どのカメラを手に入れられるにしても、実際に購入するまでに色々と情報を収集して悩むこともまた楽しみの一つです(笑)。どうかじっくりと腰を据えてご自分にふさわしい道具を選んでください。そして、傑作が撮れた暁には、ぜひぜひボクにも拝見させてください。ではっ! Happy Shooting!!

  2. ysjack
    Posted 2011/06/18 at 15:10 | Permalink

    はじめまして このサイトでDOFを勉強してさっそく苦労しています。^^;
    とっても楽しいのですがまだ駆け出しですのでよろしくお願いいたします。

    さっそくお聞きしたいことがあるのですが、当方はCAM35を購入しました。
    これはスタティックということで、一番最初にとりあえずと
    ニコンの35-70mm F3.3-4.5 を買いました。
    GGの出る事出る事 笑 で このページにあるように 
    ニコンの50mm F1.4をその後買いました。
    まあ何とかきれいな画面 
    http://www.youtube.com/watch?v=SqIB0qBgZ-g
    でもここが限界なのでしょうか?

    それとビデオでどうセッティングしてもどうにもならない事を
    考えると要するにGGにあたるまでの光の量が大変重要なのかと
    感じました。なのでF値が2.8までぐらいのレンズがDOFアダプターには
    必要になるとの認識でよろしいのでしょうか?

    初めての書き込みで長文と申し訳ありませんがアドバイスをお願いいします。

    ちなみにCAM35でここが限界のようであればMODO-U購入予定です。

    • Posted 2011/06/18 at 16:18 | Permalink

      ysajack さん、こんにちは。DoF アダプターの世界へようこそ!(笑)
      …と言いつつ、ボクは一足先に足を洗ってしまったのですが。

      ご使用の機材はパナの AG-HMC45+CAM35ですか。AG-HMC45といえば、ちゃんとした業務用のカメラですよね?それに組み合わせておられるのが CAM35というDoFアダプタ。このアダプタは聞いたことがありませんでしたので今ざっと調べてみましたが、あまりに安くてビックリしました。$100なんて凄いですねぇ。。。
      そしてただ今、ysjack さんのお撮りになったサンプルも拝見してみての感想ですが、ズバリ!「ここが限界」なんて事はなく、まだまだ行けるのでは?と思いました。

      このサンプル映像を撮影された際の、ニコンレンズのF値は何でしたか?そして AG-HMC45のシャッタースピードはいくつでしたか? たぶん、F値かシャッタースピード、あるいは両方の合わせ技が原因ではないか?と思ったのですが…

      もしも、たとえ雨降りだったとはいえニコンレンズのF値=F2.8以下、AG-HMC45のシャッタースピード=1/80秒以下だったにもかかわらず、こんなにGGが見えてしまうのだとしたら、CAM35は残念ながらダメダメな DoFアダプタということになります(あれ?でもこのページをお読みになった上でお使いになっておられるのですものねぇ?…ということは、やっぱりダメダメ系?)
      …ですが、CAM35のホームページに掲載されているテスト映像を見る限り、こんなにGGが露呈しているものはないようですが、いかがだったでしょうか?
      CamPro35mm Satic DOF adapter – Canon HFS100 – Test Video (Outdoor)

      もう一つのご質問も上記命題と関連しているかと思いますが、答えは YES です。DoFアダプタと組み合わせるレンズは、概ね F2.8以下のレンズで。そして撮影時のF値もF4以下で使わねばなりません(もしくは、そうでないと、そもそも DoFアダプタを使う意味がありません)。
      そしてカメラ側の設定として、フレームレート=24fps、シャッタースピード=1/48秒(あるいは1/50)固定にしてお使いになるべきです。

      いやあしかし、久しぶりにDoFアダプタの映像を見ましたが、やっぱり独特の味があっていいですよねぇ。。。

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