ええっ!と驚くカメラがまたもや登場。その名は Apertus AXIOM(アクシオム)。
4K解像度の Super 35mmサイズセンサーとグローバル・シャッターを搭載し、REDの HDRxと似た仕組みで最大15ストップのダイナミックレンジを確保。最大フレームレート150fpsを実現しながら、記録は Cinema DNG形式の RAW。さらには販売価格$10,000(約80万円)以下を目指す!という夢のようなシネマカメラです。
▶ NoFilm School:Apertus Announces Axiom Camera: 4K at 150fps, 15 Stop Dynamic Range, Under $10K
AXIOMを開発する Apertusの正式名称は、Apertus Open Source Cinema。その名の通り、オープンソース思想(GNU GPL V3)のもとで理想のシネマカメラを作ろう!という意思を共有する有志が集まり、2006年に設立されたワールドワイドかつなんともマニアックな?任意団体です。
今までは、RAW信号を出力可能なセンサー+プロセッサー・モジュールを LinuxベースのノートPCに直結した Elphel(エルフェル)というカメラ(上写真)を使い、研究を続けてきましたが、つい一昨日、現在ジュネーブで開催されている Libre Software Meetingというオープンソース開発者会議にて、4K S35センサーを搭載する AXIOMの仕様を公開し、この秋には Kickstarterで大々的に資金調達を開始し、本格的な製品製造に乗り出すことを宣言したのでした。
現在すでに稼働しているコアモジュールの仕様は以下の通り。
解像度 | 4K(4096x3072) |
センサー | スーパー35mmサイズ(+グローバルシャッター) |
フレームレート | 最大150fps@4K |
記録 | Cinema DNG @8bit、または12bit(フレームレートに依存) |
その他 | 全センサー素子を使ったアナモルフィック記録対応(予定) ネイティブISO等の詳細は不明 |
また、AXIOMはハード(=カメラ)が主体のプロジェクトではありますが、「Open Cine」という、REDCINE-Xと同等の機能を持った専用ソフトもすでに用意されており、準備万端、満を持しての製品開発であることをアピールしています。
ここ数年、新しいカメラが出るたびに味わってきた、「帯に短したすきに長し(泣)」の感覚。それは、営利企業であるメーカーが開発する製品ではどうしても回避できない(らしい)機能の出し惜しみや、およそ僕らユーザーの側の願いとは何ら関係がない無意味な製品差別化が原因に他なりません。
AXIOMの仕様や目標市価からは、こうした「社内政治」や「マーケティング」という名のしがらみとは完璧に無縁な “ピュアなユーザー目線” が見てとれます。
膨大な研究開発費の償還や、従業員の生活確保に必要な、いわゆる大企業的 “立ち居振る舞い” を否定するワケではありませんが、あまりに露骨な企業側論理の押しつけが横行した結果、ひょっとすると近い将来、恐竜の足下をすくうことになるやも知れぬ、すばしこい小動物たち(Ikonosukopや Digital Bolexや Blackmagic Designや Apertus)の連鎖的な出現を促しているような気がしてならないのですが(笑)、気のせいでしょうか。
…願わくば(撮影用リグや小物もそうですが)、そろそろ日本からも熱烈に応援したくなる、すばしっこい小動物が登場してくれたら良いのになぁ〜。
▶ Apertus Open Source Cinema : AXIOM
▶ Libre Software Meeting 2012 : Wednesday morning at the LSM
21 Comments
2回目の投稿です。
どこでもイイと思うのです。
S35イメージセンサー+グローバルシャッター。
これを出せたところが勝つ! と思います。(あ。F35は置いておきます。笑)
いやこの際、4/3でもいいのです。 とにかく
合言葉は「グローバルシャッター」! これが勝ちですよ!(鼻息)
AXIOM。
この製品も楽しみですが、商品化はきっと2年くらい先なのでしょうね。。。
Oritogalisさん、こんにちは。グローバルシャッターといえば、昨年ご紹介した「Tessive TimeFilter」が、今年の NABでもブースを構えて積極的に PRしていたようですが、どうも後が続きませんね。さすがに、後付けのグローバルシャッターに 117万円(TimeFilterの定価)払える人はそうそういないでしょうけど、きっと後追いで廉価版も登場するに違いない!と思ってたんですけどねぇ…?
REDがEPICなどを発表した辺りから
その内動画のカメラは組立PCみたいに
なるのかなぁ、なんて漠然と感じてますが、
どーなるンでしょうね(^_^)
センサーをCPUみたいに選んで、
メディアはSD、CFなどからSSDまで選び放題!
ケースメーカーはガワだけで無く
リグ迄デザインされ選べるようになり、、、
あ、夢見てましたかね?! (^_^;)
どうなんでしょう? でもそうなったら嬉しいかなぁやっぱり。マーケティングの事情で型押しされた「帯に短し」カメラをを不承不承使い続けるのはもうウンザリ!って層も、今やかなり大勢いるでしょうし。実際、いろいろと出てきてますし。案外、まるめさんの夢のまんまが現実になる可能性も…。(^_^)v
オープンソースでこんなものまで開発しちゃうってのはスゴい話ですね〜。
でもここまであけっぴろげにやられちゃうと
>もしどこかの企業が成果だけかっぱらって自社製品を作ったらどうするんですか?
>ぜんぜん問題ありません。むしろクール!
とか言われても企業のプライドが枷になって却って手出しできないんじゃ?
大きいとことか特に某赤玉カメラさんとか?
そうっすね、某赤玉さんはいつでもプライドが溢れまくってますからね(笑)。 …でもそれを言ったら、プライドも宗教もない某国なんかでは待ってました!とばかりに… と書いて思い出しましたが、ひょっとして一つ前の記事に書いた大陸系 Alexaとか、技術のルーツが Apertusだったりして?(んなバカな?)
あり得ない話ではないですねぇw>大陸系 Alexaとか、技術のルーツが Apertusだったり
そのへんのルーツはともかくモックアップ・試作とも心くすぐられるルックスには程遠いなぁ…
その点某赤玉カメラ(一昔前ならその辺の商店街にいそうな名前w)はデザイン・システム構成・総帥の動向(!)などワクワクする要素に溢れているような気がするんですが。
まぁ地方で細々とやってる身じゃあ高嶺の花もいいとこですorz
以前はフィルム並み(フルサイズはそれ以上)のDoFを使って映画のような映像を撮れるのは一眼のみだったのにあっという間にアマチュア機材でもSuper35mmが当たり前、みたいな環境になってきましたね。ここまで機材が選べるようになるのは非常に有難い事ですが、生半可な知識の危険性も孕んできますね。
機材の選択肢って現状では私のような貧乏学生含むアマチュア→X5位の一眼、資金に余力のあるアマチュア→5Dmk3など、ハイアマ→今回のコレやC300やF3にFS700、プロ→RED EPIC、ALEXA、F65みたいな状態ですかね。
> …みたいな状態ですかね。
…みたいな状態だと思います。んで、これでようやく本格的に「何で撮るか?」を心配することなく、「なにを撮るか?」「どう撮るか?」の時代にシフトして… いけばいいのですがね(笑)。
制作者にこれまで以上に作家性といいますか、「何を主張したいか」という信念とでも言えばいいのでしょうか、そういうのが求められる時代になってきたかな、と思うと嬉しいです。
個人的にはリグ系に「もう一声!」欲しい所です・・・。もっと手軽にステディカム的なスタビライザーを使えたらなぁと。
全く関係ありませんが最近大学の図書館で見た映画技術の雑誌で「今じゃテレビ局でもLog撮影してる」という驚愕の記述を見つけてとても驚きました・・・。自局の電波に乗ればいいので映画とは異なるカーブの作り方をしてるそうなんですが、つい数年前には考えもつかなかった話でクラクラしてきました。なんだか波に乗り遅れたら即遭難、のような世界になってきましたね・・・。
> 「今じゃテレビ局でもLog撮影してる」
ははぁ、そういうもんなんでしょうか。個人的には、そんなことより、さっさとインターレースやめたら?って思いますけどね〜。…って、これは局単位でやめられることではないのか(爆)。
これは、またすごいですね〜。
ソフトウェアもなんだかしっかりしてる感じ。
HDRxに似た仕組みを導入してDR15ストップを実現したり、REDCINEに似た OpenCineを用意したり、REDからたくさん「学んで」ますよね〜(笑)。(^_^;)
おぉ!またまた来ましたね〜、こういうカメラ。
センサーサイズは違えどFlea3/USB3.0モデルなんて4K/16bitで7.5万円ですから、こっち方向(どっち方向?)でおもしろいカメラがドンドン出て来たり、あるいは自分で組んでいったり、メーカーも制作者も刺激されまくる良い時代になる事を期待してます。
ひと頃までの 5D MkIIか 7Dしかなかった時代がまるで幻のように、最近の新機軸動画カメラの勃興ぶりには目を見張るものがありますよね。実際のところ、もはや各自、初心に立ち返って「一眼で撮ることの意味」を今一度じっくりと再考すべきところまで来てしまってますし、メリット/デメリットという尺度で見たら、すでに(とっくに?)そこには何もない!?みたいな時代のドライブ感さえ感じます。
…あとは、ノウハウや経験の裏付けが足りない新興勢力による製品が、どれくらい「本当に使いものになるか?」に全てがかかっている!と、いうか(笑)。
最近こういうニュースが多くてわくわくしますね。
GoPro独断場のウェアラブルカメラでも、ソニーやJVCから新商品出るみたいですし。
うまいこと頑張って欲しいという反面、オープンでどこまでできるんでしょうか。期待です。
ホントですねぇ。> 最近こういうニュースが多くてわくわく
ちなみに FAQのページを読んでいたら、「オープンソースということで仕様を公開していますが、もしどこかの企業が成果だけかっぱらって自社製品を作ったらどうするんですか?」という仮想質問に対して、「ぜんぜん問題ありません。むしろクール!」という回答文が書かれていて笑ってしまいました。なんでもかんでも占有知財として囲い込むのが欧米社会かと思うと、反対になんでもかんでもオープン、公開、共有しちゃう寛大にもほどがあるだろ?って人たちも、実は欧米には多いですよね〜。…日本はどちらも少ない? (´ヘ`;)
私個人にはちょっと手の出る価格ではありませんが、それにしても4K、15ストップ、グローバルシャッター、150fps、アナモルフィック、無駄のない仕様にこのコンパクトさ……素晴らしいカメラですね。日本でもこうしたインディペンデントなカメラメーカーが生まれて欲しいものです。muuさん!ビジネスチャンスですよ!
う〜んと。おそらくココに掲載させて頂いた写真は、センサー+プロセッサー・モジュールのみで、まだレコーダー部が実装されていない状態だと思うんですよ。だから、「このコンパクトさ」はまだ未定。たぶん。(^_^;)
なんでおれが召還されるんですか!w
でもかねてよりの”15mmレール使わないリグ”ってのはこのカメラにこそ似合うかもしれませんねえ。オープンソースってことでモニタとかレコーダーとかがブランド問わずガチャガチャとカオス合体するのをスマートに収めるリグ。作るか!誰か出資を…w
おぉ〜!召還獣 muu兄。いやボクも記事書きながら、やっぱ日本は muuさんあたりが始めてくれるのが最適なんだけどなって思ってました。そこいらのプロや半プロ(←オレね)の何十倍もリグやら機材やらを持っていて、しかもただ数多く所有しているのみならず、しっかりとした価値観及び審美眼に基づいてセレクトしており、それぞれの善し悪しに精通していると同時に、更なる改善点並びに外してはならないツボに関し一家言持っている者… なんつったら、muuさん以外に知らないですよ、ええ。
> 作るか!
ぜひ! (^_^)v