二年前の NABで “ゲームチェンジャー” と評された Freefly MoVIが華々しいデビューを飾って以来、世界中の映像業界を席巻した3軸スタビライザー旋風。その後、雨後の筍のごとく有名無名な各社から本家 Freefly製品よりもグッとお求めやすい価格の製品(笑) が登場し続けて現在に至っていることは、皆様ご承知の通り。
皆さんも、もうきっと一度や二度は MoVI(あるいは MoVI方式の3軸スタビライザー)に触れたことがありますよね? ぼくは Red Epicを積んだ M10を初めて持たせてもらった時に、ものの5分で音を上げました。そして MoVIのような “カメラを吊り下げる方式” のギンバルはやっぱりドローン用、あるいは屈強な外人さん専用だよなぁ… と嘆息して以来、興味を失いました。
あれから二年。今年の NABでは、ギンバル界隈に幾つか新機軸というべき進化が見られたようです。
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● Letus Helix Jr
まずは、昨年の秋に登場して以来、密かに注目していた Letus Helixに Jr(ジュニア)という小型版が登場しました。ご覧の通り Helixは、その他もろもろの MoVIの亜流(ドローン用ギンバルにハンドルをつけた形)ではありません。あたかも手持ち撮影用リグにギンバルが内蔵されたような体裁で、左右のハンドルとカメラの重心軸が揃っていて、見るからに持ちやすそうです。また底部が平らなので、三脚用ベースプレートを付けたり、あるいはそのまま床に置ける構造も好感度大。
仕様上は 3.2 kgまでの重量に対応と書かれていますが、NAB会場では 4.5kg以上ありそうな Epicフルセットを載せて動かしています(↓)。
▶︎ Newsshooter at NAB 2015: Letus Helix Jr.
Letusの Hien Le社長がインタビューに答えて曰く、強力なモーターを搭載しているので、本当は 5.4kgまでOK。どちらかというと、重量よりもカメラの長さが問題になる、とのこと。
ぼくが今買うなら、間違いなくこれだなぁ。$2,899から。
▶︎ Letus:Helix Jr. Has Landed!
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● Flowcine 2Axis Puppeteer
これは、隙間商品というかアイデア商品というか(笑)。既存の3軸ギンバルに、さらにロール方向+チルト方向のアナログ・ダンパー(?)を追加して “5軸スタビライザー” を実現する THE PUPPETEER(人形遣い)という製品。キャッチフレーズが、「Your gimbal’s best friend(ギンバルの友)」というのがご愛嬌(笑)。
上の動画を見れば一目瞭然、Puppeteerを有効活用するためには、あの“Easyrig” が必須であり、開発元・Flowcine社の HPでも、Easyrigに同社の Sereneというケーブル・プーリーを付け、そこから垂らしたケーブルを Puppeteerに繋ぐことを推奨しています。
▶︎ Easyrig:”Gimbal Rig” Vest
…って、つまりは Easyrigのオプションと呼ぶべき製品ということですね(笑)。いずれにせよ、カメラ吊り下げ式ギンバルは、この手の重量負荷を軽減する補助具がないと(たとえゴリラのようなガイジンさんでも!)運用が難しいということで。
▶︎ Flowcine:THE PUPPETEER Your gimbal’s best friend
▶︎ Flowcine:SERENE the two axis spring arm
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● Basson Steady Endless 8-axis Hybrid Camera Stabilizer
この製品の紹介記事を見た瞬間、思わず「出たな妖怪!」と声が出てしまったのは、アルゼンチンは Basson Steady社が開発した Endlessハイブリッド8軸ギンバル(8軸ですよ!8軸!)。
とはいうものの、実はデモ映像を見ても、ぼくには8つの軸の説明がよくわかりません。誰か教えてください。(・_。) 映像中で説明されている8つの軸を抜き出すと、下の写真の通りなんですが…
お値段は「ASK(問い合わせてね)」となっていて、問い合わせてないので不明(笑)。
ちなみに、ここまでやる必要があるのだろうか?というような疑問を抱いてはイケマセン。生物でも製品でも、進化とは極に至りやがて淘汰が起こるまで続くものなりや。
ギンバルの進化なんて、まだ始まったばかり。この先、24軸くらいまでは…(ウソ)。
▶︎ Basson Steady:1-ENDLESS, 8 AXIS HYBRID CAMERA STABILIZER
以上、NAB2015関連ニュースで見つけたギンバルの「今」に関する話題でした。
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ずっと昔、まだ 5D MarIIを使っていた頃は、Glidecamと専用ジャケットに手を出したりもしていましたが、重いし暑いし面倒だし… の三重苦に辟易し、やがてクロゼットの奥深くへしまいこんでしまいました。その後、BMPCCの登場を機に Merlinを購入したものの、これがなかなか思うように使えず、弱り果てました。
二年前、MoVIが登場した時、ぼくはちょうど Merlinを上手く扱えるようになってきたところでした。
MoVIがあまりに高額だったこともあり、ステディ撮影はその後もずっと Merlinで。きちんとバランスをとって、そしてきちんと練習をすれば、Merlinは軽くて小さくて持っているのが苦にならない良い道具です。
ところが昨年末、Merlinよりさらに軽くて小さい3軸ギンバル、FilmPower Nebula 4000 Liteが登場。ぼくも発売と同時にこちらに乗り換えて、今や Merlinもクロゼットの奥、Glidecamの隣で眠りについています。
16 Comments
日本ではメイキングを目にすることも少なくギンバルがどの程度浸透しているかなかなか把握しにくい所があったんですが、先日ALEXA miniのメイキングを見た時ギンバルやドローンを積極的に使っていて「ここまで浸透しているのか!?」と唖然としました。
日本でも大作映画のワンシーンにギンバルを用いた例があったり、ドローンの画はニュース映像でも見るようになりましたし、どんどん新技術が浸透しているのですね。
願わくばドローンでテロをやらかすような連中のせいで冷水を浴びせられるような事が無ければ良いのですが…。
昨日、ついに日本でも総理官邸にドローンが落ちて、「あ〜あ、こういうバカがいるから規制されちゃうんだよなぁ」と思ってたら、その後の調べでセシウムが検出されたりして。ああなるほど、事故じゃなくてテロだったのか… って、妙に納得しちゃいました(笑)。いずれにせよ、ドローン天国時代は終了。これからはどんどん規制が進んじゃうんでしょうねぇ。。。(;_;)
初めまして? ブログ復活おめでとう御座います
何軸までいくかと聞かれれば
DSLR以上が動かせるポピュラーなコントローラーは
AlexMosのSimple BGC 32bit(Helix他、多数に搭載)
AlexMosのSimple BGC 8bit(Nebula4000 Liteなど)
DJIオリジナル(RONIN、DJIマルチコプター用)
FreeFlyオリジナル(MOVI)
全部3軸だと思われます
最後のデジアナなやつはひと昔前の空撮用(サーボモーター使うやつ?)
KenAsanoさんという方がBGの国産ガレージメーカーを立ち上げようと奮闘中
http://kenasano.net
スタイルはNebula4000 Liteの強化版、初期ロット50台を予定中だそうです
スヌーピーさん、初めまして。AlexMos氏のコントローラーで制御できるのは3軸までなんですね。僕はギンバルは全くの門外漢で、そういう基本的なことも分かってなかったりします(汗)。
Ken Asanoさん、存じ上げませんでしたが、サイトを見たらかなり熱心なご様子ですね。自作されている「S-Monster」は、本当に Nebulaそっくりだし(笑)。…というか、Nebulaも購入して更に研究されてたりして。すごいなぁ。。。
まさかの週間化!
どんなに軽いギンバルでも重さはカメラ+ギンバルなるので、これはもうexo armの出番待ちですね!
でもそしたらギンバルを持たなくてもarmにギンバルの機能を持たせればいいというw
とりあえず健康増進のため適度な運動ですね。
> まさかの週間化!
えへへ。とりあえず、二年間続いた全国行脚の仕事が終わったので…(てへぺろ)。
ともぞさん、「ギンバル付き外骨格」って素晴らしいアイデアですね! Googleあたりが、あの “盗撮ガジェット” にしか見られてないメガネをやめて取り組んでくれたら、来年の NABまでには製品化してくれそうですが(笑)、マジで誰か作ってくれないですかねぇ〜。
こればっかりは買える時が買い時と考えるしかないですよね…^^
昨年頑張ってM5を購入して撮影に使ってますが、今年の動きは把握してたとはいえやっぱりサイクルは早いなぁ。。。とw
要は持ってる機材をどう運用するかなんですよね、そうしないと機材購入の無限サイクルに入りそうです^^;;
ragiさん、わかります。かくいうぼくも、たぶん ragiさんが購入された頃、同じく M5の購入 “半歩手前” までいきましたから(笑)。付属ソフトのことを考えたら、やっぱり買うなら MoVIだよな〜、と。でもぼくの場合、購入直前に BMPC4kを載せて持たせてもらったところ、やはり5分しか耐えられず「あぁ、やっぱダメだ…」と肩を落として諦めたんでした。
Helixいいですよ!昨年ご縁がありテスト出来たのですが概ね良好でした。
ただ、構造上Pitch制御モータへの負荷がMoVI型と比べタフなので「デカいモータで力技!」な動きになります。使用予定カメラとのコンビで満足行くティルトがいけそうか導入前に是非ご確認を〜!
わお! freiheitさん、Helix使ったことあるんですか! それは羨ましい! (^_^)
ぼくは基本、三脚撮影が好きなので、たまに使う飛び道具として Nebula4000があれば充分なんですが、大きなカメラを載せなくちゃならない時はぜひ Helixを試してみたいですー。
そうなんですよ、昨年FS700との運用を夢にメーカーさんともガッツリやり取りしていたのですが、結局断念しました(理由はHelixのSDI結線とか色々なのですが)。
で、熱も冷めた頃別件で撮影チームがHelix持って来たので、演出で参加したくせに時間を見つけては現場で触らせてもらいました。Epic(+シネ単)との相性はバッチリでしたが、DPさんもF5は結局ダメだったと言ってました。
早く7SやGH4サイズで4Kraw出し(内蔵記録しなくて良いので)なカメラ、出てくれないかな〜。そしたらボクもあらためてHelix、今度はJrに飛びつきます!
> DPさんもF5は結局ダメだったと言ってました。
きっとボディの長さ(Helixから飛び出る分)の問題なんでしょうね。Alexa Miniやら BMD Microやら、ギンバル運用… というか、ドローン運用を意識したカメラの筐体は、どんどん直方体に近づいていく…。そういう意味では REDのブリック筐体は時代を先取りしてましたねぇ(笑)。
今の僕には刺激の強い内容でしたww
ちなみに僕もRONNINとRED EPICを試して30秒で音を上げました。
アシのイギリス人でテストショットしようと思ったのですが、彼が身長192cmあるので、そもそもあの構造だと完全にバンザイ状態に。。。
低いショット、縦軸の動きを取り入れない限り、ギンバルはマストではないなと思う今日この頃。(MOVI 10買っといて何ですが)
この先もグライドカムには活躍してもらうつもりですヾ(*´∀`*)ノ
MoVI、普通に重いよねー(笑)。M10+Epicみたく重いと、どうしても二人運用になるのと、ギンバル持つ人は「ただ持って動く人」になっちゃうのがどうも…(笑)。ぼくはやっぱ基本ワンマンで、かつ撮影者が現場で目立ち過ぎないスタイルが好み。リグが目を引くとか、サイアクというか(笑)。Glidecam+ジャケットも(重い暑い面倒なだけじゃなく)そういう理由で使わなくなりました…。
最後の「出たな妖怪!8軸」ですが、数え方がバブリーですねww。
(1)アップ・アンド・ダウンは、スレッド部ではなく、カメラマン側がジャンプしてそれを吸収するかが本来問題。(2)フロントバックも、カメラマンが動いてもカメラは不動、ということが本来スタビライズという意味では必要では。(6)ホリゾンタルパンニングにおいては、スタビライズではなく、ただのパン方向の紹介(7、8)ダイナミックバランス(動的バランス)がとれてないじゃん?どんどん傾いているのを手で直してるじゃん!ww
細かく揺れているし、そもそもそーっと操作しているのがおかしい。ラフな操作でも、セッティングさえ出てれば、だれでも安定、それが真の使い心地だと私は思います。しかし、面白かったです。ありがとうございました!
hanchanjpさん、こんにちは。「そもそもそーっと操作しているのがおかしい」全くその通り。このビデオを最初に見た時、なんか、オペレーターの人がおそるおそる動かしてるのは、ひょっとして笑うところか?と戸惑っちゃいました。(^_^)
同じ感覚で見ていただいて感謝です!(笑)