Cinema EOS C500、少し安くなって出荷開始!

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8月の段階で予価$30,000(約¥240万)と報じられていた Cinema EOS C500でしたが、B&Hさんでのボディ価格が$25,999(約¥210万)と、ちょっとだけ値段を下げて発売が開始されたもようです。
B&H : Canon EOS C500 Cinema EOS Camcorder Body (EF Lens Mount)

先日、主に対 SONY F5、F55対策としてブレイン(本体)の価格をそれぞれ$19,000(EPIC-X)、$24,000(EPIC-M)に改定した RED EPICでしたが、結果的に Canonが満を持して投入する 4Kカメラ、C500に対しても有効な値下げとなったのは興味深いところです。

おかしなもので、ボクは RED EPICは密かに「欲しいにゃぁ〜」などと思っているのに、SONY F55や Cinema EOS C500(そういう意味では Arri Alexaも)は微塵も所有したいと思っていません。己が心の内を観察するに、それは彼のカメラ達に魅力がないからではなく、「所有するものではない」「欲しいと思う対象ではない」「自分が扱うべきカメラじゃない」と感じているからのようです。
…といって、じゃぁEPICは何が違うのか?と問われれば、よくわからないのですが(笑)。

ま、なにはともあれそういうアレなので、C500に関しては、あまり「記事にしなくては!」という欲求を感じていないのですが(笑)、以前書いた通り Canonさんが開催した 4Kフェアの会場で見たC500のサンプルムービー「Man & Beast」という短編映画の映像があまりにも “完璧に美しかった” ことを思い出し、また Canon RAWというファイル形式についての解説記事がちょっと目を引いたので、ご紹介しようと思います。

Man & Beast
https://vimeo.com/40459163
まず始めに、C500の主要スペック。

4K (4096 x 2160) 885万画素 スーパー35mmサイズ CMOSセンサー
EFまたは PLマウント
4K: 10-bit RGB RAW@最大60 fps
4K: 10-bit RGBハーフRAW@最大120 fps
2K: 12-bit RGB 4:4:4@最大60 fps
2K: 10-bit YCrCb 4:2:2@最大120 fps
QFHD: 1920 x 1080 RGB 4:4:4 12-bitまたは 10-bit@最大60 fps
QFHD: 1920 x 1080 YCrCb 4:2:2 10-bit@最大120 fps
QFHD: 3840 x 2160 RGB RAW 10-bit@最大60 fps
QFHD: 3840 x 1080 RGB Half RAW 10-bit@最大120 fps
8-bit MPEG-2 Long GOP (Canon XFコーデック) 4:2:2@50 Mb/s(CF card)
Canon Logガンマ
値段 $26,000

※ 4K=DCP4K、QFHD=Quad Full HD

と、ズラズラ列記しましたが、正直、単なるコピペで中身を把握してはいません。それよりも、AbelCineの Andy Shipsidesさんが Canon RAW形式の詳細を説明した記事を公開しているのですが、その内容が一風奇妙なのです。
AbelCine : What Exactly is Canon Raw?
NoFilm School : Canon C500 is Shipping, but Canon’s RAW Implementation is Unlike Any You’ve Seen Before

Canon Raw is a 10-bit format with baked-in ISO and white balance. That’s right, unlike the other Raw formats, Canon is baking-in gain adjustments (ISO/white balance) before outputting the Raw data. You may be scratching your head as to why, so here’s a little bit of the logic. Adding gain adjustments at the sensor level produces a consistent stop range above and below the middle grey level, even at high ISOs, and reduces the overall noise in the image. Canon is implementing these adjustments at the sensor level at higher bit depths and then outputting the results. These adjustments are also applying the Canon Log curve to the image, which maximizes the range of the final 10-bit file. So is Canon Raw actually Raw? It is, in the sense that the image is not de-bayered before you get it – this step is still done in post. You can think of using Canon Raw as being a bit like ordering a steak medium rare.

Canon RAWは、ISOとホワイトバランスが固定された 10-bitフォーマット・データです。そう、他社の RAW形式とは違い、Canon方式ではゲインの値(ISO、ホワイトバランス)は信号が RAWデータとして出力される前に固定されます。なぜだー?と頭を掻きむしりたくなるかも知れませんが、それには以下の理由があります。(信号として記録する前に)センサーレベルでゲイン調整を行ってしまうことで、たとえ ISO値が高い場合でも、標準グレイ上下のダイナミックレンジを一定に保ち、かつ信号に含まれるノイズを大幅に減らすことができるのです。Canonはこれらの調整をセンサー本来の高次ビットの状態で行ってから映像信号として出力する方法を採用したということです。またこの調整の過程で、10-bit最終出力データのダイナミックレンジを最大化する Canon LOGカーブも適用されます。という Canon RAWは本当に RAWと呼べるでしょうか? 出力されるのがデ・ベイヤー処理される前の信号であるという意味では、RAWであることは間違いありません。デ・ベイヤー処理は他社の RAWデータと同じように、後工程で “現像処理” する必要があります。ですが、完全に「生(なま)」というよりは、ミディアム・レアのステーキくらいに考えた方が良いかも知れません。

という “生焼け” の信号を、SMPTE ST 425-1:2011という HD-SDIの信号出力に関する標準規格に準じながら、本来的には R・G・B+αチャンネルの信号を出力するところ、αチャンネルを潰して R・Gb・B・Grと Gチャンネルを二元化することで、ディテール情報をより豊富に保持した信号を取り出せるように “ハック” しているそうです。



この Canon RAWは、「RMF(Raw Media Format)」という形式の独立したフレームが集積された状態(ファイル・スタック)で記録されています。1フレーム 11MBの各フレームは上記の通り “技術的には” RAWファイルと呼ぶこともできそうですが、ゲイン値などがメタデータとしてではなく物理データとして固定されていることを考えると、従来の DPXと同じと考えた方がわかりやすいかもですね?(ちなみに、SONYの RAWもホワイトバランスは固定されているそうで?)

そして C500本体では、4Kはおろか、8-bit 4:2:2 1080p@50Mbitまでの信号しか記録できません。それ以上の解像度や画素数のデータを収録するためには、SONY F5、F55、FS700らと同じように外部レコーダーが必要です。SONYさんの場合は専用レコーダーのみの対応でしたが、Canonさんには専用レコーダーの準備はありません。今のところ、Convergent Design社の Geminiか、あるいは Codex社の Onboard S Recorderがレコーダーとして 4K Canon RAW信号の収録に対応しており、また AJA KiPro Quadを使えば 4K ProRes形式で収録するか、あるいは Thunderbolt端子経由で RAW信号をパソコンにスルー出力し、直接記録できるそうです。

最後に。C500の 4Kデータは 10-bitとはいえ、非圧縮です。1時間分のデータが1テラバイトにもなるそうですので、ご注意ください。ひょぇ〜!

しかし。ここのところ立て続けに 4Kカメラのニュースばかり書いてますな。
…Panaさん以外は。(って、ヤベぇ!また disっちまった)(^_^;)

8 Comments

  1. 55catcatcat
    Posted 2012/11/08 at 19:20 | Permalink

    ISOとホワイトバランスが固定されているのはどう考えてもRAWじゃないですねぇ。SONYのF65RAWはISOも色温度も変えれたと思いますが、記憶違いかもしれません。一度しかやった事ないもんで…

    • Posted 2012/11/09 at 03:09 | Permalink

      「SONYの RAWだって WBは固定だしね」と書いているのは、AbelCineの Andyさんご本人なので、まず間違いとは思えないんですが、「F65の…」と機種が特定されているわけではありません。ひょっとすると、これから出てくる F5、F55の SONY RAWでなにか仕様が変わった可能性も?

      いずれにせよ、スチルの世界での “RAW” を考えたら、仰る通り ISOもWBも固定というのでは、それで RAWなの?って感じですよね。特に WBは、現像時に微調整したいことがすこぶる多いのに。

  2. tedukakaz
    Posted 2012/11/07 at 19:24 | Permalink

     仰るとおり3:1圧縮ですから、確かにそのままですね(^^;
     ということは可逆圧縮すらしてない感じでしょうか、C500の形式は。

     収録機が外出しというのは、REDには無い安心感を欲しくてCanonを買うという業界状勢から考えるに、微妙な感じではあります。

  3. mutsuyah
    Posted 2012/11/07 at 14:33 | Permalink

    やはりそうなりましたか。
    「Man & Beast」4月にNABで4K上映で見ました。
    DPは最近デビットフィンチャーと組んでいるJeff Cronenweth
    映像とストーリーどちらも素敵ですね。
    ところでPanaの4Kカメラはどうしたんでしょう。
    来週のInterBEEで消えてたりして・・。

    • Posted 2012/11/07 at 17:24 | Permalink

      4K上映でご覧になりましたか。すんばらしいですよね。もちろん、照明やグレーディング、そしてなによりも “潤沢な予算” という後ろ盾があっての事ではありますが、1フレームたりとも気の抜けたシーンがない高密度の絵に圧倒されました。帰ってきて Vimeoで見直して「これも綺麗だけど、なんか違う…」と違和感を感じたりして。あれは 4Kプロジェクターの力なんでしょうか?

  4. tedukakaz
    Posted 2012/11/07 at 13:12 | Permalink

     非圧縮かも知れませんが、全然RAWじゃないですよね(^^;
     なんだか最近RAWの定義自体が揺らいできているような気がします。

     まあ、RAWブームの元祖であるREDも、C500とのデータ量の差を見てわかるとおり、凄く圧縮されていて、本来のRAWとはまた違うのですが。
     真面目に計算はしてませんが、今までの経験上、REDの4Kだと1時間で550GBくらいだと思います。軽いですよね〜。

    • tedukakaz
      Posted 2012/11/07 at 13:37 | Permalink

       あ、違うか、大きい方のSSD、512じゃ無くって256GBだ。
       1時間を最高画質で取ると大きいの1つ+64GB一つくらい使いますから、ってことは、大体300GB位だと思います。

    • Posted 2012/11/07 at 17:24 | Permalink

      よく知らないんですが、Reduser.netとか見てると、よく「3:1圧縮」がどうとか書いてありますよね。非圧縮で1時間が1テラなら、3:1圧縮で 300GBでちょうど帳尻が合いますな(笑)。
      今まで EOSやら GH2やらの圧縮コーデックと共に過ごしてきた身としては、それでも超スゴイ容量でございますけれども…。(^_^;)

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