皆さん、いかがお過ごしでしょうか。もう師走も半分が終わり、あと二週間で新年でございますね。ボクは今年はなぜか忘年会が多く、5つの集まりからお誘いを受け、2つは自ら幹事役を買って出たりしております。これでマヤ暦の終焉を乗り越えて無事に新年を迎えた暁には、今度は新年会ラッシュ?要はもうあまり仕事したくないんですかね(笑)。
さてさて、そんな誰もが忙しい年末ですが、一昨日14日より日本でも「ホビット 〜思いがけない冒険」が公開されています。この映画は今年5月末に PRONEWSさんでの連載、raitank fountainに「シネマのネクスト・ウエーブ、”Higher Frame Rate” とは!?」としてレポートさせて頂いた通り、人類の映画史に一石を投じるべく企画・制作された史上初の… いや厳密には史上初ではないんですが、ほぼ史上初の Higher Frame Rate映画です。
▶ PRONEWS : [raitank fountain]Vol.06 シネマのネクスト・ウエーブ、”Higher Frame Rate” とは!?
映写機が「カタカタと1秒間に24コマの絵を連続して投影する」ことで、あたかもイメージが動いているかのような錯覚を見せてくれるのが映画というメディアなわけですが、「ホビット」ではこの基本中の基本として定着していた「秒速24コマの絵」を倍速にした、秒速48コマ(Higher Frame Rate、以下 HFR)のイメージを見せてくれます。
現在準備中の「アバター2」を 48fpsよりさらに多い 60fpsで撮影する!と宣言したジェームズ・キャメロン監督曰く、HFRは「よりリアルで、あたかも映画の世界に迷い込んだよう」とのことでしたが、日本よりも一足先に「ホビット」が公開されている海外では、そのリアルさゆえか?逆に、ボロクソに酷評されたりしているようで(あらま!)。
HFRによるヌルヌルした映像が… 「TVドラマみたい」「DVDに収録されているメイキング映像っぽい」「リアル過ぎてホビットの目のカラコンがバレバレ」「セットがセットにしか見えず興ざめ」などなど。
▶ EOSHD : 48p The Hobbit – British and American critics verdict
正直に書くと、ボクは「ロード・オブ・ザ・リング」は、第1部の途中までしか見ていません(途中で寝てしまい気がついたら館内が明るくなっていてビックリ (^_^;))。なので、「ホビット」のストーリーにも、まるで興味なし。ただ、この 48fpsの HFR映像というのは、自宅では見ることができませんからね。キャメロン監督、ジャクソン監督が言うように今後の シネマの潮流になるのかどうか?はさておき、どんなものなのか見に行ってみようと思っています。
…それにしても。公式ページに掲載されている HFRに関する情報の文字の小ささは、どう考えても異常です(笑)。しかもこの解説、テキストではなく画像なので拡大表示もできやしない。できれば誰にも知らせたくない、としか思えません。
⬇
▶ ホビット 思いがけない冒険:Theaters
そして皆さん、ご注意ください。「ホビット」はどこで見ても 48fps HFR!というわけではありません。というか、むしろほとんどの映画館は従来同様の 24fps上映であり、HFR上映に対応しているのは以下の映画館だけ。しかもキチンと HFR版を選んで視聴しなければならないようです(12月10日現在の情報/公式HP劇場情報ページ)。
<北海道地区>
ユナイテッド・シネマ札幌(IMAX HFR 3D 字幕版/吹替版)
<東北地区>
青森コロナシネマワールド(HFR 3D字幕版)
<関東地区>
丸の内ピカデリー(HFR 3D字幕版)
新宿ピカデリー(HFR 3D字幕版)
TOHOシネマズ六本木ヒルズ(HFR 3D字幕版)
ユナイテッド・シネマとしまえん(IMAX HFR 3D字幕版/吹替版)
ワーナー・マイカル・シネマズ板橋(HFR 3D字幕版)
ワーナー・マイカル・シネマズ港北ニュータウン(HFR 3D字幕版)
109シネマズ川崎(IMAX HFR 3D字幕版)
ワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘(HFR 字幕版/吹替版)
109シネマズ湘南(IMAX HFR 3D 字幕版/吹替版)
小田原コロナシネマワールド(HFR 3D字幕版/吹替版)
<中部地区>
金沢コロナシネマワールド(HFR 3D字幕版)
福井コロナシネマワールド(HFR 3D字幕版)
大垣コロナシネマワールド(HFR 3D字幕版)
109シネマズ名古屋(IMAX HFR 3D字幕版)
中川コロナシネマワールド(HFR 3D字幕版)
ワーナー・マイカル・シネマズ大高(HFR 3D字幕版)
春日井コロナシネマワールド(HFR 3D字幕版)
安城コロナシネマワールド(HFR 3D字幕版)
小牧コロナシネマワールド(HFR 3D字幕版)
豊川コロナシネマワールド(HFR 3D字幕版)
ミッドランドシネマ名古屋空港(HFR 3D字幕版)
半田コロナシネマワールド(HFR 3D字幕版)
<近畿地区>
TOHOシネマズなんば 本館・別館(HFR 3D字幕版)
なんばパークスシネマ(HFR 3D字幕版)
ワーナー・マイカル・シネマズ茨木(HFR 3D字幕版)
OSシネマズミント神戸(HFR 3D字幕版)
<中国・四国地方>
福山コロナシネマワールド(HFR 3D字幕版)
<九州・沖縄地区>
ユナイテッド・シネマキャナルシティ13(IMAX HFR 3D 字幕版/吹替版)
小倉コロナシネマワールド(HFR 3D字幕版)
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さて、映画といえばもう一つ。こちらも以前から二回ほど採り上げている「サイド・バイ・サイド」が遂に22日から公開されます。
▶ 映画「サイド・バイ・サイド」公式HP
内容に関しては、以前書いたエントリを参照して頂くとして。
▶ ベルリン国際映画祭と「SIDE BY SIDE」
▶ 「Side by Side」12月22日から全国で公開
こちらは残念ながら日本全国たったの9館だけでの公開です。また、群馬県高崎市よりも北に上映館が見当たらないのが寂しいですね〜(泣)。まぁニッチ過ぎる題材を扱った映画なので、日本で正式に公開してもらえる(=努力すれば劇場で見られる)だけでも御の字と云わねばならないのでしょう。
自分のいる東京では「渋谷アップリンク」と「新宿シネマカリテ」の2劇場からどちらか選べるのですが、どちらも DLPプロジェクターによる上映(=デジタルシネマ)であって、フィルムではないようですね(?)。つまり本作の宣伝で使われている「あなたはフィルム派?デジタル派?」な〜んて惹句が空々しく聞こえるほど、世の中はすでにデジタル化しているわけで…。
「フィルム派」といえば、デジタル一眼レフの登場以降、デジタル化の波に乗れずに廃業した(せざるを得なかった)カメラマン氏が大勢いましたが、してみると今後は映画屋さんの業界で同じことが起こるのでしょうか? (-_-)
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21 Comments
サイド・バイ・サイド、アップリンクさんでみてきました!
これは映画関係者必見です。
もちろん、結論は初めから出ています。デジタルを受け入れない抵抗勢力を打破する話であり、REDを賛美する物語でもあります。
自分も昨日(本広監督の回)を観てきたので、すれ違っていたかもしれませんね!
デジタル肯定の流れの中でクリストファー・ノーランが異彩を放ってました(笑)
> デジタルを受け入れない抵抗勢力を打破する話であり、REDを賛美する物語
あらま。そんな浅い話なんですか? (´・_・`) …まぁ打破もなにも、そういう時代の流れは変えられないんでしょうけれど、そんな話をわざわざ映画にしてデジタル上映して世界に見せるっていうのも、なんか味気ないですね?(笑)
いやいや浅い部分を敢えて批判的に書いただけですよ(笑)
最も見るべきは、フィルムを愛している人たちの苦悩、デジタルに移行した人たちのフィルムへの未練ですね。
優れた心情ドキュメンタリーにもなってます(笑)
社長〜、こっちを先に書いてくださいっ!(笑) 見に行くのやめよーかなー?とか思っちゃったじゃないすか。(^_^;) 安心しました!
ビデオプロジェクター上映の時点でビデオですからね。シャッターが無くなり明滅しなくなったので24fpsといってもフィルム上映とは違うものですから。48fpsがテレビドラマと云われりゃそうかもしれませんねww
ガキの頃、町の「名画座」(といっても最近の人にはわからないんだろうなぁ(笑))に入り浸ってた時、このフィルムの明滅が見える(気がする)時があって。そういう時は、たいてい 2KHz越えの音とかも聞こえて(いるような気がして)いて、厨二病の妄想でまったりと世界征服計画を立てていたりしたワケですが(笑)。今どきはゲーマー仕様の PCに 120Hzのフリッカーレス倍速駆動のモニタを繋げ、未知の惑星で異星人を撃ち殺していたりするんですよね?(いやよく知りませんが)…ま、時代は変わったということで。
年末のお忙しい中興味深いエントリーに感謝です!
HFR上映作品…最近の大型テレビのフレーム補間映像に目が慣れた方々には当たり前になっていくのかもしれませんが、個人的には映画館の24fps、あれがワクワクして好きです。
六本木に観に行こうかな、ホビット(観たらスゴい気に入ったりして w)。
freiheitさん、お久しぶりです。(^_^)v 今のところ、いわゆる “映画好き” の方々からは総スカンを喰らっている「ホビット」ですが、一般の皆さんの反応はどうなんでしょうね?
あと、デジタルプロジェクターの登場で、こと上映に関しては秒速コマ数が幾つであっても今や全く問題にはなりませんが、フレーム数が増えれば合成やらの後処理がどんどん大変になります。つまり、お金が余計にかかります。となると、案外、制作者や視聴者がどうのこうのとは全く関係なく、大手スタジオが経済的なモノサシで介入してきてチョン!という可能性が大きい気も…? (^_^;)
自分は24fpsこそ映画のアイデンティティだと思うので、48や60はどうなんだろう・・・と感じますね。
Negさんも仰るように、一般の方はフレームレートを気にして観るわけではないので宣伝に使ってるのは凄いことだと思います。
ハーフHD→フルHD→4Kは誰の目にも一瞬で分かる違いがありますが、フレームレートはそれを押しにするような要素ではないですしね。
サイドバイサイドはアップリンクで観てこようと思います。
あの映画館は小金持ちのシアタールームっていうぐらいショボ・・・いや、アットホームですが(笑)
個人的にはロバートロドリゲスのインタビューが一番聞きたいです。
> 48や60はどうなんだろう・・・と感じますね
まさに、世界中でそういう感想が噴出しているようなんですが、かたやのP・ジャクソン監督は「アナログレコードが CDに変わった時の混乱と同じ」と、どこ吹く風のようで。さて、実際のところどうなんだろう?という(野次馬的な)興味があります。(^_^;)
アップリンクは… まさに “そういう感じ” の「アットホーム」な劇場ですよね。ボクは今まで個人的に「試写室」と呼んでましたが、SYさんの表現のほうが正確かつキュートだと思いました(笑)。
多分、5年後の映画関係者は、今と全然違う顔ぶれになっていると思います。
残酷な現実ですが。
むしろ僕はこの日本でHFRをきちんと紹介してる事に驚いてます(笑)
どうせ殆どの観客はそんな技術に興味も、理解する知識も持ちあわせてないんですから上映すらしないんじゃ?と思ったんですがねぇさすがに上映はするみたいですね。
そしてサイド・バイ・サイドですが、近畿は大阪まで行かないといけない上にかなり上映期間が短いですね。新年早々大阪まで高飛びしなければならないかもしれませんねぇ…。
なんかね、HFR上映館ってば、近畿地区よりも中部地区のほうが圧倒的に多いんですね。それだけ新しい映画館が多いってこと? それとも、中部の人たちのほうが映画マニアが多いの?(笑) Negちゃんの言う通り、一般のお客さんには全く関係ないことだし、本文でも書いた通り配給側もそれをメリットとは捉えていない事があきらかだけど(笑)、最新のデジタルプロジェクターがあれば対応は可能なんだ!ってことですよね。凄いですね。
でも、ボク的には実は「サイド・バイ・サイド」こそ、フィルム上映とプロジェクター上映で見比べたりしたかったんですがねぇ…。プロジェクター上映館しかないなら、大きな画面で見られるってこと以外、Bluerayで見るのとあんまり変わらないかも?とか思い始めていたりして。
まあ新しいシネコンが多いという事なんでしょうけれど、それがなぜ中部なのでしょう…笑
先日レンタルでミニシアター系の映画を見ていたのですが、特典のメイキング映像を見ていた所、カメラがEOSでした。やはりというかなんというかですが、今や映画制作の現場ってDSLRかCineAlta並のハイエンドカメラに二極化しているのかな、と感じたり。
そんな最近の映画の撮影技術をまとめている雑誌に書いてあったのですが、現在の映画カメラマンの中にはF3やF35で撮影してグレーディングでグレインを載せまくるという人もいるようです。現在の現場ではフィルムで作る余裕は殆ど与えられないようで、日本は本格的なデジタル化が急ピッチで進んでいるようです。そのスピードが早いという点では他の方が挙げられていたような写真の世界よりは、きちんと新しい技術を取り込める人は生き残りやすいんだろうな、と思ったり。
いやあ、Negちゃん。写真の世界がデジタル化した時の早さは、今よりずっとゆるやかで優しいもので、しかもムービーカメラよりスチルカメラのほうが格段に操作が簡単(=新しい技術を取り込みやすいはず)だったのに… も関わらず、ふと気がついたら「プロカメラマン」という人種が、バサ〜ッ!といなくなっちゃったんだから。それから数年の内に、全関連業者が壊滅しちゃったんだから。デジタル=当たり前な Negちゃん世代にはわからないかも?だけど、1か0かの世界って駄目な人は絶対にダメなんだよ…。
まさにそうですね。
デジタル化の波に乗れずに失職したフォトグラファー同様のことが起こるのでしょう。
手塚さんの周囲にもおられましたか? ボクは職業柄、周りにフィルム派カメラマンの友人が大勢いたんですが、そのほとんどが失職しちゃいました。皆さん、今はどうされているのやら。見ていて辛かったです。(´・_・`)
皆さん、フィルムと共に沈んでいった感じですよね。。。
私の周囲でも、凄腕のベテランカメラマンたちが大学や専門出たての若い子たちに仕事数で負け、収入でも負けて行く有様は壮絶なものがありました。
本人たちはより良いものをと思っているのがわかるだけに、見ていて辛かったのですが、デジタル化とはそういうものですよね。
また、フィルムの方が確かに質が良いだけに、だらだらと仕事が続いてしまうのも問題を悪化させていましたよね。
気がついたらデジタルに再投資できる収入を下回っていて、皆さん、手も足も出せなくなってましたから。
…でしたね。しかも「デジタル化の波」って、実はただの波じゃなくて津波なんですよね。いざ本格的に押し寄せた時には、上から下まで… カメラマン > ラボ > 編集プロダクション > デザイナー > 出版者 > 製版屋 > 印刷所と、アナログの品質を信じ、こだわっていた皆さんの仕事が、ほんの数年の間に根こそぎなくなっちゃって。本当に驚いたものです。