れいによって忙しい時の “深く掘り下げない” 短信シリーズです。本日はレンズ絡みネタx2件。行ってみましょう。
▊ Duclos Lensの Rokinon•Raw Primes
安い!というだけでなく、一度使ったらその光学性能の高さにプロ中のプロまで舌を巻く、韓国 Samyangのレンズ。昨年末、ShootBlueという英国ロンドンにある機材レンタル屋さんが「Samyang Uncoated DSLR Lens Set」という Samyangシネマレンズx3本のセットを発表して、ちょっとした話題になりました。セットになっている 14mm T/3.1、24mm T/1.5、35mm T/1.5のレンズたちは「Uncoated」、つまりレンズの表玉・裏玉から反射コーティングを除去してあるので “フレアがバリバリに出まっせ!” というのが売りの超マニアックなレンズセットです(笑)。
▶ ShootBlue : Samyang Uncoated DSLR Lens Set
同じ焦点距離の Zeissレンズじゃちょっとできない(色々な意味で)遊びとしてオモシロイし、フレアが仰山出てサイコー!という奇抜な視点は認める。けどなぁ… と思っていたら、このレンズ表面コートを除去したのは、なんと驚いたことにボクの敬愛するレンズ職人、Matthew Duclosさんだったようで(あれま!)。この度、その Duclosさんのレンズ工房からも同じコンセプトの反射コーティングなしシネマレンズのセットが販売されることが明らかになりました。人呼んで Duclos Rokinon•Raw Primes(Rokinonというのは、Samyangのアメリカ国内ブランドです)。
▶ Duclos Lenses : Duclos Lenses Introduces Rokinon•Raw Primes
Duclos Rokinon•Raw Primesのセットに含まれるのは、上記 ShootBlueとはちょっとだけ違い、24mm T/1.5、35mm T/1.5、85mm T/1.5という T/1.5の3本セット。カスタム仕様のフライトケースに入ってくるこのセット、お値段とリリース時期はまだ未定ですが、興味のある方は是非このレンズセット専用のメーリングリストにご登録ください。色々もろもろ進捗状況を知らせてくれるそうですよ!
▶ Duclos Lenses Rokinon•Raw Primes Mailing List
また、「いやぁ、でももう Samyang(Rokinon)レンズ、持ってるんだけどー?」って人は、ご希望に応じて表面コーティングの除去作業だけでも引き受けてくれるそうなので、相談されてみては〜!?
▶ Duclos Lenses : CINE-MOD
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▊ BMCCの Inf.問題が解決
2月12日、「BMCCロードテスト②:レンズを考え直す」の中でご紹介した、幾つかのレンズで無限遠が出ない問題が、どうやら解決に向かうもようです。NoFilm Schoolさんもレポートしてくれていますが、米・現地時間の 2月27日、BMCCのフォーラムに Blackmagic Designの Kristian Lamさんが同社でのテスト結果と対応策について書き込みを行いました。
▶ Blackmagic Forum : Flange distance issue
▶ NoFilm School : Blackmagic Solves Infinity Focus Issue with Cinema Camera, Will Require Hardware Fix
以下、Lamさんのコメントを引用します。
The cameras are all shimmed and calibrated to 44mm as per the reported focal flange depth of EF mount. I use the term “reported” as Canon does not publish the specifications officially so the exact expected tolerances are not known.
When checked against a collimated cine lens, we expect the Blackmagic Cinema Camera to get accurate focus according to the witness marks on the lens. For example, at focus chart placed 6 ft from the camera sensor plane will be in focus when the witness mark on the lens is at 6 ft.
When I tried the same collimated lens on some 5Ds, 7Ds and even a C300, the witness marks fall short of the expected distance which indicates to me that there’s some fair amount of tolerances built into the Canon cameras to cater for still lenses where the tolerances are not as critical as cine lenses.
To address this, we need to put in the same allowances. We have tested this with some of the cameras from customers reporting this and it works.
If you think you’re encountering this issue, please contact your local Blackmagic Design support office and we’ll sort you out.
BMCCのフランジバックは、すべて EFマウントの規格であるはずの 44mmに調整して出荷されています。「であるはずの」と書いたのは、Canonは公式には自社マウントの規格を公開しておらず、従ってどれくらいの許容誤差があるかも不明だからです。
きちんと光軸の平行が調整されたシネマレンズで調べてもらえば、BMCCではレンズに刻まれた距離指標通りにフォーカスがくることをわかってもらえると思います。たとえば、カメラのセンサー面から 6フィート離れた位置に置かれたフォーカスチャートは、レンズに刻まれた 6フィート指標の位置でフォーカスが合います。
ただ、そのレンズを何台かの 5Dや 7D、あるいは C300につけて試してみたら、ときに距離指標よりも短いところでフォーカスが合うことがありました。これはシネマレンズほど厳密さを求められないスチル用レンズのバラツキを吸収するため、Canon製カメラのフランジバック長には明らかに、ある程度の許容誤差が見込まれていることを示しています。
この問題に対処するには、BMCCにも同じ許容誤差を設定しなくてはなりません。というわけで、Inf.問題の出ていたユーザー様のカメラ何台かでフランジバック長を再調整してみたのですが、無事解決することができました。
つきましては、もしお客様の BMCCで同様の症状が出ている場合、最寄りの Blackmagic Designサポートにご連絡を頂ければ修理対応をいたします。
解決策=ハードの修理対応ということで、一旦、カメラ本体をディーラーあるいは Blackmagic Design社に送らねばならないのが玉に瑕ですが、想像していたよりずっと早く一件落着してくれましたね。
ちなみに備考が二つ。
① 上のコメント内で Lamさんが述べている修理対応の手順は、Blackmagic Design社のサイト内にある「サポートセンター」から(マニュアルやドライバーをダウンロードする時のように)製品別のサポートページへ行き、ページ下にある「問題は解決しましたか?」から「リクエストを送信」で、症状と修理対応を依頼してください、というものです。
▶ Blackmagic Design : サポート
② Blackmagic Design社の調べでは、ボクのところでも問題が発生した Tokina AT-X 116 PRO DX Ⅱ(11-16mm f/2.8)は、BMCC以外のカメラでも無限遠が出ないケースがちらほら報告されているそうで、今回の修理対応をしても、このレンズが使えるようになるかどうかは保証できませんと云っています(その場合は Tokinaに調整をお願いするしかないですね)。
ちなみにボクは… もう問題の Tokinaレンズx2本はドナドナしてしまって、今手もとにあるのは全部問題ないから修理不要かなぁ(笑)。
21 Comments
shoot blueさんのvimeo動画観ましたがちょっとハレーションが入りすぎてうるさい感じがしました、前玉のコーティング剥がすだけで良かったんじゃないかな? 自分もキイロビン(車フロントガラスの油膜除去剤)でコーティング剥がしをやってみましたが結構いい感じにフレアが出ました、といってもコーティングが取れたというより研磨して細かい傷付けて柔らかくなったのが正しいかもです。でもアナモで車の光源撮っても光芒が柔らかく飛んでくれてお気に入りです、raitankさんも是非お手元のLレンズをキイロビンでゴシゴシと(笑
https://vimeo.com/41306894
おっ! Nikkor 50mm、いいっすねぇ〜! っていうか ek2008さん、なんでもDIYし過ぎ!(笑) ま、でもアレか、モータースライダーまで自作しちゃうくらいですから、レンズのアンチフレア・コーティング剥がしなんて、朝飯前?
それにしても。レンズのコーティング剤って、クルマの油膜除去剤で取れるんですね。勉強になります。φ(.. ) メモメモ
この油膜剤はレンズコーティングを剥がした人が検索でヒットしたので真似ただけです、もっと他に良い方法があるかもですね。ニコンのサービスセンターに持っていってお願いしてみようかと考えましたがさすがにそれはやってもらえんだろうと(笑。アナモの硬調な光芒やらストリークをもっと柔らかくしたいと思ってトライしましたが個人的には満足のいく上がりでした。全体のトーンも固いルックを撮影後に柔らかく仕上げるのは難しいので、撮影時にフレア出してローコンで撮って後でカーブ立てて色付けしていく方が仕上げ易いですね。
BMC問題解決(?)して良かったですね!
でも、結局送り返しかあ。
この点、REDはマウント交換可変というアホなシステム(褒めてます)なので、こういうトラブルでもマウントアダプタだけの交換で済み、さすが、よく考えられてるなあ、と思います。
Duclos Rokinon•Raw Primes は、正直アホで良いなあ!という感想です(褒めてます)
ご存じのようにSamyangはレンズコーティングが値段相応に安いのが問題とされてましたから、ある種根本的解決ですね(^^;
ただ、自分が使うかというと微妙。
なるほど〜、確かに REDは値段相応(以上!?)に考えられているのでしょうねぇ。ま、でも今のところ世界の受け止めは、『初めてカメラを “作ってみた” にしては上出来だよ』って感じのようで。上にリンクした NoFilm Schoolさんとこのコメント欄なんて、超おかしいですよ!「素晴らしい!修理対応で問題が解決することもだけど、Blackmagicがちゃんとユーザーの声を聞く会社だってことがわかった。Appleにも見倣って欲しいものだ」から始まって、延々と、いかに最近の Appleがダメかって話に終始して、そもそも Blackmagic Designの R&Dが至らなかったんでは?という当然な突っ込みがどこにも…。(^_^;) …あぁ愛されてるんだなぁ〜って感じで微笑ましいです。
> ある種根本的解決ですね(^^;
これには大笑いしました(笑)。
最近だとYouTubeで散々ネタにされているJ.J.エイブラムスの映画とかもフレア祭りですよね。「プライベート・ライアン」でヤヌス・カミンスキーが使ったシネレンズもコーティングを除去した特注のシネレンズ。
フレアの映像って好きなんですけど、若手のフィルムメーカーがAfter Effectsでフレアを乱発してる画を見かけると、反発して自分じゃ絶対にやらないぞって天邪鬼になってしまいます(笑)
そうっすね、JJエイブラムスさんのは「かなり臭い」系ですよね。「プライベート・ライアン」の話は知りませんでした。そうなんですか。なんかあんまりフレアな印象が残ってないんですけどねぇ(その辺が上手な使い方ってやつでしょうか)。ボクは全然若手じゃないですけど(爆)、ホントは乱発したいくらい好きですねぇ。(^_^;) ただ、逆に好きなだけに使えないっていう、なんかガマの油みたいな状態になってます。
DuclosさんのコーティングなしT1.5トリオ、とっても興味深いです!
個人的にフレアがバンバン入って来るの好きなんですよねぇ。Takumarなどオールドレンズ使った時のフレアやゴーストの感じも大好きなのですが、解像度の評価も高いサムヤントリオでゴージャスなフレア…お仕事撮影では怒られそうですが(笑)、すんごい欲しいなぁ、これ。
おっ。気が合いますね、freiheitさん。ボクもフレア大好きです。(^_^)v とはいえ、フレアが出るとコントラストが下がりますし、そもそも使いすぎると臭いですし、いつも使い方・使いどころが難しいなぁ〜と難儀してますが。いずれにせよ、お幾ら万円で登場するか? 楽しみです。
おお!こんなレンズがあるんですね!フレアのテスト映像見ましたがいいですねえ。木漏れ日とかいい絵撮れそう!まさにオールドレンズな描写ですね。
スピードブースター出る前にいっぱい買っちゃったから送ってやってみようかなあ。。
あぁ、そういえば 3RD EYE STUDiOSさんは早かったですよね〜、Samyang導入。「いっぱい買っちゃった」ってのは、レンズギア付きの Rokinonシネマレンズを一式揃えちゃったんですか?(すごっ!)ボクの場合、今やメインカメラが BMCCだから、Duclosさんとこのセットより ShootBlueさんとこのセットのほうが使い勝手が良さそうだなぁ…。
これって修理期間はどれくらい掛かるんでしょうかね?
本社送りなら結構掛かるんだろうなぁ。。。。。
そういえばLandscapeさんの所ではCrucialのSSDでRAW収録したら駒落ちするとの報告が有ったんですが、raitankさんの所では駒落ちの問題とか出てませんか?
アメリカ国内での話として「7〜10日」と返答しているようです。調整はオーストラリア本社に返送して行うようなので、世界中からどれくらい返品されてくるか?によって、日数はどんどん伸びていくものと思われ…。
ただ昨日も映画関係の人と話していたんですが、「インフなんてそんなに影響ありますか?(使いますか?)」っていう方も大勢いらっしゃるようで(笑)。
あと、うちの Crucial 512GB SSDは全くノートラブルですねぇ。コマ落ちなど、一度も…
オーストラリア送りとすると(世界から調整殺到するとして)今送るか、落ち着いてから送るかどちらかでしょうね〜、、、、。確かに僕もインフに関してはあまり使わないからraitankさんのお話しした方のおっしゃる事はわかります、が、あまり気持ちの良いものではないのと(不完全品として考えると)僕の場合マウントアダプターを噛ませてFレンズを使用するのでその際にフランジバックが狂っているのはやはり不安ですね。
SSDの件ありがとうございます。なるほど、こればっかりは相性なんですね(Macもそうですし)、っていうか、自分の今の現場環境ではカツカツになってしまって、自分まだRAW収録やってないので(オイ!)僕も時間みて検証してみます。。。。
ボクは逆に、今年はまさに今日から始まった年間定例撮影仕事の現場が、レンズをどっちに向けても背景に西丹沢山系の山並みが続く、山の上の農業学校でしてね(爆)。インフは超必須なんです!死活問題。それで真っ先にテストしまくって前回のレポートとなったんでしたが…。
ただ、もう始まっちゃって年末までほぼ毎週末撮影なんで、オーストラリアに送って戻してやってる時間なんかありませんから、ま、ボクの場合は Sigmaで揃え直して正解!と自分に言い聞かせてます。(^_^;)
raitankさんちのBMCCとSIGMAの組み合わせってオーバーインフってかなり余裕ありましたっけ?
夏になって暑くなるとあの象の鼻のようなマウント基部はさらに伸びますよ、きっと。
まあ その時はレンズ側のシムを抜きますか。
> 夏になって暑くなるとあの象の鼻のようなマウント基部はさらに伸びますよ、きっと。
な、なるほど〜〜。それはまた少々時間をかけてキチンとした検証動画作ったら、Dan Chungさんに採り上げてもらえそうな記事ネタになりますねぇ〜(笑)。(^_^;) シム抜き手術の節は、また色々と教えてくださいませ!
still用レンズの距離指標が完全には当てにならないのは焦点距離や
F値が公称とはちょっと違うように常識といってもいいとこです。
フランジバックはほんの僅かな違いで差が出る部分なので、実機で
綿密に調査検証するところ。設計かQCに問題があるというべきところを
キャノンの責任に転嫁してるようにみえますが、日本メーカーではあまり
聞かない言い分ですね。かの国だとすぐ訴訟とかの世界なのでそういうしか
ないのかなぁ、、、。
> 設計かQCに問題があるというべきところをキャノンの責任に転嫁してるようにみえますが
いや実際、そういう事なんだろうということは、ユーザーも皆わかってるんですよ(笑)。ただ、Blackmagic Designなどという周辺機器屋さんが初めて自社でカメラを作り、「すみません、常識をわかっておりませんでした」と弱音を吐かずに頑張ってるんだな、と皆、温かい目で見守っている、って感じじゃないでしょうか(笑)。
めでたしめでたし☆
しかしそれだけでは無いような気もしますね… レンズ側も調整要かも。サードパーティのレンズはある程度はしてくれますのでカメラとレンズ出したほうが良いかもですね。
う〜ん、結局そういうことになるのでしょうね。でも、某 DP氏に伺った話だと、“買ってきたレンズはテストして調整してもらって使うのが当たり前” だそうなので(爆)、それで「普通」なのかも知れません。