FS-100の HDMI出力は RGB?それとも 4:2:2?

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現在のところ、プロ用のカメラとして値段と機能のバランスが一番優れているのは、文句なしに Sony FS-100ではないでしょうか。未練たらたら 5D MarkII の後継に希望をつないでいなければ、ボクもとっとと FS-100に乗り換えていたかも知れません。実際、現状ボクが FS-100で「できなくて困る」のは、EOS のような写真(静止画)が撮れないんだよね〜 という一点のみです(これはこれで、けっこうデカいんですが)。

ふじのんさんのレポートによれば、高感度特性も大変素晴らしく、本体内部での 4:2:0記録だけでも充分以上のクオリティが確保できるようですし、もし望むならば、外部レコーダーを接続して非圧縮 8-bitの生データを記録することだって…

疑問①:と思ってはみたものの、はて? そういえば、FS-100から取り出せる「8-bit の生データ」って、どういう信号なんでしょう? 4:2:2ですか? それとも RGB?

疑問②:あと、FS-100には SDI端子がないので、信号は HDMI端子からの出力になりますが、HDMIは 24p をサポートしていなかったはず。その辺りどうなってるんでしょう?

FS-100が登場して以来、ずっと頭の片隅にもやもや滞留していた上記二つの疑問。とりあえず自分が明日買うワケではないし?と、ほったらかしにしていましたが(爆)、実はコレ、海の向こうでも多くの人たちが「?」に思っていたようで、いつものように AbelCine の CineTechnicaブログさんが、ズバッ!と一刀両断に解説してくれました。
▶ CineTechnica : Sony NEX-FS100 and HDMI Clarified

執筆者の Jeffさん曰く、SONYのプロダクト・マネジャー、Juan Martinezさんからこの辺りを説明してもらったので、情報共有します!とのこと。感謝感謝。

Signal output: RGB or 4:2:2?
The HDMI 1.4 port used on the FS100 outputs uncompressed 8-bit 4:2:2 or 8-bit RGB signals. Auto negotiation (EDID) takes place when an external recorder and FS100 are initially connected via HDMI and cable. During the EDID exchange, the FS100 and external recorder negotiate the highest quality signal common to the FS100 and recorder. From then on, the FS100 will output the negotiated signal. There is no menu in the camera to force a particular mode.


[抄訳]信号出力:RGB か? 4:2:2か?
FS-100に搭載されている HDMI 1.4規格の出力端子は、非圧縮 8-bit の 4:2:2あるいは、8-bit RGB信号を出力します。どちらの信号が出力されるか?は、HDMI ケーブルで外部レコーダーが接続されると自動ネゴシエーション機能(EDID)により決定されます。EDID では、FS-100と外部レコーダーが相互にやり取りできる最高画質の信号が選択され、それ以降 FS-100は選択された信号を出力するようになります。カメラ内のメニュー操作で信号を任意に選択/指定することはできません。

おぉ! つまり、FS-100からどういう信号を出力するか?は、ひとえに外部レコーダー側の能力に委ねられているということですね!?

24P via HDMI
Hereto date; no HDMI hardware supports native 24p signals. The HDMI specification does not currently support native 24p. Instead, the HDMI specification instructs that pull-down1 must be added to 24p signals. Even though the FS100 internally records native 24p, it simultaneously outputs a 60i signal with pull-down via HDMI. As a solution, Sony developed an original method to insert timecode and pull-down markers on the HDMI signal. Timecode allows external recorders to start/ stop and record camera generated time-code. The pull-down marker facilitates externally recording native 24p signals by removing pull-down during transcode.


[抄訳]HDMI端子経由の24P
現在までのところ、24p信号をネイティブ・サポートしている HDMI機器は存在しません。HDMI規格自体が 24pをサポートしていないのです。代わりに、HDMI規格では24p信号にプルダウンを付加することを推奨しています。FS-100は内部的に 24p信号を記録できますが、同時に HDMI端子から出力されているのはプルダウンが付加された 60i 信号です。この問題を解決するため、SONYでは HDMI信号にタイムコードとプルダウン・マーカーを織り込む方法を開発しました。タイムコードで外部レコーダーから録画/停止が行えますし、映像信号にも記録されます。プルダウン・マーカーは外部レコーダーに削除すべきフレームを指示することで、24p での記録を可能にします。

では、たとえ HDMI規格自体が24p をサポートしていなくても、このマーカー信号を理解するレコーダーなら、実質的に24p記録可能ということなんですね!? これまた凄いですねぇ(…ん? でも、わざわざそんなものを開発しなくても、最初から素直に SDI端子を搭載しておけば、それで済んだような気も?(爆))。

ただし、AbelCine さんによれば、本日現在、この SONYが新たに開発した HDMI内蔵タイムコード(?)を理解できる機器は、まだ市場に存在しないとのこと。
さらに、FS-100の 24p プルダウン・マーカーを理解して、24p での記録を行うことができる外部レコーダーも、現状、nanoFlash しかないそうですので、FS-100と外部レコーダーを駆使して 24p データを記録つもり満々の方はどうかご注意ください!

…もしも既にその他のレコーダーをお使いで、でも FS-100で撮った 24pデータを使いたい方は(Macユーザーであれば)、Compressor の「フレームコントロール」>「デインターレース」>「リバーステレシネ」機能を通すか、あるいは「JES Deinterlacer」というフリーソフトを使えば、簡単にプルダウン信号を取り除いて 24p 映像に戻すことができます。
…と、これまた CineTechnica さんの他のページの受け売りでした(笑)。

詳しい設定は、以下のリンク先ページをご覧ください。ていうか、本当にいつもお世話になっとります。>CineTechnica さん
▶ CineTechnica | Simple Workflow for Removing 2:3 Pull Down
▶ JES Deinterlacer (Mac 用デ・インターレーサー|フリーソフト)

9 Comments

  1. スゥインガー
    Posted 2011/09/01 at 16:54 | Permalink

    ふじのんさん。
    もちろん可変ND全然OKです。ボクも角型2枚+マットボックス、LCWのねじ込み式タイプ(手持ちレンズの口径は全てそろえています)を両方7D用に使っています。
    ただ、前者は装備が重くなる、後者はフードが付かないのでハレ切りが出来ないというデメリットに加え、角型2枚方式はその他のフィルターが使えないのが最大の難点かと。逆に、みなさんがどのように解決しているのか知りたいです。(後処理はなしで)
    色が転ぶ&解像度の問題は、自分の中では消化していますが、ケンコーの6万円のやつはどんな性能なのか気になりますね。サムヤン2個買えますし!

    • Posted 2011/09/01 at 17:22 | Permalink

      可変ND、やっぱり同じ悩みですね(笑)
      ケンコーは価格なりの高性能なんでしょうかね…気になります。
      そのうち内蔵NDが可変になるのも時間の問題?

      たぶんどっかで誰かがまた新しい方式を開発しているに違いないです。
      raitankさんのアンテナに期待しましょう(笑)

  2. スゥインガー
    Posted 2011/09/01 at 06:20 | Permalink

    なるほど〜、と今回も深くうならせてもらう記事でした。
    先日F3(FS100のHDMI出力と同じ?)+ATOMOS NINJAで3日間撮影し、色々問題点が出て来たので尚更です。
    24P記録設定でしたが、やはりHDMI入力された外部NINJAは2:3Pull Downの60i記録。(最終がDVDやBlu-rayのインターレースありで編集に合成もないならこれで良いかと)
    記事の通り、ネイティブと同じように使うには、デインターレースが必要で24P変換が必要ですが、動きのあるシーンだとフィールド分割で完全に動きがずれてアウトのような気がしました。(時間がある時にMagic Bullet Framesで綺麗に60i→24Pに高画質な変換出来るか試してみます)
    その他の問題点としまして、RECがシンクロしない手間(撮影助手がいなくカメラマンオンリーの現場だと、普段のワークフローにない外部記録を何カットか必ず忘れること必須)です。これでカメラ内記録がマスターになりました。といっても、カラコレ前の素材の状態では35mbpsでも相当な高画質です。後は耐性がどれくらいあるか後日検証。
    さすがは安価外部レコーダーの先駆者(それでも高い?)、nanoFLASHですね。HDMIで24P記録できるとは!これは外部RECをカメラに同期させることは出来ましたっけ?
    今現在、AF-105かFS-100のどちらを買うか?僕としてはAF-105かなぁと。
    理由は、AF-105の売価が相当安くなったこと。HDMI&SDI端子。内蔵ND。今更ながらですが、あるとないとでは、現場の進行に大幅な時間差が出ると思いました。特に劇ものとなるとかなりの時間差が出るかと思いました。
    もしワンマンでクライアントやディレクターが別途いない現場なら、高画質(高感度、浅い被写界深度)なFS-100一択です。いわば、クリエーター向きってことですかね。
    ただ、FS-100をモニタアウトし、取り回しもしやすく長距離ひっぱれるにはSDIケーブルしかないので、やっぱりコンバーターが必要になるし、外部記録するとなると分岐するスプリッターが必要だったり、結局ゴテゴテしてしまうので、DSLRでいいじゃん、と思っちゃう次第です。

    • Posted 2011/09/01 at 06:41 | Permalink

      スゥインガーさん、おはようございます。HDMIってイヤですよねぇ〜。幾ら民生規格とはいえ、よくもまぁこんな中途半端な規格を策定したなぁと常々呆れておりました(笑)。端子はすぐにスッポ抜けるし、外部ビューファーやモニターではしょっちゅう意味不明の表示エラーが起こるし、おまけに24pには対応してないし。
      そんな HDMIしか外部出力端子がない!というのは、FS-100の大きな弱点ですね(ま、SONYさん的にはそれがF3との差別化なんでしょうが)。

      かたやのAF-105は… M4/3でレンズの焦点距離が35mm版換算2倍になるのが許せるのなら(笑)、ND内蔵等々含め、確かにこちらのほうが色々モロモロ実用的かも?ですね…。

    • Posted 2011/09/01 at 08:15 | Permalink

      おはようございます。
      確かにSDI端子に比べるとHDMIは不安要素多いですね。
      でもFS100は比較的しっかりしてます。更にパナの9インチモニターなどは抜きにくいくらい(笑)しっかりしてます。やはり民生機のHDMIとは造りが違うみたいです。

      HDMIからRGBが出るとのことですがFS100の回路としてRGBを出す回路があるとはにわかに信じがたいのですが…F3でも高額なオプションにして3G出力用に専用放熱までしているくらいですから。それが簡単にHDMIでRGB出力できたらF3の立場は、HDCAM-SRの立場は…(笑) もちろんボクは大歓迎ですが外部レコーダーが100万以上したら本末転倒ですし…

      スゥインガーさんAF-105かなり値崩れしているようですね。
      現場ではNDフィルター必須ですが可変NDではダメですか?かなり深いNDにすると色がかかってくる問題はありますが一度使ってしまうと他に戻れないです…早くマイナス感度のあるカメラ出してほしいものです。

    • Posted 2011/09/01 at 08:30 | Permalink

      ふじのんさん、おはようございます。そうなんですよ。にわかには信じがたい話なんです。ですが、これは FS-100が実際に発売される前から海外では話題になっていたトピックでして。『え?HDMIからRGBだって?んなバカなっ!?』って(笑)。
      それが今回、上の記事にも書きましたように、CineTechnicaブログさんがSONYのプロダクト・マネジャー氏から直接コメントをもらって、つまり念押しした形で情報公開されているわけです。スゴイでしょう?(笑)

      ちなみに、うろ覚えで申し訳ないんですが、たしか発売前に流布されていた話だと、『FS-100にはHDMI端子が二つ用意されており、その二つを両方とも使うとRGB信号を出力できる』と、言われていたような気がするんですが、記憶違いかなぁ??(HDMI端子、二つありますか?)

      ただ、上位機種のF3ですら不可能な「HDMI端子からRGB信号を出す」機能自体は組み込まれているものの、そんなヘンタイ的な信号(RGB on HDMI)を受け取れるレコーダーのほうがないじゃん!?ということも、やはり発売前から喧々諤々、語り合われていて、とりあえず9月1日現在、その状況は変わっていないということなんですね。。。

    • Posted 2011/09/01 at 08:53 | Permalink

      ということはかなりF3と共通部分がありそうですね。
      デュアル信号でRGBというのはF3のHD-SDIのことでしょう。3G一本でもRGB出せるんですが昔のレコーダーでデュアルでRGB仕様というのがあるのであえて作ったのではと思いますが変換器出した方が簡単じゃなかっただろうかって思います。あくまでもHDCAM-SRのテープ資産を大切にしたいと言う思いがあったのでしょう。

      ということはF3でもHDMIからRGB出る可能性はあるんじゃないですか?
      問題はSONYがHDMI RGBレコーダーをどの市場向けに作るかですね。
      また海外メーカー依存ということなのかもしれませんがいろいろ不安定な動作を聞くと手を出すのが怖いです(笑)せめてローランドあたりで作ってほしい…

    • Posted 2011/09/01 at 15:07 | Permalink

      ふじのんさん、すみません。先ほどのコメントを書いてから、打ち合わせにでかけておりました。

      >>ということはF3でもHDMIからRGB出る可能性はあるんじゃないですか?

      FS-100のHDMI端子からRGB信号が出る話自体が、たしか昨年末から今年初頭くらいにかけてリークされた情報で、年々記憶が怪しくなってきている私のうろ覚えに頼るのは大変危険なんですが(爆)、でも、たしか F3では「できない」んですよコレ。それで海外の掲示板では『なぜF3ではなく民生機よりのFS-100だけ?』と話のネタになっていたように覚えています。
      ちょっとオリジナルを探してみます。う〜ん…

    • Posted 2011/09/02 at 09:11 | Permalink

      でもRGBってカラコレ用というよりクロマキー合成用ですね。
      カラコレ、グレーディングには10bit、12bitのような諧調の方が重要。
      実用レベルでどこまで取り入れるかなかなか難しい問題です。
      本当に要求しているユーザーは意外と少ないかなと思ったりするし…
      僕だって出れば「必ず買います」なんて言えないし(笑)

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