ハイスピード撮影:FS700と Phantom Miroの間に TS3Cine

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さて。色々と書きたいネタが溜まってるんですが、時間と気力が追いつかない今日この頃。などと言ってても埒があかないので、ボチボチ行こうと思います。まずは今年の夏以降、世界中で大流行するに違いないハイスピード撮影について一題。

先日発表された SONY FS700に搭載されている驚きのハイスピード撮影機能が、現在、全世界で注目の的です。なんてったってフルHD解像度のまま、最大240fps(24pで 1/10スローモー)、縦半分解像度なら 480fps(同 1/20スローモー)での撮影ができてしまうのです。さっそくβ機でのテスト映像があちこちで公開され始めましたが、まさに圧巻。



ただし、こうしたテスト映像を仔細に観察すると、なにが原因か?よくわからないのですが、スローモーション動作中は、解像感がじゃっかん落ちているようだけど?という意見が出てきています。
CINEMA5D : More insights and slow motion from the Sony NEX-FS700

…obvious in Prevec’s slow motion video (you can download the source file) is that the footage is not supersharp like some of the rest of the footage we’ve seen, shot at normal speed.

氏のテスト映像(Vimeoからソースデータをダウンロード可能)を見ると、その他のノーマル速度で撮影されたテイクと比べ、スローモー映像は明らかにシャープさに欠ける。
Vimeo : Racing with planes

うむむ。そう言われてみると、ちょっと甘い… のかな?
ちなみに、フルHDで最大1,540fps(24pで 1/64スローモー)という途方もないところまで行けちゃうハイエンドのハイスピード・カメラ、Phantomはどうなんでしょうね?
先日ご紹介した Phantom Miroのサンプル映像を見てみましょう。


なるほど。たしかにこちらの方が解像感が高そう?(ホントか…?)。ま、お値段的に6倍以上も開きがある二台を単純に横並びで比較検討するなんて、そもそもフェアではありませんが。

…と、そこへ、ラスベガスで開催中のNAB会場から、とてもユニークな “顔” をした ST3Cineというハイスピード・カメラが登場!(実は昨年の NABでプロトタイプがお披露目されたあと、とんと音沙汰がなかったモデルですが、遂に完成したんでしょうか)。
TS3Cine Official HP

TS3Cineは 128GBのSSD、7インチ(800x480)液晶、電子グローバルシャッターを搭載し、720fps@720pのハイスピード撮影ができるオールイン・ワンのハイスピード・カメラ。米・FASTEC IMAGING社製の “工業用・産業用” ハイスピードカメラ、TS3の機能を拡張し、新たに PLマウント(オプション)や DNGのRAW記録機能を追加した、映像業界向けモデルです。



まずはボディ背面のジャンボな液晶と、片手でホールドできるコンパクトなサイズにビックリします(本体重量:1.8kg)。そして前から見ると、今度はその… 威厳のカケラもない、まるでLEGOで組み立てたトイカメラのような見かけに二度ビックリ。



マウントは標準で Cマウント/Fマウントから選ぶことができ、オプションでPLマウントも用意されています。バースト記録用の内蔵メモリは 8GB。最大感度は、ISO1600(白黒ならISO3200まで)。記録ファイル形式は、BMP、TIFF、JPEG、AVIに加えて、DNG(RAW)に対応。
http://www.youtube.com/watch?v=v2WIHqbGYLQ
最大720pまで、という点が今やちょっとアレですが(汗)、スローモーションのためだけに FS700を選ぶのだったら、別のカメラと、この TS3Cineの組み合わせでも良いかもね〜?などと気安く値札を確認したら、なななんと、本体価格$22,950(約186万円)から(あるいは、レンタル料金1日$625[約5万円])。
…って、マジか?その LEGO顔でっ!? (゚Д゚;) (←最近このパターンが多い(爆))。

最大スローモー倍率は FS700のフルHD@240fps、縦ハーフ解像度@480fpsに対して 720p@720fpsまで行けますし、定価は Phantomシリーズの最廉価機種である Miroの約 1/3。そういう意味では、ちょうど両機の中間という位置漬けになるでしょうか。つまり、業務上(あるいは趣味でも)ハイスピード撮影をする機会が頻繁にあり、なおかつ最大解像度 720pという点を飲めるのであれば、“あり得ない選択ではない” のかも知れません。

…と、こうして皆の注目を集めると、各社から雨後のタケノコのようにハイスピード撮影ができるカメラが増えていくに違いありません。そして、二年ほど前から「やたらと」流行り始めたタイムラプス(微速度撮影)映像よろしく、今度はスローモー映像が次から次へとアップされるようになるのでしょうか!?

17 Comments

  1. Posted 2012/04/28 at 02:33 | Permalink

    こんばんは!ハイスピードカメラが一気に広がりそうなNABでしたね。FS700のHS機能はなかなか目を見張るものがあり、この「気軽に撮れる」というバリューはかなりの高ポイントであります。
    そしてPhantom MIRO 320 についてもこれまでに比べるとお安い価格帯。って言っても、国産高級車1台分程度はするわけですが。

    • Posted 2012/04/28 at 03:50 | Permalink

      santosさん、ご無沙汰しております。いつぞやはアキバでどうもでした! (^_^)v FS700はホントに画期的な事をやらかしてくれました。もう他社さんもハイスピード撮影機能を搭載しないワケにはいかないですものね。かたやの Phantomは、価格を下げると同時に、なにもここまで?ってギョッとするほどカワイイ外見にこだわってみたりして。明確に新しい流れが始まったもようです。。。

  2. soru
    Posted 2012/04/16 at 19:44 | Permalink

    私フィギュアスケート観るの大好きなんですけど、スポーツにこそハイスピードカメラが普及してほしいです。
    ジャンプの回転とかをファンにもわかりやすく一発で見てわかるようにしてほしいなぁ。

    4K映像もスローモーションも、もう少し時間がたてば、アマ機に降りてくる技術なんでしょうかねぇ。
    私は今のGH2に、4K映像からの電子的切り出しで可能になる完璧な手振れ補正や擬似ドリー(これは編集でやればよしとしよう)、内蔵ND、それから2眼レンズによる3DならぬHDR撮影用の露出違い映像を撮る機能がつけば、それだけで満足でございます。
    スローモーションは、どちらかというとtwixtorの得意とするような、一連の動きの中でスピードのメリハリをつけるような効果を出したいのですが、240fpsで撮っておけば、間引いて自然な24fpsを作り出したりもできるんでしょうかね?

    • Posted 2012/04/17 at 04:05 | Permalink

      soruさん、昨夜、長浜のお祭り映像を拝見してブッ飛びました。bkmcwdさんのパッチが素晴らしいとはいえ、soruさんの撮影の技量も相変わらずの腕前ですね!

      > 4K映像からの電子的切り出しで可能になる完璧な手振れ補正や擬似ドリー、
      > 内蔵ND、それから2眼レンズによる3DならぬHDR撮影用の露出違い映像を撮る機能
      > がつけば、それだけで満足でございます。
      いやあ、「それだけで」って、soruさま、これらはかなりハードルが高い機能拡張ではないか?と思いますですが…(笑)。(゚Д゚;)

      > 240fpsで撮っておけば、間引いて自然な24fpsを作り出したりもできるんでしょうかね?
      実はボクもコレが気になっているんですが、皆さんの発表されているテスト映像を拝見する限り、どうやらそういう事が可能なようですね。ノーマルスピードから「一瞬だけ10倍スロー」みたいなシークエンス・サンプルが多々ありますので。。。

  3. Neg
    Posted 2012/04/16 at 11:23 | Permalink

    凄い時代ですねぇ・・・。
    ウルトラマンなどの巨大ヒーローものはフィルムで撮影されていた時代は5倍速(120fps)でその巨大感を表現していたのですが、2000年代前半のウルトラシリーズは経費削減の影響でVARICAMが導入されSD30pで撮影されていたんです。ただそれだと2倍スローまでしか撮影できずミニチュア壊しを今まで通りに撮影できないという苦労があったそうなんですが今だったら5倍どころか、って感じですね。もっともウルトラシリーズは今虫の息状態なんですが・・・。

    • Posted 2012/04/16 at 18:01 | Permalink

      ウルトラマンはリアルタイムで見ていたボクなどからすると、「帰ってきた…」で撮影がビデオになった時からパタッと見るのをやめてるんですねぇ。Negちゃんの書いているように、ハイスピード撮影による建物の破壊表現等もあるにはあるんですが、それ以上に、怪獣が「ビニール製」であることが、子どもの目にも明らかになっちゃって、一気に興ざめしたんでした。思えばボクはあの頃からビデオの絵が大キライでしたねぇ。10歳の頃見た「仮面ライダー(初代)」を限りに、TVを一切見なくなったくらい生理的に受け付けない。おまけに天井照明がダメで蛍光灯の光がダメで….(ry)。

    • Neg
      Posted 2012/04/16 at 19:24 | Permalink

      いやそこらへんの奴は全部フィルムですよ!?
      ウルトラシリーズって2001年の「ウルトラマンコスモス」まで特撮パートは全部16mmフィルムです。オイルショック以降フィルム撮影のコストが高騰したんですがそれでもまだフィルムが使われていました。
      同様に仮面ライダーシリーズも89年放送の「仮面ライダーBLACK RX」までフィルムです(ちなみに2000年に放送再開された際はHD1080/60iのハイビジョン撮影でした)。
      コメントを見る限りスーパー戦隊シリーズはご覧になってないようですがこれも1975年放送開始以降2008年開始のシリーズまでフィルム撮影でした(その後のシリーズはREDで収録してるそうです)。
      そして怪獣の材質はゴムですが当時は会社が傾きかけてたので予算削減が激しかったそうです。いつの時代も金がかかりますね特撮は・・・。

    • Posted 2012/04/17 at 03:58 | Permalink

      Negちゃん、詳しいねぇ。でも、もしフィルムだとしたら、「帰ってきた…」から何が変わったんでしょう? 明らかに子ども時代のボクは「コレハニセモノだ!」と判断して、見るのをやめちゃったんですが…。

    • Neg
      Posted 2012/04/17 at 06:27 | Permalink

      特撮マニアでございます(笑)
      ちなみにこの通り16mmフィルムがありますし。
      http://members.jcom.home.ne.jp/0948503001/seisaku.htm

      変わった点といえば撮影環境でしょうかねぇ・・・。ウルトラQの撮影に35mmフィルムを使っていた頃から比較するとかなりの予算削減はありましたし・・・。

      もっとも、初代ウルトラマンを「円谷英二が撮っていたから本物!」とするならばセブン以降は全部偽者になりますが(笑)

    • Posted 2012/04/17 at 07:01 | Permalink

      マニアかぁ、なるほど。そうだよねぇ。ウルトラマンやウルトラセブンなんて、ボクが5つとか6つの頃にリアルタイムで見ていた番組だもん。Negちゃんが見たのなんて、再々々々々放送とか、あるいはビデオかDVD以外、あり得ないし。

      > セブン以降は全部偽者になりますが(笑)
      いや、ボクはなんてったって、セブンが一番好きでした。…でも、DVD版が出た時に喜び勇んで買いこんだものの、何十年ぶりかで視聴したセブンは…(ry)(泣)。

    • Neg
      Posted 2012/04/17 at 15:28 | Permalink

      父親がリアルタイム世代ですからね!(笑)CATVで再放送していたのを見た程度であります。
      そしてとんでもない打ち間違いしてますね。円谷英二氏がセブン終了後に鬼籍に入られたので「帰ってきたウルトラマン」以降が偽者と書くべきでした。

      そしてその何十年ぶりに見て、というのは俗に言う「思い出補正」が強く出過ぎたんでしょうね・・・。

  4. Posted 2012/04/16 at 11:22 | Permalink

    TS3Cineの最大720P/720fpsというスペックはPhantomやWeisscamあたりと並ぶ事を前提とした真面目な専用機的立ち位置を感じさせますが、FS700が安価に(一応公称)1080P/240fpsスペックを積んで来た事は今後の業界発展(?)にとても良い事かと思います。

    今まで一部のプロの特権だった映像表現を無理すればアマチュアでも買える機材が可能にするのは、結果プロが底力を見せざるを得ない!という良い結果につながるのではないでしょうか。

    今後YouTubeやvimeoにスーパースロー映像が氾濫するの、個人的に大歓迎!Philipセンセも仰る通り、まずは顔ひっぱたいたり水を飛び散らかす映像だらけになって、それからですね〜(笑)

    • Posted 2012/04/16 at 17:54 | Permalink

      何からなにまで、いやもう全く仰る通りですね!
      90年代以降、色々な業界が新規参入業者によって価格破壊を引き起こされてきたわけですが、映像の場合、RAW記録、2K以上解像度、ハイスピード撮影、廉価な本体価格、すべてに渡り、やはり起爆剤になったのは REDの功績が大きかったのかなぁと思うんです。そして RED以降、さまざまな領域で路線変更を余儀なくされたかつての映像産業の首領メーカーたちの回答が、今頃ようやく実を結び始めているのかなぁ?って思うんですが、なにはともあれ、面白い時代になってきました!(^_^)v

  5. Posted 2012/04/16 at 09:10 | Permalink

    ハイスピードってテクニック的にはすごくそそられるけど、いざ何撮る?と考えると身の回りにほとんどないことに愕然。
    今まで使ったと言えば人物の笑顔を1/2スローのフィールド分割でやるくらい。
    意外と使い道ないないんですよね。ボク的には。

    爆発とかミニチュア撮影とかあればいいんだけど。

    • Posted 2012/04/16 at 09:52 | Permalink

      そうですねぇ。ボクの場合は、ちまたで大流行中の GoPro HD等、ウェアラブル・カメラがまさにそれですね。エクストリーム系スポーツのPOV映像とか、たまにサンプルを見ると「おぉ〜!」って思うんですが、自分がなにひとつ運動しないもので、たとえ GoPro買っても、せいぜいスクーターの車載映像くらいで撮るものないよなぁ〜と、手を出しそびれています。

      …でもスローモーションは、撮りたいもののアイデアが山ほどあるので、実は Phantom Miro、欲しいです(笑)。

  6. Posted 2012/04/16 at 06:01 | Permalink

    たしかにFS700のスロモ解像度も彩度も弱い感じがしますね。でも新たな情報に期待しています!

    • Posted 2012/04/16 at 09:45 | Permalink

      ネット上の動画って、圧縮/再圧縮で解像感も彩度も、実際のところどうなのか?よくわからないところもあるとは思うんですけど、誰かがこういう事を言い出すと、今度は各所で検証が始まるのがスゴイですよね。また何か新事実が判明したらお知らせしま〜す!

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