最適なノイズリダクション・ソフトはどれだ?

Written by . Filed under 5D2, VIDEO. Tagged , , . Bookmark the Permalink. Post a Comment. Leave a Trackback URL.


定例のイベント収録の仕事で千葉市科学館へ行って来ました。今年で三年目となるこの科学イベント収録の仕事では、全国各地の科学館に行けるのが楽しみの一つ。今回伺った千葉市科学館は千葉中央駅にほど近い Qiball(きぼーる)という名前のビルの中にあります。二年前にも伺ったことがあり、壁三面ガラス張りの明るい吹き抜けロビースペースでの撮影はすこぶる快適だった記憶がありました。
ところが今回は、朝から終日、『あれぇ?ココってこんなに窮屈だったっけ?』と戸惑うばかり。…なんのことはない、二年の間に自分の撮影機材と装備が、尋常ならざるかさばり具合になっちゃったんですねぇ(爆)。

今回は、Forum設置以来の “撮影部” の皆さんとの話し合いに影響されて、「レンジの広い絵」「フォーカスの向上」に留意しつつ撮影したつもり(汗)。さらに、もともとハリウッド映画を手本にしたヘビーなグレーディングも追求テーマの一つであるボクにして、今回は CineStyle 素材をSカーブで戻しただけの “撮ったまま” で繋いでみました。編集後に Color すら通さなかったのは初めての試みで、自分的には「どーよっ!?」とドヤ顔気分だったのですが、今改めて見ると特に今までと変わり映えしないような…?(汗)


さて。今回はノイズ除去ソフトについて。
このイベントでは、コピー機の仕組みを6つの工程に分けて子どもたちに実際に体験してもらいます。ですが、うち3つの工程は “暗室” の中で行われるのです。暗室内はセーフライトの弱い赤光がほんのり足下を照らしている以外は暗闇です。それ以外は、「露光」の工程でほんの6秒間だけ実験装置が緑の光を発しますが、基本的にあらゆる光が御法度!
いかにセンサーサイズが大きな 5D MarkII とはいえ、これは過酷すぎる状況です。ボクの持っているレンズの中では一番明るい Zeiss 50mm F1.4 を 使い、ISO を 6400 に設定しても、露出指標は常にマイナスの端で点滅を繰り返しています。この状況で撮影した素材は、ご想像通り画面全体が砂粒のようなノイズでいっぱいに満たされています(笑)。

さぁどうするか? …というところで “ノイズ除去ソフト” が登場します。例によって海の向こうの事例やお勧め情報をもとに、ボクは今までに下記の5つのソフト(プラグインx4種、独立ソフトx1種)を購入し続けてきました(購入し続けた =「満足できずに次へ」を繰り返してきたという意味)。

RE:Vision | DE:Noise
Neat Image | ReduceNoise
Nattres Productions | G Temporal Noise Reduction
Red Giant Software | Magic Bullet DeNoiser
Innobits | Video Purifier

以下の原寸切り出し写真を見比べてみてください。また、動いている状態ではまた見え方が違うので、下のサンプル映像もご覧になってください。








一見して仕上がりが綺麗なのは、Neat Image社の ReduceNoise と Red Giant Software社の Magic Bullet DeNoiser ですね。ただ、ノイズ除去プラグインは総じてメモリ管理がタコな製品が多く(難しいのかしら?)、どの製品でも、よくFCPが「Out of Memory」エラーでレンダリング不能に陥ります。
また、うちの環境ではココでも Magic Bullet製品がまともに動いてくれません(泣)。DeNoiser がやたらと落ちるのです(上の、ほんの4秒のサンプル映像を作る間に3回落ちました(泣))。使い物にならないので金返せ!と言いたいところです。海外でも「落ち過ぎ!使えねぇ〜」というユーザーと「安定してる!実に良い」というユーザーが拮抗しており、未だに根本的な原因がわかりません。僕自身、何度か Red Giant のサポートにクレームを送ってやり取りしたのですが、延々とメール交換を続けた挙げ句、しまいに「日本語環境に起因している、のかも?」などという曖昧な話で止まってしまい、不満が募っています。
DeNoiser は設定も簡単だし(=基本、設定不要だし)、安いしちゃんとキレイになるし、“もしもアナタの環境で問題なく動くようなら” お勧めです。

Neat Image社の ReduceNoiseプラグインも安くて早くて使い方も「超」簡単です。基本、ノイズが気になる部分をマーキーで囲んで、「Auto Profile」ボタンをクリックして適用するだけで、驚くほどキレイに粒状感を消し去ってくれます(もちろん、パラメーターを詳細に調節することもできます)。上記のように、若干メモリ管理が苦手なところはありますが、レンダリングも高速ですし Win版や Linux版までありますし、この ReduceNoise プラグインが、文句ナシ、ダントツでボクの一押しです。

そしてもう一つ。唯一、プラグインではない Innobits社の VideoPurifier もお勧めです。

元々このソフトは、知る人ぞ知る “BitVice” という超強力かつ各界から高評価を受けている MPEG エンコーダーの進化の過程で副次的に開発されたものらしく、要は最終の DVD書き出し前に “ごく微量を全体的にかけて明瞭度を上げる” ような使い方が本来の味です。つまり、動画の収録に特化していない構造上の問題として、暗部には「必ず」ノイズ成分が含まれてしまう HDSLR 素材の “モヤモヤ感を除去する” のに打ってつけ!なのです。

というわけで本稿執筆時点でのボクの結論: ノイジーな素材はまずFCP上で「ReduceNoise」をかけて粒状感を消し、さらに編集済み ProRes 素材を「VideoPurifier」に通して明瞭度をアップさせてから、Compressor で最終出力!

皆さんのお勧め、あるいはなにか別の根本的な方法論など、教えてください。

追伸:今回、サンプル映像がVimeoからの配信になっていますが、なぜ YouTubeからではないのでしょうか? ナント!日々進化を続ける YouTubeさんってば、今やザラザラした映像をアップロードすると自動でノイズリダクションがかかっちゃうようでして(!)。ノイジーな「ORIGINAL」がキレイになっちゃってサンプルにならないのでした(笑)。ビックリ仰天です。

10 Comments

  1. Posted 2012/01/29 at 23:45 | Permalink

    はじめまして、古い記事にコメント失礼致します。
    raitankさんの記事を拝見しまして、「ReduceNoise」と「VideoPurifier」の合わせ技に挑戦してみようと思うのですが、この合わせ技はAdobeのPremiereとAfter Effects(MAC OS X Lionで、どちらもCS5です)でも使えるのでしょうか?
    「ReduceNoise」についてはAEでもPremiereでも動作するようですが、「VideoPurifier」についてがちょっとサイトを覗いても解らなくて。。。
    Premiereで完成動画を無圧縮のQuicktimeなどで書き出して、それを「VideoPurifier」に通す、というような工程なのでしょうか??
    それともApple procesに書き出せば可能なのでしょうか??
    もしご存知のようでしたら教えていただければ幸いですっっ。
    申し訳ございません!!

    それと他の記事も拝見致しまして、本当に面白くて今までこのブログを知らなかったことが悔やまれました。
    まだ一眼動画を始めたばかりなのですが、これからは欠かさずサイトをチェックさせていただきたいと思いますっっ。
    楽しみにしております!!

    • Posted 2012/01/30 at 03:17 | Permalink

      tamuraさま、コメントありがとうございます。ボクは動画関係は Apple製品で固めておりまして、AdobeさんのソフトはAEを含めて一つも使っていないもので、そちらに関しては的確な意見を述べられません。すみません。ただ、「Video Purifier」に関しましては、これはプラグインではありません。スタンドアローン… つまり単体で動作するソフトですので、tamura様ご推察の通りグレーディングまで含めて編集が終わり、「Webアップロード用」あるいは「DVDオーサリング用」などの用途で『最終の圧縮をかける手前にかける』という使い方になります。

      その際の工程も、基本、ご推察の通りです。PremiereあるいはAEから、なるべく余計な圧縮のかからないフォーマットで書き出した動画ファイルを「VideoPurifier」に読み込み、ノイズリダクションのレベルを全体に、あるいは個別のシーンに設定した上で書き出す。これだけです。一つ注意した方が良いポイントとしては、編集中に「ReduceNoise」等、ほかのノイズリダクションをかけたシーンには「VideoPurifierをかけない」、あるいは「少ししかかけない」ようにした方が良いです。アルゴリズムの違うノイズリダクションを二度がけすると、絵が破綻してサイケな色や面など、新たなノイズやパターンが生成されてしまう事がよくありますので!

      …こんな感じでご返答になっておりますでしょうか? ご健闘を祈ります!! (^_^)v

    • Posted 2012/01/30 at 08:43 | Permalink

      こんな素早く、しかもこんなにも丁寧なご回答、本当にアリガトウございます!!
      僕にとって涎モノの情報ばかりなので、これからもチェックさせて下さい!!
      宜しくお願いいたします!!

  2. swinger
    Posted 2011/06/20 at 22:59 | Permalink

    さすが、動く辞書raitankさん。
    一文で引用先を当ててしまうとは!苦笑
    お役に立てずに申し訳ありませんです。
    Redgiantは買収繰り返して、開発スタッフをきってしまっているんでしょうかね….?
    近頃、プラグイン会社が買収合併の繰り返しでどんどん少なくなっているのは気になりますね。

  3. swinger
    Posted 2011/06/20 at 09:39 | Permalink

    >また、うちの環境ではココでも Magic Bullet製品がまともに動いてくれません(泣)。DeNoiser がやたらと落ちるのです


    ※Final Cut Pro での不具合について
    Canon EOSの撮影素材をFinal Cut Pro対応 EOS専用のプラグインでProres422 (HQ) に変換し、Final Cut ProでDenoiserを適用した際にレンダリングエラーが起きる不具合が報告されています。対処法は、開発元が確認中です。(2010/11/16)

    • Posted 2011/06/20 at 13:12 | Permalink

      こ、これは、ひょっとすると Flashbackさんあたりの公式不具合報告でしょうか−?

      ですが、「FCP対応EOS専用のプラグイン」も使っていなければ「ProRes422(HQ)に変換」もしていないんです(「MPEG stream Clip」使って「422LT」へ変換しているんで)。いやそれ以前に、昨年11月16日の発表以降、半年以上に渡って原因も解決策も放置プレイというのがそもそも…(苦笑)

  4. swinger
    Posted 2011/06/16 at 07:57 | Permalink

    あちゃちゃ、完全にリンク先見逃しました。
    折角、丁寧なブログ書いてもらっているのに、失礼申し上げました。
    メーカーから買ったほうが、日本のセール時以外は除けば、格安ですね。
    情報ありがとうございます!!

  5. swinger
    Posted 2011/06/16 at 05:25 | Permalink

    あと、それぞれの購入先のリンクを貼って頂けると助かります。

    次は、偽色およびモアレ対策のソフト&テクトピをキボンヌ(死語)です。

    • Posted 2011/06/16 at 07:25 | Permalink

      Swingerさん、どうも〜!えっとぉ、ボクはすべて開発者/開発社から直接購入してるんで、記事中に貼ったリンクがすべてまさにその “購入先情報” なのですがぁ…(汗)

  6. swinger
    Posted 2011/06/16 at 05:20 | Permalink

    raitankさん、こんにちは!
    まちにまったトピックです。
    ノイズリダクションソフトをこれだけ購入して試すとは、恐るべしです。
    (普通は体験版で試してから、購入しますよ!若いっすね)
    なんか、raitankさんのMac or FinalcutってMagic製品が落ちやすいんでしょうか?
    でも、Macだから環境もPCと違って、結構定格だし、うーん。
    Magic Bullet DeNoiserよさそうなので、AE用に買ってみたいと思った次第です。
    Magic Bullet は Looks じゃなくて、suiteを買っておけばよかったな。

Post a Comment

Your email is never published nor shared. Required fields are marked *

*
*

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>