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撮像素子と被写界深度の関係
▶
SDHCカードへQuickTime形式で収録できるGY-HM100の導入と共に、それまで気にしていなかった事が気になり始めました。作業効率は飛躍的にアップしたものの、今や思うような絵が撮れないことが不満の種です。
▶ 深い被写界深度の問題
画面の隅々まで常時ピントが合いっぱなしの、深い被写界深度はどうすればコントロールできるでしょう?一つ前のエントリーに掲載したビデオは、紫外線がたっぷり降り注ぐ秋の浜辺で撮影したものです。カメラの絞りは、ほぼずっと「F8」固定(そして1/10 NDもオン)。広いエリアに散らばって活動する人たちを収めるため、また手持ち撮影で生じる手ぶれを極力目立たせないよう、レンズは広角端で撮影。
日本の生んだ映像表現であるボケ(海外でも“Bokeh”と言います)は、絞り開放+望遠域での撮影から生じるものです。レンズを絞り込み広角域で撮っていたのでは、どんなカメラで何を撮ってもボケるわけがありません。
…それはそうなのですが、色々と調べてみると、どうも原因はそれだけではない事がわかってきました。
CCDであれCMOSであれ、ビデオに使われている1/2型、1/3型等の撮像素子は、ボケを生じさせるにはそのサイズがあまりにも小さ過ぎるらしいのです。撮像素子のサイズによってボケの出方が変わるのは、たとえば一眼レフでは綺麗にボケる背景がコンパクトカメラではボケない、ケータイカメラはさらにパンフォーカスであることからも体感的に理解することができます。つまり、撮像素子のサイズが小さくなるほどボケない、のです。
そして、あろうことかGY-HM100のCCDは、業務用ビデオカメラで一般的な1/3型よりもさらに一回り小さい、1/4型CCDであることを(今さら)思い出しました。
一般的にビデオカメラに使われている撮像素子のサイズは、2/3型(放送用)、1/2型(業務用)、1/3型(業務用/民生用)等と表記されています。ですがこの1/○型って、具体的な縦横サイズはどうなっているのでしょう?
というわけで撮像素子それぞれの寸法を調べ、デジタル一眼等のスチルカメラ用撮像素子、また参考までにハリウッド等のムービーカメラに使われているフィルムサイズと比較してみたのが上の図です(クリックで拡大)。
こうして重ね合わせてみると、昔ながらの35mmフィルムがいかに巨大か!?に驚くと同時に、改めてGY-HM100に使われている1/4型CCDが極小であることがよくわかります。35mmフィルムの寸法、いわゆる「フルフレーム・サイズ」と比べると、なんと!1/120の大きさではありませんか(…というか2mmx3.6mmなんて、そんな鼻クソみたいなサイズであの綺麗なHiVision映像が撮れるなんて、にわかには信じられません)。なるほど、これではボケ足を発生させるのは光学的にかなり難しいのでしょう。
▶ DoFアダプター
日本では、それほどポピュラーではないと思うのですが(自分が昨年の夏まで知らなかったというだけですが)、海外では何年も前からこの小さな撮像素子に起因するビデオの深い被写界深度を嫌う一団 …というか、逆に「浅い被写界深度を利用した映画のような空間表現の信奉者」が多数存在し、彼らは「DoFアダプター(DoF=Depth of Field=被写界深度)」と呼ばれるとてもユニークな“装置”を考案して、この問題を回避していたようです。
先にご紹介したPhilip Bloom先生のサイトで、星の数ほど種類があるDoFアダプターの一つが紹介されているのを初めて見た時には、ガツン!と殴られたようなショックを受けました。要はビデオカメラによる結像プロセスをバイパスし、「スチルカメラ用レンズが生成するボケ足付きイメージ」を「グラウンドグラスというすりガラスのディスク上に結像させ」、この「グラウンドグラス上に結像したイメージをビデオで撮影」すればいいんじゃね?という、なんともはや“掟破りな三段論法的チカラワザ”です。
またしても「P.Bloom先生にしてやられただけ」とも言えますが、「あぁ、もうコレしかないっ!」と思い詰め、早速、DoFアダプターの情報を求めて海外サイトをハシゴする日々へと突入したのでした。
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