ハイエンドなカメラに関するニュースx3題

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Panavision70mm

早いもので、もう明日は2013年が明けてから10日ですか。今年も “光陰矢の如し” な一年になりそうな予感(はや、げっそり…(x_x;))。というわけで、年が明けてから流れてきたニュースで、とりあえず「あとで読む」フォルダに突っ込んでおいたものの中から、まだお知らせする価値がありそうなものを3つほどご紹介。

▊ Apertus AXIOMの続報
AXIUM1ついこのあいだ… と思ったら、もう半年も前の話なのか(爆)。昨年7月、史上初の「オープンソース・シネマカメラ」としてご紹介した Apertus AXIOMを覚えておいででしょうか?
Apertus AXIOM:4K@150fps のオープンソース・シネマカメラ

曰く、4K、Super 35mmセンサー+グローバルシャッター。15ストップのダイナミックレンジで、最大150fps。予価$10,000(約80万円)以下を目指す。

【 Apertus AXIOM 】

解像度4k(4096x2016)
センサー Super 35mmサイズ・センサー
シャッター グローバルシャッター
ダイナミックレンジ 15ストップのダイナミックレンジ
最大フレームレート175fps @ 8bit、もしくは 150fps @ 10bit
色深度 最大 12 bit収録
記録フォーマットCinema DNG raw

AXIUM2こうした “野心的過ぎる” プロジェクトは、往々にして志半ばで立ち消えになる例が多いものですが、年明け早々1月3日付けで CINEMA5Dさん他が報じるところによれば、2006年以来このAXIOMの開発に取り組んでいる Apertus(オープンソース開発者集団)は現在も健在であるばかりか、開発は順調に進んでおり、フレームレートは新たに最大 175fpsまで伸びたそうです。
CINEMA5D : Apertus AXIUM progress – 175fps @ 4K, under $10k

収益を上げることが最終目的ではなさそうな皆さんのコラボレーションなればこそ、開発スピードは呆れるほど遅いですが(笑)、もうすぐ完成する予定のプロトタイプは、センサーからの 4K信号を 2Kにリサンプルしてから 3G-SDI信号として出力するそうで、この 2K信号を外部レコーダーに収録する形になるもよう。
Apertus AXIOM

本当に商品化された暁には、前代未聞の “オープンソース 4Kシネマカメラ” というワケのわからない代物になる AXIOM(笑)。ぜひ、頑張って欲しいものです。

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▊ RED Dragonセンサーの進捗とアップグレードについて
人生はすべからく無常。REDの仕様や出荷日もまた然り。(”Everything in life changes… including our camera specs and delivery dates…”)』。Reduser.netを覗くと、Jannard総帥のコメントフッターには、この座右の銘(?)が刻まれています。
そんな、すべては時と共に変わるもんだっ! というのが最高経営責任者の信条である RED Digital Cinema社。この企業文化をニコニコしながら受け入れられるかどうか?が、REDを好きになれるかどうかの鍵なのかな?と思います。(^_^;)

昨年の今頃、Year of the Dragon(辰年)である2012年に次期 6Kセンサー、“Dragon” をリリースすると言明していた REDは、その後、出荷時期を2013年初頭に変更するとのお触れを出しました。
…で、今がまさにその “2013年初頭” なわけですが、Dragonは未だ登場する気配がなく、EPICからのアップグレード価格は当初想定されていた金額の倍くらいになることが確定し、さらには楽しみにしていた人も多かったであろう Scarlet-Xからのアップグレードが「なくなりました」(ガクッ…)。
NoFilm School : RED Dragon Unleashes Its First Image, and SCARLET Camera Gets an Upgrade Path

DragonSensor_DRChart
⬆ Dragonセンサーのダイナミックレンジテストで、18ストップ以上の階調が記録された証拠

開発が進み、Dragonセンサーの想像を絶するポテンシャルが次々と露わになるにつれ、単にセンサーを取り替えるだけでは Dragonの性能を活かすことはできず、上位機種である EPICですら内部基板を半分がた交換する必要が生じてしまった。Scarletに至っては内部を全取っ替えしなくてはならず、これではもはやバージョンアップとは云えない、というのがその理由です。
その代わり、Scarletユーザーには、Dragonセンサー搭載 EPICへの買い換え時に Scarletの購入価格を差し引いて提供する、お得な「トレードイン」プログラムを用意する …とのこと。

約束を守る気がない困った人たちなのか、それとも、太っ腹で気前がいい “大らか過ぎる” 人たちなのか(笑)。ま、ボクはこういうヒッピーな REDが好きなんですけれど…。

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▊ Panavision社の次世代 70mmセンサーカメラ
超ハイエンド 35mm デジタルシネマカメラ「Genesis」の発表以来、すでに6年以上にも渡って次世代機種に関して沈黙を守ってきたハリウッドの重鎮、泣く子も黙る Panavision社から、遂に「次」のシネマカメラが登場しそうです。今度はなんと、70mmフォーマットだそうです(笑)。

Panavision70mm2

まだモックアップの段階で、来月出る!というような話ではありませんが、“あの” Panavisionが次に向かう地平を指し示した!ということで、海外ではあちこちのブログやニュースサイトで採り上げられています。
Cinefii : Panavision’s new Alexa-killer… we’ve got the early details
Cinescopophilia : Details of That Panavision 70mm Sensor Camera Were Out in December
NoFilm School : RED, Arri, and Sony: Meet Panavision’s 70mm Digital Cinema Camera

まだ確定仕様ではないものの、伝え聞かれるスペックはザッと以下の通り。

• 収録メディアは 1.5TBの SSD
• ボディはチタン製(Arri Alexaよりも軽量)
• 収録フォーマットは DNxHD及び ProRes(RGB、RAW)
• センサークロップにより 42mm及び 35mmとして使用可能
• オープンな形式のコーデックを開発中


半年以内程度のタイムスケジュールで実働モデルが登場すると予想されている、この Panavision製 70mmシネマカメラ。おそらく僕らには全くなんの関係もない雲の上のカメラではあるものの、Panavisionが「こっちだぁー!」と指さした方向に業界全体がドドーッと追随していくとまで言われる業界のドン的存在なだけに、今後も横目でにらみを効かせていこうと思います。(^_^)v

11 Comments

  1. akira
    Posted 2013/01/12 at 01:28 | Permalink

    Dragonへの移行がこういった形になって
    涙を流している方は多いでしょうね。
    まぁ、REDを個人で所有することは控えています。
    もう最近はカメラ買うのは愚かな行為だと自分を戒めていますね。
    カメラは借りる物だと自分に言い聞かせています。

    • Posted 2013/01/12 at 06:42 | Permalink

      映像系のかたとお話しすると、動画カメラってもともと所有するものではなかったと仰います。翻って写真家のかたとお話しすると、カメラは「いつでも手許に置いておくもの」、つまり所有する道具であるとの認識です。
      …で、れいの「一眼革命」以降、ココんとこの境界が曖昧になってますよね(笑)。借りるものか?買うものか? これからの常識はどうなっていくでしょう…?

    • amadeeus
      Posted 2013/01/12 at 11:37 | Permalink

      ビデオ屋の場合、元は分業制の一部分をやっていた人間が多かれ少なかれプロセス全般をやるようになってきたので、今は傍目には同じようは仕事をしていても、それぞれのバックグラウンドによって考え方が変わってきます。
      元々カメラマンの人はレンタルが常識、ディレクター/制作出身者はカメラを所有している事が多いです。

      カメラマン出身者の場合はクライアントからの受注スペックにカメラ機種が指定されている場合が多く、人気のある機種は一通りぱっと使えないといけないので常に最新機種に慣れておくためにもレンタルにしているようです。私の周囲の例で言えば照明・音響などカメラ以外の機材はすべて揃えていても、カメラは買わないのがカメラマン出身者です。

      後者の場合でもレンタルが常識の世界で生きて来たので、「一眼革命」にはあとから乗っかったようなところがありますが(汗)、私のようにバックグラウンドが制作の場合はカメラを所有してそれを徹底的に使いこなせるようにする事が正解のような気がします。

    • 1-300
      Posted 2013/01/12 at 13:42 | Permalink

      機材を自分で揃えて独自性を持って仕事をする写真家と
      ディレクターやプロデューサーの指示の元、機材の貸与を受けて仕事をするフリーランスのカメラマンとでは税法上の扱いも変わってくるようです。

       機材の性能の進化のスピードがデジタルになってから急加速しているので、その機材のレンタル料と仕事の量をにらみ合わせて1年以内にペイ出来ない機材は仕事の道具としてだけ考えると買う意味はあまりないのかな?
       でも、半分趣味だったり ほとんどのレンタル機材屋の未整備等のクオリティーの低さや 他とスケジュールがバッティングする事とか 機材チェック、ピックアップなどを考えると自前で揃える有利さも捨てがたく・・・・なんて理由をこじつけていろんな物が未だに増殖中、ほとんどがガラクタですが(笑)。

    • akira
      Posted 2013/01/12 at 14:37 | Permalink

      僕はディレクター出身なので、監督・撮影・編集・オーサリングまで一通りやるスタイルです。
      なので個人でビデオカメラ1台とDSLR1台を所有しています。

      ただここ数年各社の激しい開発競争により、大変魅力的なカメラが増えて来ました。
      なので、各プロジェクトのプロデューサーの要望や監督の演出意図、バジェットの関係などを含めて一番合うカメラ選びをする機会が増えました。
      また、プロデューサーによってはDSLRの画にはもう飽きたという人もいて、それはそれでこちらとしても新しいカメラを使うチャンスと嬉しくなったりもします。

      今後心配なのは映像の仕事の単価が上がらず、4Kやそれ以上のクオリティに対応するため、編集環境の構築への投資が大変になってくることですね。
      撮影から完パケまで行うプロダクションとしては、ここが一番頭を悩ますところかもしれません。

  2. Neg
    Posted 2013/01/09 at 22:58 | Permalink

    えーと、もう次元が違いすぎて訳がわからないのですが、6000×3000ピクセルってどこの世界ですか?(苦笑)18ストップあったら、えーとどれくらいの暗さでもものが写せるんでしょう?…REDはどこに向かおうとしてるんだ…

    • Posted 2013/01/09 at 23:23 | Permalink

      やあ Negちゃん。良い突っ込みだけど(笑)、たぶん2006年に RED ONEが登場して『これからは4K収録だ!』ってブチ上げた時も、世間はそんな感じのリアクションだった筈なんですよ。今、ベガスで開催中の CES2013で、ようやく家電各社が4Kについて語り始めてますけど、RED ONEからココまでに丸6年も歳月がかかったということで(笑)。最終的には8Kくらいまで、行くんじゃなかろうか? >映像の世界

      …あと、18ストップは「感度」じゃなくて「ダイナミックレンジ」の話だから、暗さ明るさとはあんまし関係ないよん♪

    • Neg
      Posted 2013/01/09 at 23:38 | Permalink

      なるほど…6周位周回遅れで当時の方々の戸惑いを理解しました…笑
      そういえば今思い出しましたけど当初のREDの表明では目標28Kとか言ってたんですよね(http://www.videoalpha.jp/news/2008/11/000577.php)。もうインパクトあり過ぎて混乱して感度とダイナミックレンジの事がかなりごちゃ混ぜになってました。18ストップということはフィルムで黒く潰れてしまってた場所も見えるようになっちゃう、という解釈でオーケーですか?

      記事違いなのですが、スクリーンキャスト見てみました。早いですね…!時に、REDで撮影された動画というのも見てみたいのですが、今のところ掲載の予定はありませんか?

    • Posted 2013/01/09 at 23:44 | Permalink

      ははぁ、28K? それは知りませんでした(笑)。ブチ上げ過ぎだろ!って張り扇ではたく人がいなかったんですかね? (^_^;)

      REDで撮影したサンプル動画は… もう少しで編集が終わるところです。でも、それはたぶんココじゃなくて、次の PRONEWSさんとこの連載記事中に掲載しようかな〜?と考えてまして。…だから、もう二週間ほど待っていてください(笑)。

  3. hal
    Posted 2013/01/09 at 21:53 | Permalink

    またまた有益な情報発信ありがとうございます!Doragonの18stopは照明部の先輩には内緒にしておきます。嫌われたくないので。えへ。

    • Posted 2013/01/09 at 23:23 | Permalink

      18ストップオーバーって凄いですよねー。とうとうフィルムのラチチュードを越えてしまったということで。ただし、この「証拠写真」は滲んでますよね。これは、あくまでもセンサーの生信号を無加工で記録したらこれだけ写る!という証拠なのだそうです。つまり実際は、この信号を映像プロセッサに通して「使える」ように加工せねばならず、最終的には14〜16ストップくらい実用になったらいいね!と言われているようですね。

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